弟達と話していたら、姉達も来た
秋山兄弟の弟達以外の皆さんを帰宅させまして、残った2人と話をしていく流れになったのですが、
「さて、秋山兄弟。お主達の兄の取った愚行について、六三郎殿以上に儂は怒りに満ちておる!それこそ、お主達も含めて秋山家全員、
斬首させたい程にな!だが、六三郎殿が冷静に務めておるから、今のところは何もせん!六三郎殿の寛大な心に感謝せよ!」
「「ははっ!殿!柴田様!申し訳ありませぬ!」」
虎次郎くん、めっちゃブチギレです。五郎さんと典厩様も、落ち着く様に宥めておりますが、それでも虎次郎くんの怒りは中々収まらなかったので、俺も宥める事に参加しましょう
「虎次郎様。お怒りは分かりますが、弟達の話を聞きましょう。先ずはそれからとしましょう」
「叔父上達も六三郎殿も、そう仰るのであれば。秋山兄弟、先ずは、兄の分も含めて、自己紹介せよ」
何とか虎次郎くんが落ち着いて、秋山兄弟の自己紹介を促せる様になりました
「秋山家の二男の、秋山源三郎虎道と申します」
「秋山家の三男の、秋山源蔵虎景と申します」
「「出て行きました兄上は、秋山晴之助虎広と申します」」
うわあ、名前から分かる脳筋な家だな。全員、「虎」の字が使われているとは。通字が「虎」はこの時代らしいな。それを言ったら、俺の柴田家も通字が「勝」だし、この時代の家らしいっちゃ、らしいか
それよりも、弟達が教えてくれた長男の事だよ。色々聞いてもらうか
「虎次郎様、仁科様、典厩様。拙者が武田家家臣に色々と聞くのはよろしくないと思うので、皆様が聞いていただけませぬか?」
「分かりました。それでは、源三郎と源蔵!晴之助も含めて、先ず最初にお主達が何歳か教えてもらおうか」
虎次郎くんの質問に二男の源三郎くんが答える
「ははっ。晴之助兄上は十八歳、拙者は十六歳、源蔵は十四歳にございます」
年齢を聞いて、虎次郎くんは
「上の二人が元服しておるのは分かるが、源蔵は元服は早いのでは?急いで元服したのは、父である伯耆守の死が影響しておるのか?」
三男の源蔵くんの元服に質問する。これも源三郎くんが答えると
「はい。兄上が、「三人で出陣したのであれば、より多くの武功を挙げられる!そして、父上以上に出世を遂げたのならば、父上の汚名返上が早くなる!」と言って、元服を強行したのです。それが、今年の弥生頃でした」
(うわあ、父親の名誉を回復させる為に元服の平均年齢より早く元服させるのは、中々だな。穴山との戦に巻き込まれなくて良かったよ)
六三郎は心中でそう思っていたが、虎次郎は
「何とも自分勝手な理由で元服させて、自身は甲斐国の復興を拒否するとは、源三郎よ。晴之助はそれ程までに、我儘に育てられたのか?伯耆守の子育ては、それ程に酷かったのか?」
秋山虎繁の子育てに関して、質問する。源三郎は
「拙者の覚えております中では、待望の嫡男だと言う事もあると同時に、父上が数多く出陣しておりましたので、殆どが母上任せでした。
拙者と源蔵は乳母と家臣に育てられておりましたので、はっきり申し上げますれば、分かりやすく差をつけられておりました」
子育ての内容を覚えている範囲で答えていたが、六三郎は
(待望の嫡男で、幼い頃に父親が亡くなって、母親が子育てのメインとか、史実の豊臣秀頼じゃないか!
違う点として挙げるとなると、豊臣秀頼は母親の茶々と一緒に死んだけど、晴之助の母親は自分1人だけで死んだ。源三郎くんの話を聞くに、10歳前後にそうなったのだろうけど、源太郎と源次郎の飯富家より、重い)
六三郎は心中でそう思い、何も言えなかった。だが、聞いていた五郎から、ある事で指摘が入る
「源三郎よ。父の秋山殿や母君の事に関しては、何とも言えぬ。だが、確か秋山殿はお主達の母君と夫婦になる前の嫁との間に、娘が四人は居たじゃろう?
つまりは、お主達から見たら腹違いの姉になるわけじゃが、姉の嫁ぎ先の者達は何処も助けてくれなかったのか?」
五郎の指摘に、源三郎は
「はい。義兄の方々も、柴田様との戦に出陣したのですが、その戦で父上と共に撤退した事で、「元服前の童に敗れた戦下手」と父上が蔑まれた事により、
「元服前の童に手も足も出なかった愚か者」と言われ続けた事で、酒浸りになってしまい、姉上達もそんな義兄達を支えていたのです。そんな中でも、義兄との間に生まれた子を育てないといけないのですから、
我々の事を気にかける余裕は少ししか無かったのでしょう、文のやり取りはあっても、我々が姉上達の嫁ぎ先に相談に行く事は出来ませぬし、姉上達も、我々の家に来ていただく事もなかったのです」
重い事実を伝える。そこまで伝えられると、虎次郎、五郎、典厩、そして六三郎の4人は何も言えなくなった
そんな重苦しい空気になった大広間だったが、突然、
「離せ!!」
と叫び声が聞こえる。その直後、
「黙りなさい!!秋山家の当主ともあろう者が、個人的感情で主家である武田家からのお役目を放棄するなど、言語道断!今からでも遅くないのですから、頭を下げて、許しを請うのです!」
内容的に、出て行った晴之助に対して言っているのだと分かる言葉が聞こえて来た
そして、大広間に到着したのは
「皆様!秋山伯耆守の長女で晴之助の姉の、芦田勝です」
「次女で姉の、大井虎です」
「三女で姉の、三枝千代です」
「勝の息子の、芦田源十郎信国と申します」
「虎の息子の、大井虎之助高安と申します」
秋山家から嫁いだ姉のうち、3人と、そのうち2人の息子、そして簀巻きにされた晴之助だった
その様子を見た六三郎は
(これは、源三郎くんと源蔵くん以外の秋山家の血縁者は武闘派の可能性高いな。お国柄なのか、お家柄なのかなあ。事を穏便に済ませたいんですが)
限りなく無理なお願いをしていた。