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希望以上の軍勢は母からの文と共に

天正十三年(1585年)八月五日

近江国 安土城


「若様。いえ、殿!大殿と内府様の命令を受けて、山陽方面軍の援軍に向かう為の軍勢一万五千!只今到着しました!」


皆さんこんにちは。殿が親父と大殿に文を送ってから、およそ1か月。一万人くらい寄越してくれと希望したら、希望以上の一万五千人が寄越されたので、


内心驚いております柴田六三郎です。しかも、一万五千人の中に上杉家の皆さんも居るんだけど?何故?


あれか?武功を多く挙げたら、越後国へ早めに戻してやる!とかの裏取引みたいなやつなのか?


まあ、何かしらの理由がある筈だけど、今回引率して来た吉田のおっちゃんに礼を言っておこう


「吉田殿。忝い」


「殿。これからは、大殿と同じく、吉田とお呼びくだされ。これまで元服前の初陣、元服後の初陣、どちらも参戦出来なかったのですが、


此度、家督を継いで、柴田家当主としての初陣に参戦出来る事、感無量にございます」


「そうか。ならば、儂としても頑張らないといかぬな。だが、吉田よ、これまで父上と共に多くの戦場を駆け巡ってきたのじゃ。無理をするでないぞ?」


「出来るかぎりの事をさせていただきます。と、だけ伝えておきます」


「分かった」


「それでですが、殿。上杉殿が、奥方様より文を託されているのですが、左中将様と丹羽様と殿と、赤備えの大将格数名を交えた場で見て欲しい。との事です」


(おや?お袋が俺だけじゃない数名で文を見てくれ!なんて、絶対なにかしらの意味があるじゃないか!


これは、上杉家の家臣数名も巻き込んだ方が良いな!そうと決まれば)


「吉田!上杉殿に家臣数名連れて来る様に、儂から殿へお頼みするから、その旨を上杉殿へ伝えてくれ!」


「ははっ!」


それじゃあ、殿への取次を頼みますか。


で、殿の了承を得て、大広間に呼ばれましたら


「六三郎!出陣前に用があるそうじゃな?どの様な内容じゃ?」


「はい。実は、母上が殿と丹羽様と拙者、そして、上杉殿と拙者の家臣の一部を交えた場で見て欲しいと文を上杉殿へ託した様でして」


「ほう。叔母上殿が。確か、今は父上も六三郎の実家で過ごしておるから、また何か面白、ではなく、重要な内容かもしれぬな」


(殿?今、面白いって言いかけましたよね?やっぱり、人のドタバタを面白いと思う所は大殿も面白いって言うあたり、親子だよ!でも、今はそれよりも)


「はい。そこで、殿にお頼みしたい事があるのですが」


「どの様な事じゃ?「


「上杉殿の家臣数名も、その場に交えていただきたく。上杉殿だけが知っている状況では、良くないと思いまして」


「ふむ。それも一理あるか。良かろう。六三郎!お主の家臣数名と越後守、そして越後守よ家臣数名を連れてまいれ」


「ははっ!」


で、上杉殿と家臣数名、赤備えからは源太郎と源次郎と庄左衛門を、それから吉田のおっちゃんを連れて行きまして


「さて、全員揃ったか!それぞれの家臣達も連れて来た事じゃ、出陣前なのじゃから、早めに済まそう!


越後守!六三郎の母君から文を託されたそうじゃな!その文を渡してもらおうか」


「ははっ!こちらです」


上杉殿が、殿へ文を渡して、殿が読み出す


「どれ。「左中将殿へ。六三郎の母の市です。六三郎を総大将とした山陽方面軍への援軍の出陣前に手間を取らせて、申し訳ありません。ですが、左中将殿が居る場だからこそ、この文を読んでいただきたいと


思い、文を届けました。先ず、六三郎は当然として、左中将殿も、丹羽殿も何故か、上杉殿が援軍に参戦しているのか?と不思議に思っている事だと思いますが、


その理由として、六三郎の妹で長女の茶々が上杉殿に嫁入りすると宣言して、兄上も権六様も了承しておりますが、二女の初が長宗我部家の弥三郎への嫁入りを宣言した時と同じく、織田家家臣なら武功を一つくらい


挙げて欲しいと思い、出陣していただきました。改めて六三郎、あなたの義弟になる可能性の高い上杉殿の事、頼みます


そして、兄上から聞きましたが、丹羽殿の嫡男を江の婿に推挙したいそうですね?それならば、一度、越前国へ連れて来なさい!私や権六様が「じっくりと」


為人を見ます。改めてですが、左中将殿。柴田家家中の話に巻き込んでしまい、申し訳ありませぬ


そして六三郎!柴田家当主となってからの初陣ですから、しっかりと勝って来なさい!母より」と、あるが、


越後守!茶々殿に惚れられたか!良い事ではないか!しかし、越後守の家臣達は知らなかった様じゃな?越後守よ、伝えてなかったのか?」


「はい。まだ、確定したわけではありませんので」


上杉殿は申し訳なさそうに発言すると、上杉殿の家臣達3名が


「左中将様、発言をお許しいただきたく」


「良い。話してみよ」


「ありがたき!では、柴田様!我々上杉家家臣一同!粉骨砕身の働きをお見せします!なので、戦が終わりましたら、妹君を殿の御正室として、嫁ぐ事をお認めいただきたく!」


俺に平伏して、懇願して来た。親父と大殿が了承したんだから、別に良いと思うんだけどなあ。まあ、何も言わないのはよろしくないから


「分かりました。上杉殿、そして家臣の方々。働きを期待します。ですが、拙者の義弟になる予定なのですから、冷静に戦に臨んでくだされ」


「「「ははっ!」」」


これで上杉家は大丈夫かな?次は、


「丹羽様。文で母上が言っておりますが、戦が終わりましたら一度、五郎左衛門殿を越前国へ連れて来てくだされ」


「分かりました」


「忝い。殿、話もまとまりましたので出陣したいと思います」


「うむ。佐久間摂津のことは勿論じゃが、羽柴筑前の事も頼んだぞ」


「ははっ!」


さて、それじゃあ、毛利との戦に出陣じゃー!

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― 新着の感想 ―
五郎左衛門、知らない所で大御所との会談決まって顔色が悪くなりそうw でも、六三郎の弟妹って織田家の血筋と言っても問題ないから悪い話じゃないのよね。 これには兼続くんもニッコリかな?
いやぁ柴田軍閥というか六三郎の兄弟が増えていきますね。左中将様も父上や祖父を見習って種馬の如く娘を作って嫁がせないと六三郎派閥より少数派閥になって実権を奪われちゃいますよ。って近習から赤マムシと共にハ…
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