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摂津国を抜けて播磨国へ入ったら

天正十三年(1585年)九月一日

摂津国 某所


「柴田様!今日中には、摂津国を抜けて播磨国へ入れます!」


「うむ。山中殿、忝い。佐久間様の軍勢がどの様な状況か、分からないから早く到着したいが、土地勘が無いと何も出来ぬからな。中々に歯痒い」


皆さんおはようございます。10日程前に、尼子家の分家の新宮党の生き残りの皆さんに、「毛利をぶち殺したいから軍勢に加入させて下さい」と言われて、


色々と確認した上で、一緒に行動しております柴田六三郎です。やっぱり潜伏行動をしている人は、隠れながら移動出来る道や、危険だけど早く通れる近道を知っている様で、かなり早く進めております


そんな俺達を先導してくれている山中さんは、尼子勝久殿の覚悟を聞いた時から、尼子家本家の人達の事を忘れております。まあ、これなら万が一、


毛利が尼子家本家の人達を前に出して、「この者達の命が惜しければ、降伏しろ!」と言われてもスルーしてくれそうですので、それはとてもありがたいです


でも、今はそれよりも、佐久間様の元に早く到着したいので、無駄口を叩かずに進軍です


天正十三年(1585年)九月五日

播磨国 某所


「柴田様!播磨国に入りました!こちらから、北西に進むと、美作国へ、真っ直ぐ進むと備前国へ入ります」


「遂に播磨国へ入ったか。通常の道を進んだら、更に日数がかかった事を考えると、誠に新宮党の皆に感謝しかない」


皆さんこんにちは。やっと播磨国へ入った事に安心しております柴田六三郎です。これから播磨国を抜けて、備前国へ入るのですが、


史実の秀吉率いる中国方面軍の序盤で、播磨国の武士達、いわゆる播州武士は家格を重んじるから、百姓出身の秀吉に反抗していたイメージがあるので


俺の柴田家は一応、昔から武士の家だけど、播州武士の皆さんからしたら、ぽっと出の家認定された場合、


播磨国の領主達と戦をやらないといけないのか?と、少なからず考えておりますが、毛利との大戦が待ち構えている事を考えると、余計な手間は避けたい所です


そんな事を考えながら、特に何も無く播磨国を進んでおりましたら、


天正十三年(1585年)九月八日

播磨国 某所


「柴田様!間もなく、備前国との境です。この速度で進めば、二日後には備前国へ入れるかと思われます」


「遂に備前国か見えて来たか!これより先は、毛利が攻撃してくるか分からぬ。皆、いつ戦になっても大丈夫な様に準備しておいてくれ!」


「「「ははっ!」」」


俺が皆に戦の準備を伝えて進軍を再開しようとすると、


「殿!後方より五十騎程が、こちらに向かっております!」


殿軍にいた喜三郎達が報告して来た。この報告に、


「皆!毛利が攻撃を仕掛けに来たかもしれぬぞ!種子島を準備して、構えておけ!」


「「「ははっ!」」」


鉄砲隊を前に配置して、敵が味方か分からない者達を待つ。時間にして、10分くらい待っていると、


「父上!種子島を向けられております!」


と言っている声が聞こえてきました。声だけだと、俺とそんな歳の変わらない人に思える。そんな事を考えていたら、


「我々は毛利の者ではありませぬ!その証として、旗印を見ていただきたい!」


声が壮年の男の人に変わる。恐らく、「父上」と呼ばれる人なんだろうけど、俺は毛利の旗印が分からないので、


「山中殿!毛利の旗印が分かってあるのは、貴殿達しか居らぬ!前方から来る者達の旗印を確認してくれぬか?」


「ははっ!」


山中さんに旗印の確認をお願いします。すると、


「柴田様!あの旗印は毛利の物ではありませぬ!ですが、初めて見る旗印ですので、何処の武家かは分かりませぬ」


毛利の旗印じゃないけど、何処の武家か分からないとの事なので、


「源太郎と喜兵衛!儂と共に前に出るぞ!敵く味方か分からぬのならば、前に出て本人達と話し合った方が早い!」


「「ははっ!」」


俺と源太郎と昌幸さんで前に出ましたら、


「貴殿達も代表者を前に出していただきたい!」


と、遠回しに「出てこいや!」と呼びまして


「いやはや、申し訳ない」


と言いながら、前に出て来たのは


「拙者、播磨国の姫路を本拠地としております、黒田官兵衛孝高と申します。横にいるこ奴は、嫡男の吉兵衛高政と申します。後ろの者達は家臣にございます」


まさかの秀吉の天下取りを支えた名軍師、黒田官兵衛と、その息子の長政でした。ん?でも、長政ではなく高政って言ってたな。あれか、この世界線では大殿に会ってないから、「長」の字をもらってないのか


まあ、目的はそこじゃないから、とりあえず黒田家が何の用かを聞いておくか


「黒田官兵衛殿と吉兵衛殿ですな。拙者、柴田六三郎長勝にございます。前置き無しで話しますが、我々に何か用でもあるのですかな?」


「おお!やはり、貴殿は柴田の鬼若子と呼ばれております若き名将で間違いないのですな!」


「名将かどうかは、分かりませぬが、確かに柴田の鬼若子と呼ばれております」


「前置き無しでと仰っておりましたので、我々もその様に話しますが、柴田殿。此度、柴田殿が率いる軍勢は、山陽道から毛利征伐に出陣した佐久間様の援軍である事は間違いなありませぬか?」


何で知ってるんだよ!でも、面倒くさい腹の探り合いをしなくても良いのはありがたい


「そうじゃが!それで、黒田家の方々、もしや、その援軍に参加させてくれ!と申したいのですかな?」


「はっはっは!流石、柴田の鬼若子殿、我々の考えている事をお見通しとは!その通り!我々黒田家、参加可能な人数は少ないですが、この参戦をもって、織田家へ臣従の意思を示したい!よろしいでしょうか?」


ええ〜、尼子家だけでもクセ強な面々が居るのに、更にクセ強な播州武士の黒田家が参加するのは、ここは年の功と言う事で、昌幸さんに聞いてみよう


「喜兵衛!長年色々な人間を見て来たお主から見て、黒田家は多少なりとも信頼出来そうか?」


「そうですなあ、息子の吉兵衛殿は大丈夫でしょう。ですが、父の官兵衛殿は少々、癖の強い人物かと。ですが、殿ならば良好な関係を築けるでしょう」


何か投げやりだな!まあ良いか、俺に臣従じゃなくて、織田家に臣従と言っているし、五十人くらいなら、居るだけになる可能性も高いし、それなら


「良かろう!黒田家の方々!共に毛利征伐に行きましょうぞ!」


「忝い!」


さて、色々あったけど、早く佐久間様の所に行きますか。

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― 新着の感想 ―
柴田家の家格をどうこう言おうとしても、そもそも配下に居る人達の歴史が中々だったりするのが六三郎クオリティ。 しかし他の人々からしたら六三郎こそクセ強ではありそうw
行軍速度がリアリティのあるところ、好き
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