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出し抜かれる名将と引き寄せ過ぎな六三郎

天正十四年(1586年)三月三十日

石見国 某所


「そろそろ、柴田六三郎とやらが率いる軍勢が、此処に来るはずじゃろう」


声の主は毛利両川のうちの1人で、山陰方面を守る軍勢の総大将の吉川元春。数日前に毛利家お抱えの間者の世鬼からの情報で、六三郎の年齢に驚いていた武将である


そんな元春だが、本来なら毛利家の生命線の1つである、石見銀山を守らないといけないはずだが、甥であり主君でもある輝元が、万が一の為に、石見国の隣の


長門国に置いていた四千の軍勢を連れて出陣した事と、弟の小早川隆景からの頼みもあり、苦渋の決断として、石見銀山の守りを捨てて、


毛利家の本拠地の安芸国と石見国の境に陣取り、六三郎達が来るのを待ち構えていた


そんな元春に家臣は、


「殿。中々、織田の軍勢は動きませぬな。石見銀山で、銀を回収しているのでは?」


と、元春に質問した。しかし元春は


「その可能性はあるじゃろう。だが、銀を回収した後に、安芸国へ向かう可能性は高い。その時こそが勝負時じゃ。今は、ひたすら耐えよ」


「ははっ」


家臣にそう答えて、家臣も納得した。だが、


「父上。それは、定石通り過ぎませぬか?」


納得していない者も居た。それは


「次郎、それはどう言う意味じゃ?」


元春の嫡男の吉川少輔次郎元長きっかわしょうゆうじろうもとながである。何か気になった事でもあったのか、父の元春に反対意見を出した


「そのままの意味です。父上も世鬼からの情報で知っておりますでしょう。柴田六三郎とやらが率いる軍勢は、出雲国で月山富田城を取らなかったのです


もしかしたら、石見銀山も取らないで素通りどころか、安芸国へ直行せずに、あえて長門国から周防国を通る遠回りをして、安芸国を目指している可能性があると思ったのです」


元長の意見に元春は、少しばかり考えて、


「次郎。お主の意見も的を得ている可能性はある」


「ならば、父上」


「だがな、殿が長門国に置いていた兵達を連れて行った時点で、儂達は「長門国と周防国を守る為に安芸国の守りを薄くする」か「長門国と周防国を捨ててでも安芸国を守る」の


二者択一を迫られてしまったのじゃ。長門国と周防国の者達には申し訳ないが、安芸国を守る事が最優先じゃ。だからこそ、儂は織田の軍勢が石見国から来た場合は勿論、


長門国から来ても、吉田郡山城を守れる位置である、この場所に陣を構えておる。だが、恐らく織田は、正確には、織田の軍勢に参戦しておる尼子の残党の


強硬意見で、安芸国へ向かうと儂は思う。だからこそ、耐えよ!良いな」


「父上、そこまで、お考えでしたか。申し訳ありませぬ」


「良い。色々な可能性を考える事は間違いではない。改めてになるが、織田が来るまでは耐えよ」


「ははっ!」


元春の説明に元長は納得した様で、それ以降は何も言わなかった。吉川元春率いる軍勢は、六三郎達が来るのを今か今かと待ち構えていた


一方、その頃の六三郎達は


天正十四年(1586年)四月十日

長門国 某所


「柴田様!読みが見事に当たりましたな!石見国では、毛利の軍勢に遭遇せずに、長門国へ入りました!」


皆さんおはようございます。石見国を抜けて、長門国に入りました柴田六三郎です。いやあ、ホッとしました


毛利の大将に俺みたいな悪知恵の働く人間が居た場所、間違いなく長門国で待ち伏せしているはずなので、どうやら毛利の大将には、そんな人は居ない様ですね


それか、秀吉率いる山陽の軍勢が、押しているから、援軍に向かった可能性もありますが。それでも、俺達は比較的自由に動ける様です


それに、嬉しい変化もありました。それはなんと、俺達と一緒に進軍していくうちに、上杉家、尼子家、黒田家の皆さんの体力が増えた様で、移動もへっちゃらになった事です。この結果に上杉さんと官兵衛さんは


「やはり、織田家中において、柴田家の兵達の精強さは随一ですな。共に行動していた我々も、同じ様に動ける事に自信が付きましたぞ」


「黒田家も同じく。最初は槍や刀をつかないと歩けなくなるほど、疲労困憊だったのに、今では到着したあとも、倒れ込む事も無いですからな」


と、笑っております。で、尼子家は当主の勝久さんがやっと武士としての基礎体力がついて来た様で、最初の頃の様な、疲れ果てている事も無くなりました


そんな中で、長門国へ入るのですから、皆さん、早く戦いたくて仕方ない顔をしております


ですが、流石に石見国の中央付近から、ほぼ休みなしで、長門国へ入ったので、皆さんには一日、いや、二日は休んでもらいましょう。まあ、毛利が攻めて来なければ、という条件付きですが


とりあえず、皆さんが休める寝所と、疲労回復の為の飯でも作りますか!と、俺が思っていたら、


「殿。失礼します」


雷花が俺の側に来た。何か緊急事態か?


「何か起きたか?」


「私の手の者が、此方を伺っている六人組の家族と思しき者達を見つけまして、問いただした所、「毛利と敵対している軍勢なのであれば、全てを話したい」と言っておりますが、如何なさいますか?」


また、何やら訳ありの人達が来た予感がするのですが?


※六三郎の予感はフラグです


「分かった。とりあえず連れて来てくれ。あと、官兵衛殿、上杉殿、尼子殿と山中殿。それから喜兵衛と源太郎にも、その家族との面会に参加してもらおう」


「ははっ。では、皆様にお伝えして、件の家族を連れて参ります」


そう言って、雷花は俺の側から離れた。さて、今度はどんな訳あり家族だ?何だか、現在地の事を考えると、毛利に滅ばされた、あの家に連なる者の予感がするんだが?


※六三郎の予感は(ry


先ずは、会ってみましょうか!

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― 新着の感想 ―
人には沿ってみよ、フラグは立ててみよ、ですねー
まさか六三郎も輝元が動いた結果、名将の選択肢が縛られるとは知る由もないわなw 六三郎の人材コレクターっぷりは天下に比類ないレベルに近付いてきている。
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