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両親は呆れ、六三郎は察する

六三郎が帰って来たので、勝家と市は、六三郎を直ぐに大広間へ呼ぶ。呼ばれた六三郎は


(何だ?いきなり呼び出されたと思ったら、親父もお服も少し疲れた顔してるし、初めましてなお母さんと子供も居る。何か起きたと見て良いんだろうな


まあ、俺も大内家と村上家の皆さんを紹介しとかないといけないし、とりあえず行くか)


色々と考えながら、大広間へ到着すると


「父上、母上。銀次郎と次姫、いえ、次殿との祝言から戻って参りました」


挨拶をした。そこに勝家は


「これ、六三郎。銀次郎は次姫様と夫婦になったのだから、織田家の直臣か、羽柴家の直臣になったのだから、いつまでも家臣の様に呼ぶのは」


銀次郎が引き抜かれたと思っている様な発言をする。それに六三郎は


「父上。大殿にも羽柴様にも、確認しております。銀次郎を再び、赤備えの一員として召し抱えて良いと!」


信長と秀吉からの言葉をしっかり伝える。それを聞いた勝家は


「誠か!!?」


大声を出す程、驚いていたが、早い段階で


「いや、大殿と藤吉郎が、その様な大事な事を誤魔化すわけは無いから、事実と見て良いか。しかし」


納得した様だが、全てに納得は出来てないようだったので、六三郎から


「父上。大殿の実の娘が、倅の家臣の嫁になるという、少しばかり面倒な感じですが。大殿も羽柴様も、


何も言って来なかったのですから、そのままで良いのです!何も言わずに、銀次郎と次殿の末長い幸せを願ってやってくだされ!」


「何も言わないで柴田家の一員としてくれ」と言われた勝家は、そのまま何も言わない事にした


銀次郎と次姫の話が終わったので、六三郎は


「改めてですが、父上、母上。実は、新たに召し抱えた者達が居ますので、紹介したく。よろしいでしょうか?」


大内家と村上家の紹介に入ろうとする。勝家は、


「大殿と殿から、「楽しみにしておけ」と、文にあった、六三郎に引き寄せられた者達か。これまでも六三郎に驚かされて来たのじゃ!もう、流石に驚く様な者達は居ないじゃろう!連れてまいれ!」


前振りの様な言葉で、許可を出す。それを聞いた六三郎は、


「それでは、連れて来ます」


と言って、大内家と村上家を呼びに行く。しばらくして、大広間に戻ると、勝家から


「この二つの家族が、六三郎に引き寄せられた者達か?前置きは要らぬから、三人家族から紹介してもらおう」


村上家が指名されると、


「ははっ!拙者、村上次郎兵衛義盛と申します。横に居る二人は、拙者の嫡男の虎千代、娘の優乃と申します」


「虎千代と申します」


「優乃と申します」


3人それぞれ自己紹介した。自己紹介を聞いた勝家は、


「次郎兵衛。お主達親子は、どの様な経緯で六三郎の元へ来たのじゃ?」


経緯を問う。そこから次郎兵衛は当時の事を話す。聞いた勝家から、


「それは、何とも大変であったのう。よくぞ無事であったな」


労いの言葉がかけられが、次郎兵衛は


「越前守様。ありがたいお言葉なれど、六三郎様から受けた御恩は、まだひとつも返しておりませぬ。六三郎様が仰るには、将来柴田家が水軍を作る際、


船を作る事が出来る者と、泳ぐ事が出来る者は多く居た方が良いとの事で、拙者にはどれかひとつでも出来たら、ありがたいとの事です。なので、先ずは出来る事から、やっていく所存です」


勝家に礼を述べると共に、六三郎から言われた事を伝える。それを聞いた勝家は


「そうか。まあ、少しずつ柴田家に慣れていってくれ」


「ははっ!」


「ちなみに、虎千代と優乃は何歳なのじゃ?」


「今年で虎千代は七歳、優乃は五歳です」


「次郎兵衛は何歳じゃ?」


「拙者ですか?拙者は今年で二十三歳です」


次郎兵衛の年齢を聞いた勝家は


「六三郎と同い年ではないか!六三郎!聞いておったな、お主も次郎兵衛の様に」


六三郎に孫関連の小言を言うが、六三郎は


「父上!その話は後程聞きますから!今は、拙者が召し抱えた者達を紹介させてくだされ!」


強引に終わらせて、大内家の紹介につなげ、勝家も


「仕方ない。では、もうひとつの家族の代表の者、自己紹介してくれ」


渋々ながらも、大内家の紹介を促す


「はい。拙者の名は大内亀次郎義胤にございます」


「嫡男の大内亀之助義興にございます」


「二男の大内亀三郎義持にございます」


「長女の大内義乃にございます」


「亀之助様の嫁の沙保里と申します。私が抱いている赤子は、亀童丸と申します」


全員の自己紹介を聞いた勝家、市、更には利兵衛も固まっていた。それを見ていた六三郎は


「父上!母上!しっかりしてくだされ!利兵衛!お主もじゃ!」


3人に声をかけて、正気に戻す。正気に戻った勝家は


「亀次郎。お主、もしや。とても歴史が古く、かつては日の本の西国の殆どを領地としていた、あの大内家の子孫なのか?」


ストレートな質問をする。質問を受けた亀次郎は


「越前守様。拙者の言葉より、亡き父上の文を見ていただけたら、納得出来ると思います」


そう言いながら、化粧箱を差し出す。利兵衛が受け取り、中を検めてから、勝家に渡す。勝家は文を読み終えて、亀次郎に返すと


「亀次郎。確かに納得出来た。だが、何故に六三郎の元で仕えたいと思ったのじゃ?自分の倅をこう言っては何じゃが、


こ奴は人使いは荒いし、無茶な事を何度もやる、主君としてはかなりの常識外れだと思うのじゃか?」


六三郎の印象を包み隠さずに話す。それを聞いた六三郎は


(おい親父!少しくらいオブラートに包めませんかねえ?確かに、少しくらいの無茶はやるよ?でも、それは戦に勝つ為であり、銭を稼ぐ為に必要な事なんですよ?)


内心そう思っていたが、空気的にそんな事は言えなかったので、黙っておく事にした


そんな中で、勝家の質問に対して亀次郎は


「越前守様。我々大内家は、確かに大大名の子孫ですが、百姓としての人生しか送っておりませぬ。そんな我々に対して六三郎様は、偏見も無く、


更には毛利家との戦が完全に終わったわけでもない中で、我々を迎えに行くという約束を守ってくださいました。だからこそ、拙者は勿論、息子達も、


六三郎様ならば、亀童丸が元服した時の為に、教養や武芸を教えてくださり、小さい領地でも大名として、大内家を再興させてくれると信じているからこそ、


多少の常識外れなど、些細な事として、六三郎様を信頼しておるのです」


亀次郎の言葉に、勝家は


「六三郎にそれ程の信頼を持っておるのか。ならば、これ以上言うのは野暮じゃな。そう言う事ならば、理財に関しては、ここに居る利兵衛や、今、子供達に教えている源四郎に教わりながら、覚えていけば良い」


大内家の面々に伝えて、大内家の自己紹介は終わった。一仕事終えたと思った六三郎が立ち上がると勝家は


「六三郎!待たんか!儂からも紹介しておきたい者達が居る。そこの二人じゃ。自己紹介を」


「前田慶次郎の嫡男、前田慶之助です」


「前田慶次郎の正室、ふゆです」


2人が自己紹介を終えると勝家から


「前田の名で分かるじゃろうが、慶次郎とやらは、又左の兄の子、つまり又左の甥じゃ。その慶次郎本人は現在、屋敷の一室で寝泊まりしておる


だが、六三郎よ。賢いお主なら察したじゃろうが、慶次郎の領地の事で問題が起きておるから、二人が来た。更に、数日後に又左も来る。その時に話し合いを行なう予定じゃが、お主も参加せよ!


あくまで前田家中の問題じゃが、話し合いの場所になった以上、儂達も参加して、事の成り行きを見る


だから、柴田家当主であるお主は絶対に参加じゃ!」


「分かりました」


(簡単にまとまらない問題が起きたんだろうなあ)


勝家に絶対参加を言われた六三郎は、色々と察した。

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― 新着の感想 ―
六三郎の無茶振りの何割かは上司命令が含まれてるから…w そして勝家の指示から概ねを察する六三郎。悲しいかな慣れたものなのよね。
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