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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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息子達は父の過去の主家を知り、考えた結果

竹千代と竹二郎がボロボロになっている理由を聞く為、信康は於義伊を連れて家康の居る大広間へ行くと、そこには


「徳!!何故ここに?父上!」


「三郎、於義伊も連れて来たか。ならば、小五郎。長丸も連れて来い。全員居た方が話も伝えるのが早い」


「ははっ」


家康に命令された酒井忠次は、家康の三男の長丸を大広間へ連れて来ると、家康は


「全員揃った様じゃな、それでは」


話を始めようとするが、信康が


「お待ち下さい父上!その前に、何故、竹千代と竹二郎はあの様に、気を失う程に疲れ果てていたのですか?更に、何故、ここに徳がいるのか、教えていただきたく」


家康に質問する。しかし家康は


「三郎、今から話す事は、竹千代と竹二郎を鍛えておった理由も兼ねておる。それを話すから、今は何も言わずに聞け。そして、於義伊と長丸も、しっかりと聞くのじゃ」


「分かりました」


「「はい!」」


「うむ。では、儂が竹千代と竹二郎を、気を失うまで鍛えておった理由じゃが、徳川家の行く末が心配になったからじゃ。三郎、於義伊、長丸。お主達には、


詳しく話してなかったが、儂はな、長丸ぐらいの歳に、当時、駿河国、遠江国、三河国を治めていた今川家に人質になっておった。その頃の今川家当主、今川義元公は、当時、堕落していた幕府に代わり、


天下に号令出来る唯一の人間であると思われていた。だが、本人や周りの者達もそう思っていたのだろう。


その自負が慢心を生んだのじゃろう、義元公は二十五年前に、桶狭間の戦で織田家に討ち取られた。三ヶ国を領有する家の当主が討ち取られたのじゃ。それはとても大きな衝撃であった


だが、戦は時の運もある。総大将が討ち取られる戦も遥か昔より、少なからずある。だが、家がその様な状況になったならば生き残った嫡男、


嫡男が討ち取られたのならは、二男以降の男児が動揺している家をまとめあげて、当主の敵討に挑むなり、新たな領地獲得の為に動いたりとするのが、武家の男児としての習いである。それは三人共、分かるな?」


「父上!仰っている事と、竹千代と竹二郎が気を失った事と何の関係が」


信康が家康の話の意図を理解出来てなかったので、徳姫は


「三郎様!義父上は、竹千代と竹二郎が甘やかされている事を、叱責なされているのです!何故、お分かりにならないのですか!!」


涙ながらに信康に訴えた。徳姫の訴えを聞いた信康は、


「ち、父上!今の徳の言葉は誠ですか?」


思わず家康に問いかけると、家康は


「やっと分かったか。徳の言うとおりじゃ三郎よ。儂が今川家の話をしたのはな、義元公が討ち取られた「後の」今川家の事を伝えたかったのじゃ。続きを話すがな三郎よ、義元公が討ち取られた後、


今川家の家督を継いだ五郎氏真ごろううじざね殿、そして、二男の月之助長得つきのすけちょうとく殿は、今川家の重臣の殆どが、


桶狭間で討ち取られた不運もあったとはいえ、父の義元公が生きている頃に、内政や軍事で働いてなかったのじゃろう。家臣達の離反が相次いで、そこに武田家と、徳川家からの攻撃を受けて、最終的に


今川家は領地を失い、大名としての今川家は滅んだ。ここまで言えば、三郎も於義伊も長丸も、儂が言いたい事が、分かるな?」


「父上は今の竹千代か竹二郎が家督を継いだら、徳川家が、今川家の様に滅んてしまう。と、仰っているのですね」


「そうじゃ。儂もいつ死ぬか分からぬ。儂の場合は、三郎が内政も軍事も、それなりに経験を積んでおるから、大丈夫だと思うが、問題は竹千代達の世代じゃ!


はっきりと言うが、織田家が天下統一したその時、織田家の頂点に三郎殿が居て、実際の差配を行なう勘九郎殿が居たのであれは、


徳川家に少なからず気を使ってくれると思うが、勘九郎殿の嫡男が家督を継いだ時、徳川家は竹千代か竹二郎が家督を継いでいる筈じゃ。その時、竹千代と竹二郎が、甘やかされたままであれば、間違いなく、


徳川家は織田家の天下の政の中で埋もれてしまう!更に言うならば、勘九郎殿の嫡男が家督を継ぐ頃は、


織田家の重臣に六三郎殿が居る。単純に考えても、今の儂より少し上、五十歳くらいの歳じゃろう。若いを超えて、幼い頃から内政でも軍事でも働いて結果を出しておる六三郎殿が、


織田家の重臣として、勘九郎殿の嫡男を補佐したら、柴田家は徳川家以上の発言力を持つ!六三郎殿本人にその気は無くとも、実績と立場で対抗出来る者は、


同年代の武士では、誰一人として居らぬ!断言しても良い!極端な言い方になるが、三郎!竹千代と竹二郎が甘やかされたまでは、お主が還暦を超えても働かないといけない事になるぞ!分かっておるのか?」


信康に自分が死んだ後の話を、かなり具体的に伝える。それを聞いた信康は


「父上がそこまで考えて、竹千代と竹二郎を鍛えていたとは。深い意味がある事を理解出来ず、申し訳ありませぬ」


そう答えて、家康に頭を下げた。家康も、


「まあ、理解出来たなら、三河国で同じ様にやれば良い。それが無理なら」


「無理なら」


「柴田家に二人を行かせて、鍛えてもらえ。前年に織田家に臣従を認めてもらう為に来た長宗我部家は、嫡男が六三郎殿に内政を学びたいという事で、客将として、六三郎殿と行動を共にしておるが、実際は人質じゃ


だが、柴田家には長宗我部家の嫡男以外にも、織田家家臣の男児も女児も関係なく、色々と鍛えられておるそうじゃ。三郎と於義伊は、美濃国の柴田家屋敷で同じ様な事をやっていたから分かると思うが、


柴田家では、六三郎殿を内政で支えておる利兵衛殿がかつて美濃国を治めていた斎藤家に仕えていた事もあって、教える事にはとても上手い。だからこそ三郎、


ここは覚悟を決めて、勘九郎殿や三郎殿に話を持っていってみぬか?徳川家の将来の為じゃ」


家康の命令ではなく、懇願に信康は、


「分かりました。義父上と義兄上に、その旨の文を出したいと思います」


「うむ。柴田家に行かせたら、間違いなく鍛えられる。三郎と於義伊がそうであったからな。ついでじゃ、長丸!お主も柴田家で鍛えられてくるか?」


「はい!今のままでは、ただ飯食らいになるので、色々学びたいです」


「分かった。三郎、そう言う事じゃ。儂からも文を出す。だから、勘九郎殿と三郎殿に話をしてこい」


「ははっ!」


こうして、通算3回目の徳川家の人間が柴田家で世話になる話が出て来て、しかも今回は徳川家嫡孫と言う重い立場の人間が世話になる流れになった。

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他大名家「うちも嫡男を柴田家に修行に行かせねば取り残される!乗るしかないこのビッグウェーブに!」 大名の嫡男がズラリ 六三郎「どうしてこうなった?」
柴田家は婚活会場ではないのですが、いい男もいい女も柴田家で育成されるなら実質婚活会場ですわ。 という未来が本格的に。
信康が変に反発しないかと、過去の回を読み直しながら楽しみにしてました。 鬼若子の異名で勘違いされがちだけど、六三郎子供の頃から親父殿にバチバチに鍛えられた上で、仕事としてはほぼ内政や理財周りのことし…
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