監視者と共にお迎えと善行をしたら仲が深まる
「そう言う事なので、柴田殿。本陣に戻るまでは、我々も同行しますので」
「まあ、仕方ないですからな。こちらとしても構いませぬ」
「柴田殿。小早川家嫡男の小早川藤四郎と申します。拙者も同行させていただきます」
「これはこれはご丁寧に。よろしくお願いします」
皆さんこんにちは。大内家の皆さんを迎えに行く為に、毛利家からの通行許可を貰う為に、居城に寄りましたら、
まさかの吉川元春と、小早川隆景の嫡男が、同行と言う名目の監視者として、一緒に長門国へ行く事になりました。まあ、俺としては問題は無いですし、
これで万が一、毛利家の人達が大内家の皆さんや俺達を攻撃した場合、戦の再開になってしまうので、流石に毛利家もそんな愚行をしない筈でしょう
「それでは、出立しましょう」
そんなこんなで、石見国からのルートしか知らないので、そこから長門国へ出立したのですが、道中、藤四郎くんから
「柴田殿!八歳で迎えた初陣では逃げたいとは思わなかったのですか?」や、
「三河国の内政では、どの様な事に気をつけたのですか」等、
戦の事は武将として当然だけど、内政に関心があるのは、毛利家を支える両川の1つの嫡男だからかな?と思える熱量です
そんな藤四郎くんは源二郎くんや吉兵衛くんと話をしながら、仲良くなっている様で、何ともありがたいです
山中さんの毛利への敵意がどれだけ減っているか分からないから、この光景をみたら、どんな反応をするか分かりません。今回は置いてきて良かったです
天正十四年(1586年)七月一日
長門国 某所
「やっぱり通常の速さで動くのは良いですな」
皆さんおはようございます。安芸国から石見国を抜けて、長門国へ入るルートを通り、1週間かけて長門国に入りました柴田六三郎です
いやあ、中国超大返しなんて無茶な事をしたもんだと我ながら、自分で自分の事を大バカ野郎だと思います。でもねえ、あの場では殆どの武将は「安芸国に毛利が戦力を結集させているに違いない」と
考える筈と思うんですよ。俺みたいな戦経験の少ない若造ですら、考えられるんですから。やっぱり戦経験豊富な昌幸さんと官兵衛さんを近くに置いて正解だったな
そんな事を考えながら、進み続けて、とうとう
「喜兵衛!源太郎!亀次郎殿家族が居たのは、この近くの集落であったな」
「はい。ここら辺で本陣を構えていた時に、我々の前に来ましたから」
「探しに行きますか?」
「そうじゃなあ。儂達は」
俺が話そうとすると、新左衛門が
「殿!近くから火の手が複数上がっております!これは、野盗の仕業では?」
火の手が上がっていると訴える。まだ毛利の領地たから一応伝えておくか
「吉川殿!藤四郎殿!野盗退治に行って来ますので、しばらくお待ちくだされ!」
俺の言葉に吉川元春は
「柴田殿!我々も行きますぞ!藤四郎!」
「ははっ!」
自分達も行くと言っているので、
「それなら共に野盗退治と行きましょう」
「ありがたき!それでは皆!野盗退治に行くぞおお!」
「「「「おおお!」」」」
で、走りだしたのですが、赤備えの皆、この1ヶ月以上、何も無かったからなのか、体力が有り余っていた様で、特に源次郎と銀次郎と新左衛門の3人は
吉川元春と藤四郎くんの移動用の馬をぶっちぎって、先に目的地に到着しておりまして
「そうりゃあ!」
「弱い弱い!」
「儂達を倒したいなら、百人は連れて来い!」
俺達が到着した時点で、3人で30人くらいを殺しておりました。それでもまだ野盗の数は多いので、
「全員暴れて来い!」
「「「「おおおお!」」」」
赤備え全員は勿論、吉田のおっちゃん達も暴れてもらって、残り5人になったので、捕縛しましたら
「も、もう終わっておる」
「馬で移動していた我々よりも早く到着するとは」
呆気に取られた顔の吉川元春と藤四郎くんが到着しました。そんな2人に
「吉川殿!藤四郎殿!我々が沙汰をくだすわけにはいきませぬので、後の事はよろしくお願いします」
と言って、捕縛した5人を引き渡すと、
「見事な働き、感謝する」
そう言われながら、軽く頭を下げられましたが、
「吉川殿。野盗への沙汰を」
と促すと、吉川元春は
「そうじゃな。それでは野盗の者達!」
威厳たっぷりな感じで、野盗に向き合うと
「お主達の頭領は誰じゃ?」
野盗に質問する。すると野盗の1人が
「儂が頭領じゃ!」
自分が頭領だと答える。頭領に
「何故、この集落を襲った?」
集落を襲った理由を問いかけると、頭領は
「別に、この集落を狙ったわけではない。ここ最近、長門国や周防国の足軽達が居なかったから、移動しながら、各地の村や集落を襲ったのじゃ!」
と、長門国だけでなく周防国でも犯行に及んでいたと自白しました。しかし、俺達との戦の為に治安が悪くなるレベルまで足軽を徴兵するとは、余程、毛利は人数不足だっのかな
俺がそんな事を考えていたら、吉川元春が
「そうか。ならば、お主達を全滅させたら、被害が無くなるな。死んでもらおう!やれ!」
「ははっ!」
家臣に対して、野盗全員に槍を刺す様、命令し、家臣達の槍が刺さる。野盗達は全員絶命した事を確認したら
「近くの寺で供養させよ。遺体を持っていけ!」
「ははっ!」
家臣に遺体を寺に持って行かせた。それを確認すると、
「柴田殿。改めて、野盗退治に協力してくれた事、感謝する。我々毛利家の不手際なのに、これ程の働き!感謝しても足りぬ!しかし、柴田殿の家臣達は健脚じゃな
まさか馬に乗っている儂達よりも早く到着するとは思わなんだ。優しく見えて厳しく鍛えておるのは見事」
と、俺の手を握って褒める。働いたのは俺じゃないからなあ、何やら不思議な気持ちになりますが、まあ、否定して変な空気になるのも嫌なので、そのまま何も言わないでおきましょう
で、そんな俺達の元に、
「柴田様!挨拶が遅くなり、申し訳ありませぬ!」
大内家の皆さんが来ました。探さないで見つかった事だけは良かったかな。さあて、これから毛利家の皆さんのリアクションが楽しみだ!




