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傾奇者の嫡男は怒り心頭

門番から慶之助達の事を聞いた勝家は、直ぐに大広間へ呼びよせた。そこで慶之助は


「柴田様。突然の来訪、申し訳ありませぬ。ですが、どうしても父上を連れ戻さないといけないのです!


その理由は、父上が前年に残していった文を見ていただければ、分かると思いますので、こちらを」


慶次郎が残した文を差し出す。利兵衛が受け取り、勝家に渡し、読み出す


「どれ。「慶之助へ。来年は、お主が憧れておる柴田の鬼若子殿が初陣を経験した八歳になるのだから、


色々と自分でやってみよ!色々考えて、何も思い浮かばないのであれば、母上と家臣達を頼れ!


それでも駄目なら、又左衛門様を頼れ!この文をもって、家督を慶之助に譲った事とするから、あとは好きな様にやれ!父は、これから諸国を回る!」と、あるが、


慶之助よ、お主としては父の慶次郎に、この文の事で色々と問いただしたいのじゃな?」


「柴田様、問いただしたいを超えて、父上を屋敷に戻したいのです!祖父様が亡くなって一年も経たないうちに


この様な行動を取る事も許せませんが、何よりも許せない事は、拙者が元服前なのにも関わらず、当主としての務めを放棄した事です!


拙者は、柴田様の嫡男の鬼若子様の様な傑物ではありませぬ!なので、父上の言葉どおりには出来ませぬ!


なので、父上に戻っていただきたく存じます!柴田様、父上に戻る様、お伝えしていただけませぬでしょうか?」


慶之助は、勝家に平伏して頼み込む。慶之助の態度に勝家は


「ふむ。つまり、慶次郎は当主としての役目を放棄しておるだけでなく、当主の座も放棄して、更にはまだ八歳の慶之助に全てを任せるとは、流石に良くない事ではあるが」


何とかしてやりたい気持ちはあるが、どうやれば良いか、妙案が全く出て来なかった。そんな勝家に市は


「権六様。そこまで悩むのであれば、前田殿に言って、慶次郎殿の領地を一時的に預かってもらえば、


慶之助殿が領地を見ないで済むと思いますし、それこそ、最悪の場合、慶之助殿に後見人を付けて領地を見させても良いのでは?」


慶次郎を領地に戻さない事を主軸とした提案を出す。それを聞いた勝家は


「市、それは慶次郎を居ない者として考えろと言っているのと同じじゃぞ?」


異論を唱えるが、市は


「権六様。六三郎みたいに命令を受けた上で、領地を離れる場合は、仕方ないと言えますが、慶次郎殿は自身の都合で領地を離れているのですよ!だから、前田殿は慶次郎殿を持て余しているのでしょう!


その理由も、此度の様な行動を取っているからだと思います。そもそも、やがて四十歳の嫁も子も居る大人が、元服もしてない嫡男に家督相続させて、自身は後見人もやらない等、


言語道断です!これで、京六郎や千熊丸達の元服前の子供達に悪影響が出てからでは、遅いのですよ!だから、六三郎達が来たら、直ぐに甲斐国に行かせてください!!」


慶次郎の大人としてありえない行動は、京六郎達に悪影響を及ぼす!と断言した。言われた勝家は


「市。言いたい事は分かるが」


市を宥める。しかし市は止まらず続ける


「権六様!こうなったら、前田殿に連絡して、屋敷まで来てもらうか、私達が慶次郎殿を連れて、前田殿の屋敷に行って、慶次郎殿が前田殿に対して、


慶之助殿と領地の事を頼む等、自ら大人としての行動を取らせないと、六三郎の元で揉め事を起こすかもしれません!それが越前国だったなら、


柴田家内部で終われますが、甲斐国は武田家の領地ですよ!武田家から勘九郎殿や兄上の耳に入って、


六三郎が責を取って、切腹しないといけない事になるかもしれないのですよ!そこまで考えてください!」


市は最悪の場合の話をしている。そこまで言われて勝家は


「分かった。一度、又左に文を出そう。そこで、越前国に来てもらい、慶次郎を交えて話し合うとしよう」


利家を呼び出して、話し合いを行なう決断をくだす。それを聞いた慶之助は


「柴田様!ありがとうございます!」


勝家に平伏して感謝する。これで一応、話はまとまった


実家がそんな状況に巻き込まれている事を知らない六三郎はと言うと、


天正十五年(1587年)一月二十八日

近江国 某所


「六三郎様。娘の義乃と金之助殿が夫婦になる事を認めていただき、誠にありがとうございます」


「いやいや、亀次郎殿。夫婦が増える事は良き事なのじゃから、認めないなどありませぬ。今は簡素な祝言しか出来ぬが、実家の越前国へ戻ったら、


それなりな祝言を挙げられる様、手伝うので、今はこれで、納得してくだされ」


皆さんこんにちは。実家に帰る為に近江国を北上しております柴田六三郎です。いやあ、まさかのサプライズが起きましたよ!赤備えの1人、金之助が大内家の長女、義乃さんと夫婦になると宣言して来たのです


しかも、その件で大内家の皆さんが俺に平伏して頼み込んで来たので、軽くパニックになりましたが、


ダメだと言う理由も無いので、承認しました、銀次郎の嫁の次姫の共の人も含めると、出陣した時と同じくらいの人数の大移動です。


まあ、予定通りに進めば、残り10日くらいで到着出来るので、何事も無い事を祈りながらの進行になります


でも、今はそれよりも、金之助と義乃さんを祝いましょ!結婚おめでとう!

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― 新着の感想 ―
またしても何も知らない六三郎さん。 いや、六三郎側も金之助の結婚とかバタつきそうだけど勝家もいるしなんとかするかw
まあ某世紀末的な歌舞伎者はふわっと独り者設定だったから許されていたけど、既婚者ならとんでもない無責任になるものな(^_^;)
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