側室達を集めて発表した後の慶事
信長が銀次郎へのサプライズを進めている頃、六三郎は甲斐国へ行く事を側室全員に伝えて、行きたくないと言えば、実家に残しておくつもりだった
その事で、花江、うめ、雷花を集めたのだが、何故かそこに
「高代殿、儂は側室全員を集めたのじゃが?まだ高代殿は側室候補であろう?」
高代が居たのだが、うめと花江から
「六三郎様。高代殿は、これまでの働きを認められて、義父上と義母上から六三郎様の側室になる事を求められたのです」
「私達も、高代殿とは良い関係を築いております。なので、高代殿が側室になる事を認めてあげてください」
高代を側室にしてくれと頼んで来た。それを聞いた六三郎は
「分かった。それでは高代。これからは側室として頼むぞ」
ちゃんとした顔で高代に話し、高代も
「はい。六三郎様をお支えします」
と答えていた。そんな高代に対して六三郎は内心
(高代さんの事だから、側室認定された事をキター!!と喜んでいるんだろうな、まあ側室にするつもりで召し抱えたんだし、とりあえずはおめでとうと思っておこう)
と、考えており、高代も
(よっしゃキター!!これで、ある程度の優雅なお気楽ライフが過ごせるわー!これで、後継者候補の男児を出産したら、更に優雅に過ごせるはずよー!
一旦、冷静になりましょうか。基本的に正室の道乃ちゃんが男児を出産したら、その子が六三郎さんの嫡男になるし、嫡男は色々と大変だから、私の出産した男児は、お気楽な三男か四男くらいがいいわね!)
喜ぶと同時に、その先の事を考えていた。そんな事を知らない六三郎は
「それでは、話を始めるが、儂は如月になったら甲斐国へ行き、お役目の為に数年は甲斐国に詰めたままになる。そこで、
側室の皆に、甲斐国へ行く意思の確認をしたい。儂としては無理に連れていく事はしたくないなので、甲斐国へ行っても良い者は名乗り出てくれ」
皆を集めた理由を話し、甲斐国へ行く意思確認を行なったら、
「六三郎様、その様な事、聞かずともついていきます」
「私も同じく!」
「私も同じく!」
「六三郎様!遠慮などしないでください。ついて行きます」
4人共、ついていく事を即決した。その事を確認した六三郎は、
「皆、決断してくれた事、感謝する。これで話は終わりじゃが、雷花だけ残ってくれ。3人は戻ってよいそ」
雷花だけを残して、3人を帰す。3人が部屋に帰った事を確認すると六三郎は、雷花の照明を向き、
「さて、雷花よ。儂が雷花だけを残した理由は分かるか?」
雷花に残した理由を問いかけるが、
「いえ、分かりません」
当然、雷花は分からないので、六三郎は理由を話す
「うむ。実はな、雷花が家臣達と共にやっておる護衛の役目を、そろそろ辞めて側室に専念してもらいたい」
「六三郎様、それは」
六三郎の言葉に、雷花は戸惑う。だが六三郎は続けて
「雷花。儂はな、道乃は勿論、側室の全員とも子作りをするつもりじゃ。だが、雷花だけがやや子を授かった状態で役目につけば、流れてしまう可能性がある
儂はその様な事はさせたくない!それに、雷花のお父上の陸奥守殿も、そのつもりで雷花を側室に貰ってくれ。と、言ったのではないのかと思ってな」
雷花の父親の思いも話す。それを聞いた雷花は、
「分かりました。ですが、私の立場、つまり忍達を現場でまとめる役目を任せられる者を誰にして良いか」
心配している点を話すと、六三郎は
「雷花。お主が見て来た忍達じゃ。誰の腕が素晴らしく、誰が皆をまとめる器の持ち主かは分かるであろう?それでも決めきれないのであれば、
忍達と話し合って、決めたら良い。決まったあとに、その者が儂の前に来て、雷花の役目を引き継ぐ旨を伝えてくれたら、それで良い。
だから、そろそろ、陸奥守殿に、孫を見せる決意を持ってくれ」
「六三郎様。分かりました。甲斐国へ到着するまでに、新しいまとめ役を決めます」
「うむ。よろしく頼む。それでは戻って良いぞ」
「はい。失礼します」
雷花は返事をして、そのまま部屋を出て行った
心中を話してスッキリしていた六三郎だったが、やっぱり休むなと神様から思われている様で、
ダダダダッ!と、廊下を走る足音が聞こえたと思ったら、
「殿!殿!どちらに居りますか!?殿!」
「殿!!」
浅尾家の勘十郎と虎夜叉丸くんだった。何か起きたのか?
「勘十郎、虎夜叉丸!此処に居るぞ!何か起きたのか?」
俺が呼びかけると、2人は一目散に俺の戻ってまで来て、
「殿!雪乃が産気づきましたので、神棚の部屋で安産祈願をしたく!使用の許可をいただきたく!」
「お願いします!」
雪乃が出産しそうだと伝えて来た。これは急がないといけないな
「分かった!神棚のある部屋で安産祈願を許可する。儂も安産祈願に参加させてもらおう、父上と母上にも伝えてまいれ!きっと参加すると言うしゃろう」
「「は、はい。それでは失礼します」」
勘十郎と虎夜叉丸は、今度は親父とお袋の元へ向かった。俺は一足先に神棚の部屋へ向かうと、部屋の前の廊下で勘十郎と雪乃の娘の伊吹ちゃんが、既に安産祈願していたので、
「伊吹!その様な場所ではなく、神棚の前に来なさい!儂も雪乃の安産祈願をしに来たのじゃ!共に安産祈願を行なおうではないか」
「はい。ありがとうございます」
伊吹ちゃんを中に入れて、安産祈願の開始です。俺達が安産祈願を開始して間もなく
「六三郎!あなただけとはずるいですよ」
「こういう事は、皆でやるものじゃ」
と、お袋と親父が到着して、更に
「「「「兄上!私達も安産祈願を行ないます」」」」
4人の妹も来て、そこへ
「「義兄上。我々もお供します」」
喜平次殿と虎次郎くんも安産祈願しに来た。これを見た勘十郎は
「皆様、雪乃の為に、ありがとうございます」
と、頭を下げているけど、
「勘十郎!お主の子を雪乃が命懸けで出産しておるのじゃ!勘十郎が神棚の真正面で安産祈願をしなくてどうする!早く来い!」
と、呼びつけ、座らせたら、改めて安産祈願の開始です。そして、安産祈願開始から、およそ6時間後
オギャー!オギャー!オギャー!と、赤ちゃんの泣き声が聞こえました。お祝いの拍手と空気に部屋が包まれる中で、
「勘十郎、虎夜叉丸、伊吹。新しい家族が産まれたのじゃ。側に行って、雪乃を労ってやれ」
「「「はい。失礼します」」」
3人はそう言いながら、部屋を出た。うん。やっぱり、家族が増えるのは良い事です。俺がそんな事を考えていたら
「六三郎。お主もそろそろ、孫を儂と市に見せよ。家臣の出産を喜ぶ事は良い。だが、そろそろ自分の事も考えよ」
親父に小言を言われました。まあ、仕方ない。でも、とりあえず、浅尾家の皆、おめでとう。