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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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報告と丸投げ

元亀三年(1572年)十月十日

美濃国 岐阜城内大広間にて


時は数日前に戻って、こちらは岐阜城内の大広間。信長を始めとする織田家首脳陣が来たる戦の軍議を朝から行っていたところ、


「注進、注進でござる」


一人の若武者が書状を持って走って来た。その書状を見た信長は


「あっはっはっはっ!ま、誠にとんでもない事をやってくれるわ!!」


いきなり大笑いし始めた。そんな信長の様子に家臣達は困惑していたが、落ち着いた信長は丹羽長秀に書状を渡した


「五郎左。声に出して読んでやれ」


「は、はあ。では僭越ながら。え〜、先ず書状の送り主は権六の倅の吉六郎からですな。何々、「昨日から今日の日が変わる頃に夜襲を仕掛けて来た武田軍約三千と戦い、森様、佐久間様ならびにその家臣の皆様の獅子奮迅の活躍のおかげで、武田軍を退ける事に成功しました!」こ、これは殿?」


「儂も驚いた!だが、その続きを読んでやれ」


「では、「夜が明けてそれぞれの死者を確認したところ武田軍五百、我が方は百となると同時に武田軍から二百名を捕虜として捕まえましたが、扱いが分からないので五日から十日後くらいに岐阜城に全員届けます。対応をお願いします」これが吉六郎からの書状の全容です」


信長以外の面々は開いた口が塞がらない状態だった。そんな中で信長は最初に声をかけた


「権六!お主の倅は誠に面白い!!元服前に初陣を経験するだけでなく、数でも戦力でも不利な状況から武田を撃退するとはな」


「殿。お言葉、誠にありがたいのですが、これは現実なのでしょうか?全くもって実感が無いのですが」


「それはしょうがない!恐らく赤備えや鬼美濃といった武田の主力ではない小勢との戦の可能性が高いが、それでも武田を破った事は事実!!これは、吉六郎は勿論じゃが、勝蔵や玄蕃にも詳しく聞かねばならぬな。岩村城を奪われて、おつやの伯母上も殺された可能性を考えると、此度の吉六郎達の勝利は誠に大きく、そしてめでたい!よし、尾張の三十郎と、近江の猿達、そして遠江の二郎三郎にこの事を文で渡して士気を高めてもらおう!そして声高に喧伝してやろうではないか!「武田は元服前の童が総大将の数にも質にも劣る軍勢に負けた」と。くっくっくっ」


「殿、失礼ながら倅が総大将とは俄かに信じられないので、玄蕃と勝蔵に戦の内容を細かく書状に記載させてから喧伝しても良いのではないのでしょうか?」


「ふむ。それも一理あるな。よし権六の美濃の屋敷に急げ!」


信長の命令で吉六郎達は戦の内容を根掘り葉掘り書状に記載する事になった。そして二日後の十二日に内容が判明する


「成程、武田を山の頂上へ来る様に引きずり出して軍勢が間延びしたところに火薬を使った武器を投げ込み武田を分断し、そこから玄蕃の軍勢が追いかけて来た武田を山道を下って上から攻撃し、勝蔵の軍勢が下から山道を登っている途中の武田を攻撃する。そして吉六郎は中間地点の武器を使う最も危険な役割と場所に居た。と」


「なんと見事な策」


「「武功は援軍へ、自らは危険な場所へ」か」


「八歳の子と思えぬ」


「囮と挟撃と分断。これらを全て有効に使いこなすとは」


「それぞれ思うところは有ると思うが、今は胸に秘めておく様に。これから、尾張、近江、三河にそれぞれこの事を記した書状を送る!改めてじゃが、元服前の童が気張って武田相手に勝利を手にした!我々も気張らねばいかんぞ!分かっておるな?」


「「「「勿論でございます」」」」


「うむ。ならば良し。しばし休め」


こうして軍議は終了した

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