道乃に会って色々教えてもらったら
茶々と喜平次殿の祝言の事は、親父とお袋が色々準備するとして、俺は道乃の所に行こう。祝言から約2年。流石に今度は連れて行こう。と言う事で、
「道乃!新三郎!入っても良いか?」
2人が居るであろう利兵衛の部屋に声をかけると
「六三郎様!!」
襖が開くと同時に道乃が飛びついて来た。そして、
「遅いです!早く私を甲斐国で働く六三郎様の元へ連れて行ってください!」
と抱きつかれながら、泣かれてしまった。これは流石に恥ずかしいが、俺以外は何も出来ないから
「道乃、済まなかった。お役目の事がきっかけとはいえ、そこから出陣する事になってしまってな」
俺がそう言うと、道乃は
「お役目が他の方より多い事は知っております!それでも、六三郎様でなければならないわけでは、ないのですよね?」
半分は理解して、半分は理解してない様な発言をしている。まあ、こればかりは仕方ない
「道乃。こればかりは巡り合わせじゃからな。儂が望んだわけではない。それは分かってくれ」
俺の言葉に道乃は
「分かりました。ですが、甲斐国周辺で戦が起きたとしても、私は六三郎の側に居たいです!!」
明確に俺の側に居ると言う。まあ、今の所、戦は無いはずだし、今回は連れて行くつもりだったし、まあ良いだろう。それに、
「道乃。とりあえず部屋の中で話そう。皆が見ておるからな」
そう。皆が何事かとチラチラ覗き見している。痴話喧嘩じゃないとはいえ、夫婦の時間を見られるのは恥ずかしいです。俺の言葉に道乃は
「申し訳ありません。それでは、入ってください」
何とか落ち着いた様で、部屋の中に入ると、
「申し訳ありません」と平伏してきた。あまりうるさく言うつもりも無いので、
「道乃、とりあえず、頭を上げてくれ。話をしたい」
道乃が頭を上げてくれたので、やっとこさスタートです
「さて、道乃。祝言を挙げてから約2年。何か変わった事はあったか?」
俺の質問に道乃が答えたのですが、その答えは予想外でした
「はい。実は茶々様の嫁入りを知った江様が、「姉上達の夫になる方は、国を二つも持っているのですから、私の夫になりたいという殿方が居たら、国を二つ持っている方か、
兄上の様に、八面六臂の働きをする方でないと、私は嫁に行きません!」と、言っておりまして」
マジか!でも、初の旦那の弥三郎は阿波国と土佐国、茶々の旦那の喜平次殿は、実質2カ国分の大きさの越後国と、能登国の四分の三が領地だからか
こんな事で、姉妹同士のマウントとかやめてくれよ!この事を親父もお袋も、大広間で言わなかったのは、茶々と喜平次殿の幸せな空気を壊したくない事と
俺に丸投げするつもりだったからに違いない。これは、一度、江に会って話を聞くか
「道乃。それで、江はどの様な状況なのじゃ?誰とも話さない様な感じか?」
「いえ、それが」
道乃が発言しようとした、その時、廊下の方から「タタタ!」と走る音が聞こえたと思ったら
「兄上!どちらに居りますか!?」
俺を探す江の声も聞こえて来た。仕方ないので、襖を開けて様子を見ると、江が虎次郎くんを連れている。虎次郎くんの後ろに五郎さんも居る。
更に、五郎さんの後ろに茶々と初と親父も居る。これは、江と虎次郎くんが追われていると見て良いのか?
俺がそんな事を考えて見ていたら、
「兄上!!」
江が俺を見つけた。そして、虎次郎くんと共にスピードを上げて、俺の元へ到着すると、
「兄上!江は、虎次郎様の元へ嫁ぎます!なので、父上達を説得する事に協力してくだませ!!」
いきなり「武田家に嫁ぎます」と宣言して来た。何で初と同じ事をするんだよ!やっぱり姉妹だからか?これは茶々も同じ行動を取ったに違いない
だから、真似をしているんだろうけど、それでもだ!直ぐに「分かった、兄上に任せろ!」とは言えない
「江、それは江だけがそう言っているのではないのか?」
とりあえず、落ち着かせる感じの質問をしたのですが、ここでまさかの虎次郎くんが
「六三郎殿!拙者の義兄上になってくだされ!」
と、平伏して頼んで来た。
「私も虎次郎様も気持ちは一緒です!兄上!お願いします!」
江も同じ様に平伏して来た。そんな中で、五郎さんや、親父達が到着すると
「六三郎殿!若君は何と言っておりましたか?」
と、聞いてくるし、親父は
「六三郎!まさかと思うが、夫婦になる事を認めておらぬよな!?」
と、凄い腱膜で聞いてくる。親父よ、血圧が上がってしまうから、落ち着いてくれ。更に茶々と初は
「江!私達と違って、貴女はまだ余裕があるのですから、慌てなくとも良いではありませぬか!」
「そうです!貴女と同い年の殿方は、まだ二十歳にもなっていないのに、何故、まだ十五歳にもなってない虎次郎様なのですか!」
と、「歳下はやめなさい!」みたいな事を言っているけど、江は
「この人と決めた殿方が、私より歳下なだけで、何故そこまで言われないといけないのですか!!」
そう言いながら、俺の側に寄る。これは、この場では、簡単に収まりそうにないな
「まあまあ、江も虎次郎殿も、父上も茶々も初も仁科様も、とりあえず、こんな狭い部屋ではなく、大広間で話し合いましょう!ほら、移動してくだされ!」
「仕方ないのう」
「「兄上は江に甘いですよ!」」
と、親父と茶々と初から小言を言われたが、仕方ないものとして諦めよう
「虎次郎殿。先ずは大広間での話し合いをしてからですぞ」
「はい」
「江。江の気持ちは尊重するが、先ずは父上達と話し合いをしてからじゃ。良いな?」
「兄上は父上や姉上達を説得してくれますか?」
「出来るかぎりの事はやろう。だから、耐えるのじゃぞ?」
「はい」
とりあえず、江も落ち着いてくれた。それじゃあ、話し合いと言う名の戦に行きますか。新年早々これだもんなあ、今年くらいは仕事少なめを期待していたけど、また例年どおり社畜になるんだろうなあ
今は、それよりも、江と虎次郎くんの幸せの為に戦う事に集中しないとな!