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六三郎一行は材料が欲しいだけ

天正十三年(1585年)六月一日

近江国 長浜城


「やはり露天風呂は最高じゃ!権六!湯加減はどうじゃ?」


「大殿、この露天風呂と言う物、とても素晴らしいですな。あまりに気持ち良過ぎて眠ってしまいそうです」


「そうじゃろう!二郎三郎も勘九郎も同じ事を言っておった!だが、ここで寝たら溺れてしまうぞ!」


「そこは気をつけます」


安土城での家督相続承認から、十一日が過ぎた頃、信長はかねてより言っていた、露天風呂へ勝家を招待して、久しぶりの露天風呂を堪能していた


勿論、そこには高代も居て、


「柴田様。お湯の中では、人間の身体は通常よりも少しだけ動きやすくなります。試しに右手を少し動かしてみてください」


「うむ。では、おお。確かに、少しだけではあるが、動きやすい。高代殿、この動きやすさは、これまで毎日お手玉を握る訓練をしてきたからか?」


「はい。訓練を始めた当初は、一番柔らかいお手玉を握る事も出来なかった柴田様でしたが、今では一番柔らかいお手玉を完全に握る事が出来るまで、


あと一歩に来ております。私の母よりも、お身体が強い事も相まって、進捗が早いです」


「そうか。少しでも、右手が動く様になれば皆にかける負担も減るからのう。まだまだ道半ばじゃが、やはり結果が現れると嬉しいものじゃな」


現代のリハビリ現場でも交わされていそうな会話を勝家としていた。その様子を見ていた信長は


「はっはっは!まるで権六に新しい娘が出来たみたいじゃな!それ程甲斐甲斐しく世話をしていたら、茶々達が教わりに来るかもしれぬな」


「そうなってくれたら、ありがたいですが」


「それに権六よ。六三郎が江の婿に五郎左の倅を推挙したいと言っていた話、お主としては、別に嫌なわけではないのだろう?」


「それは、、はい。ですが、先ずは弥三郎と同じく為人を知りたいので」


「それは、そのうち会う機会があるはずじゃ!まあ、市にとりあえず伝えてみよう!市も反対はしないはずじゃ」


「ははっ!」


「さて、それでは長浜城へ戻って、休むとするか。あまり市を待たせても怒られるし、そうじゃな、出立は三日後とするか。今から文を書いて届けさせたら。


文が届いてから十日後くらいには到着出来るはずじゃろう。それまでは、ゆっくりするとしよう!」


「ははっ!」


信長は言葉どおり、露天風呂を出て、一休みしてから、越前国の市へ文を書いて、届けさせた。そして、三日後に長浜城を出て、越前国へ出発した


そして、安土城の信忠達は六三郎のせいで、少しばかり慌ただしい事になる


天正十三年(1585年)六月十八日

近江国 安土城


「殿!甲斐国にて、土地改善に務めております。柴田殿からの文です」


「権六から、ではなく六三郎に家督を譲ったのであったな。儂が認めたのに、いかんせん、まだ慣れないのう。まあ良い。とりあえず文を見せてみよ」


信忠は、そう言いながら文を受け取り読み出す


「どれ。「殿へ、この文が届いている頃、父上と大殿が、拙者の家督相続の事を伝え終えて、長浜城で露天風呂を堪能していると思います。


まだまだ若輩者ですが、柴田家当主として、織田家の為に働く所存にございます。改めて、この文を書いた本来の目的ですが、甲斐国の土地改善において、


数年前に、長浜城近くに露天風呂を含めた風呂の建物を建てる際に、丹羽様を通じて、大殿にお渡しした、城壁にも利用出来る、人の手で作る、


頑丈な岩の板の様な物を、甲斐国で大量に作り、泥かぶれと言う奇病に罹る、甲斐国の民を減らす事が、甲斐国の国土復興に繋がり、武田家の税収も増え、


最終的に東国の安定にも繋がると判断したので、その材料を融通していただきたく、文を書いた次第にございます。この文は、五月の末頃に、


甲斐国で書いたもので、早馬で届く様に送らせたので、問題なく届けば、水無月の中頃に届いているはずです。


そして、その文の内容を武田家の方々も是が非でも。と言う気持ちを持っており、本気度をします為、当主である虎次郎様と傅役の仁科様も、拙者と共に安土城へ同行しております!


なので、材料の融通をお願いします。細かい事は丹羽様に聞いていただければ、分かるはずです」と、あるが、五郎左、六三郎が言っている物の材料と作り方を書いた手順書は持っておるか?」


「はい。確か、安土城内の重要な書物を置いている蔵の中にあるはずです」


「それの内容を確認したい。六三郎に聞いてから必要な物を持っていかせてやりたい、そして定期的に甲斐国へ届ける準備に取り掛かるから持って来てくれ!」


「ははっ!」


信忠が六三郎のリクエストを叶える準備に取り掛かっていた頃、


天正十三年(1585年)六月二十日

美濃国 某所


「虎次郎様、仁科様。あと10日前後で、近江国へ入れる距離にございます」


「六三郎殿。美濃国に来るのは久しぶりじゃが、やはり、甲斐国と比べると、民の顔に余裕がありますな。五郎叔父上も思いませぬか?」


「虎次郎様。それは拙者もそう思います。やはり、戦が無く、内政が安定しているからこそ。でしょう」


「いつか、甲斐国も美濃国の様に、民が笑顔で過ごせる国にしないといけませぬな!道のりは遠くとも、これから!ですな五郎叔父上!」


「そうです。一歩ずつです」


皆さんこんにちは。甲斐国復興の為に、必要な物を安土城の殿にリクエストしたので、武田家の重要人物と、俺含めた赤備えの皆で近江国へ向かっております柴田六三郎です


虎次郎様と五郎さんが、美濃国の賑わい度合いを見て、「いつか甲斐国も同じ様に発展させたい」と意気込んでいます。やっぱり、同じ海無し国だから、思う所があるんだろうな。と勝手に思っております


それよりも、殿達に日本住血吸虫症の説明、どうしようか?武田家の皆様には、「親父が昔、大殿と南蛮人が一緒に居る時に聞いた話を、俺に教えてくれた」


と、言ったけど、親父が安土城に居たらバレるからなあ。それに、親父が居なくても、安土城に居る殿は、


南蛮人に会った事がありそうだからなあ。仕方ない。いざとなったら、死んだお袋が、俺が幼い時にそんな事を言っていた。でも良いし、それか甲斐国の患者データをざっくりとした説明でも、多分大丈夫だろう


とりあえず、安土城に着くまでに、言葉をまとめておきますか。ただ、赤備えの皆は、


「殿!やはり、甲冑を着ての長距離移動は、たまにはやらないと駄目ですな!」


「確かに!上杉の城を攻撃した時、山を全力で走った時は、身体が鈍っている事を実感しましたぞ」


「殿!これから赤備えに入りたいと申す若者が居たら、登り坂を走らせる事と、四種の動き以外もやらせないと駄目でしょうな」


等々、これから赤備えに入りたい人が居たら、更にトレーニング強度を上げる発言をしております。


何か、ここ最近、赤備え創設メンバーの脳筋度合いが上がっている様な気がするんだけど?


まあ、これから先に起こりそうな戦は、関東の北条か、九州の島津か、他の家か?ぐらいだしな。今年年内は無いだろ?まあ、あったとしても、秀吉とかが領地を増やしたいから先陣を切るでしょ


俺は、九州攻めに関しては、「出来るかぎり控えめ」に行こう。出来るかぎり控えめ。これが一番大事。


だけど、療養していたので上杉との戦に不参加だった新左衛門が


「殿!安土城へ行って、材料を左中将様から頂いたら、帰るだけでしょうか?」


「新左衛門。甲斐国から安土城のある近江国までは、織田家の領地なのじゃから、戦を期待しない方が良いぞ?それに、武田家から虎次郎様と仁科様を始めとした面々がご一緒なのじゃから」


「はい。それは理解しております。ですが、安土城へ着いて、佐久間摂津様か、羽柴筑前様の与力に行く可能性は無いものかと思いまして」


と、戦場に行きたいアピールをしてきます。やめろー!!そんなフラグを立てる発言するなー!俺は材料を貰ったら、直ぐに甲斐国へ帰って、


武田家の皆さんへ、戦国時代版コンクリートの作り方を説明するんだ!今から中国地方に出陣なんて、嫌だ!


そうだ!出陣なんて、無い!だって今回俺は赤備えの皆しか居ないんだから、武田家の皆さんを合わせても400人程の軍勢だし、何より武田家当主の虎次郎様は、


まだ元服前の子供!そんな戦場に連れて行くなんて、やったらダメだろ!


すいません。独り言が過ぎました。それじゃあ、安土城へさっさと行って来ます


※六三郎の独り言は特大フラグです

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― 新着の感想 ―
信忠さんが当主になって、六三郎に振り回されず逆に振り回せるようになったら信長もある意味で安心しそう。 しかしそうか、参戦フラグ立っちゃったかぁ…w
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