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甲斐国の復興速度を早める理由を伝えると

天正十五年(1587年)四月二十六日

甲斐国 躑躅ヶ崎館


「さて!皆、今日集まってもらった理由じゃが、一昨年から少しずつではあるが進んでおる、甲斐国の復興と、泥かぶれに罹る者を減らす様に動いておる件についてじゃ!


皆も知ってのとおり、こちらに居る柴田六三郎殿が提案したやり方に必要な岩の板を、川に設置したら、水の流れが早くなった!だが、それは、泥かぶれに罹る者が少ない信濃国との境の地域じゃ


その事を前日に六三郎殿に伝えた所、更なる改善を提案してくれた!これから、その提案を発表する!


しっかり聞く様に!それでは六三郎殿。よろしくお願いします」


皆様おはようございます。朝も早くから、武田家の面々に色々な発表をしていく事になりました柴田六三郎です。説明の為とはいえ、大人数の前は緊張しますね


ですが、一日も早く帰りたいので、頑張りたいと思います


「さて、皆様。先程、虎次郎様が仰っていた事の改善点をいくつか上げていきます。先ず、現在のところ、躑躅ヶ崎館周辺でしか作られていない、


岩の板を更に遠くの地域に運ぶ時に起きるであろう不安要素は何か分かりますでしょうか?」


「はい!」


俺の質問に最初に挙手で答えたのは


「土屋殿、答えをお願いします」


銀次郎の兄貴の惣右衛門さんだ。惣右衛門さんの答えは


「はい。岩の板の輸送距離が遠ければ遠い程、輸送中に壊れる可能性が高くなります」


完璧な答えをありがとうございます


「その通りです。現在は信濃国との境という、比較的近い場所ですから、岩の板を輸送する際の心配も少ないでしょう


ですが、これから、相模国、上野国、武蔵国、駿河国の境まで、岩の板を作って繋げてを繰り返すには、


躑躅ヶ崎館では遠く、先程、土屋殿が仰っていた様に、輸送中に岩の板が壊れてしまう可能性が高くなります


そこで拙者が、虎次郎様、仁科様、典厩様に提案した内容は、岩の板を作る事の出来る者達、そして、その中からまとめ役になれる者を家臣の皆様の中から選別し、


各地に配置して、そこで岩の板を作って繋げてを出来る事。それが、拙者の改善点のひとつです」


俺の説明を聞いた家臣の皆様は


「成程、その場で作り、繋げていけば、壊れる危険性を持ちながらの輸送が無くなる。という事か」


「更には、岩の板の材料を分散出来るから、万が一の火災などで全て無くなる危険性も減ると」


等々、俺が考えていた良い点を口に出している。皆様の顔に希望が見えて来た時、虎次郎くんが手を上げて、静かにさせてから


「六三郎殿が仰った事について、儂から皆に伝えておく!これから選別を行なう際、年齢も家中における立場も不問とする!それこそ、今は足軽や小者等の


下の立場の者でも、岩の板を上手く作れたり、領民に丁寧に教えて、上質な岩の板が完成したのであれば、


立場を上げる事を約束しよう!皆の家臣にもそう伝えておく様に!」


虎次郎くんの声を聞いて、家臣の皆様、


「「「ははっ!」」」


と、平伏しました。そんな中で、五郎さんが皆様のやる気を倍増させる事を発表する


「皆!今しがた、虎次郎様より選別についての発表があったが、これから儂が発表するのは、虎次郎様の未来、ひいては武田家の未来に関する事じゃ!


よく聞いてくれ!実は、虎次郎様に許婚が出来た!そのお相手は、六三郎殿の妹の江姫様じゃ!」


五郎さんの発表に、家臣の皆様は


「仁科様!誠ですか!」


「それは何と素晴らしい!」


「祝言はいつ挙げる予定なのですか!」


とてもテンションを上げて喜んでおりますが、そのテンションは直ぐに落ち着きます


「皆が喜んでおるのは当然じゃが、皆も知っての通り、六三郎殿の柴田家は、織田家中において、他の追随を許さぬ武断の家じゃ!それは御母堂様や女中の方々も例外ではない!


しかもじゃ、虎次郎様の許婚の江姫様の姉君の嫁ぎ先として、一番目の姉君は上杉越後守殿、二番目の姉君は、長宗我部弥三郎殿じゃ!これを聞いて、皆も気づいたじゃろうが、上杉殿、長宗我部殿、


どちらも六三郎殿と共に出陣し、武功を挙げたからこそ、御母堂様、お父上の越前守様のお許しを得たから夫婦になったのじゃ!」


五郎さんの話を聞いていた、一部の家臣が


「に、仁科様!その流れで行くと、虎次郎様は許婚の江姫様と夫婦になる事のお許しを得る為に、出陣しないといけない事になるのでは?」


「元服前の虎次郎様を出陣させては!」


夫婦になる為に、近いうちに出陣するのか?と聞いて来たけど、五郎さんは


「いや、安心せい。虎次郎様の義兄になる予定の六三郎殿が御母堂様と越前守様が納得する条件を提示して来た。条件のひとつとして、甲斐国の復興を五年以内に終える事じゃ。五年にした意味、皆は分かるな?」


皆様に質問したら


「「「「虎次郎様が元服なさる年齢」」」」


直ぐに答えが出て来ました。五郎さんは続けて、


「その通りじゃ!だが、それだけではない!実は、江姫様の姉君達の嫁ぎ先はそれぞれ共通点があるのじゃが、その共通点は、二ヶ国以上の領地を保持するか、


それと同等の領地を持つ事じゃ。それこそ、儂が教えてもらった話で、上杉殿は越後国を返してもらっただけでなく、能登国を四分割して、その内の三分を新たな領地として手にしたとの事、


そして、長宗我部殿は、四国のうち、土佐国と阿波国を領地とし、更には伊予国の半分を手にした。


ここ迄言えば分かると思うが、虎次郎様の嫁取りの為に、五年以内に甲斐国の復興を終わらせて、更にはもう一国、領地を手にしないといかぬ!!


皆!気合いを入れて、甲斐国の復興に取り掛かるぞ!!」


皆様を煽る様に話し終えると


「「「「「おおお!」」」」」


地面と空気が揺れたと思う程、武田家臣の皆様の声が響きました。これだけの気合いが入って、俺達も手伝うんだから、案外早く甲斐国の復興作業は達成出来るんじゃないかな?江の幸せの為に、兄として頑張りましょう!


なんだかんだで、六三郎もやる気が増えた様だ。

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― 新着の感想 ―
伊勢にしろ岡崎にしろ1年半程度の出張で何とかしている六三郎なので、甲斐も2年以内に何とかしそう。 むしろ、この間に子作りが上手くいって、六三郎の嫡男が誕生するかどうかの方が難問そう。
甲斐に残った面々は虎次朗くんを当主として立てられる人ばかりのようで何よりですわ。 柴田家が男女問わず武断の家なのは間違いないし、バランスだけ見ると六三郎が一番文治まであるんだよなぁ…。
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