表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
462/476

親父は婿殿と話したあとで

「ははっ!拙者が長宗我部弥三郎信親にございます!自己紹介が遅くなり、申し訳ありませぬ!」


親父に呼ばれた弥三郎は、慌てて前に出て来た。弥三郎を見た親父は、


「見たところ、六三郎と同い年くらいか?」


「は、はい!六三郎殿と同じ今年で二十一歳になりました!


うん。弥三郎の凄まじい緊張が、俺だけじゃなく赤備えの皆にも伝わっている。まあ仕方ないか。このまま行けば、弥三郎にとって親父は「舅殿」になるわけだしな


失礼な言動が無い様に気をつけるのも仕方ない。で、そんな親父は弥三郎に


「そう固くなるな弥三郎。儂はな、弥三郎が初に惚れられて、弥三郎も初に惚れたと聞いておる。そして、


市に、「初を嫁に迎えるのであれば、武功のひとつくらい挙げて来い!」と言われておる事もな


それで確認じゃが、上杉の足軽でも良いから首級の一つくらい取れたか?」


「は、はい!徳川様と武田様の軍勢と同じ場所で待機していた時、上杉の足軽達が我々の場所に逃げて来たので、戦って首級を一つ取りました」


「そうか。ならば、一応武功は挙げた事になるか。それなら市が出した条件を成し遂げた事になるか」


色々と聞いて、その成果を確認している様で、最終的に


「弥三郎!!」


「は、はい!」


「初の事を、よろしく頼むぞ」


「し、柴田様。では」


「弥三郎と初が夫婦になる事を認めよう」


親父が弥三郎と初の結婚を認める発言をすると、


「柴田様が若様を認めてくださった!」


「これで!これで!初姫様が若様に嫁入りなさる!」


「大殿にこの事を早くお伝えせねば!」


赤備えの皆の近くに居て、親父の声が聞こえていた長宗我部家の家臣達が一気に盛り上がる。その声は遠くにいる長宗我部家の家臣達にも広がって行き


「柴田様!ありがとうございます!」


「若様!おめでとうございます!」


と、4000人の歓喜の声になり、最終的には


「弥三郎殿!おめでとう!」


「初姫様は、我々赤備えにとっても大切な姫様じゃ!幸せな暮らしをさせてくだされ!」


と、赤備えの皆まで祝いだして、万雷の拍手って、こんな状況なんだろうな。って思うくらい、詰所が騒々しくなった。勿論、それに対して親父は


「うるさいから静かにしろ!」なんて言う程、器の小さい男じゃないから、静かになるのを待って、やっと静かになったと思ったら、


「さて!皆に伝えておかねばならぬ事がある!ついでじゃ!長宗我部家の者達も、丹羽家の者達も聞いてくれ!


皆も知ってのとおり、儂は此度の戦の最中、不覚にも気を失い、二十日ほど寝ておった。儂が寝ている間に、六三郎を中心とした皆が、上杉の城を落とす働きをしたと聞いた


そして、皆が更なる攻勢を強める為に、突撃し始めた頃に、儂は目覚めた。動ける様になった頃には全てが終わっていた。しかも、寝ている間に右手が少しばかり


動かなくなってしまった。そこで六三郎に言われてしまった言葉が、「次倒れたら、年齢的にも、肉体的にも死んでしまうから、自分に家督を譲って越前国でゆっくり過ごせ」じゃ」


親父の言葉に、赤備えの皆かざわつく。それでも親父は皆が静かになるまで待って、静かになると話を再開する


「改めてじゃが、儂も還暦を超えた。常識外れこの上無い六三郎の事は、今でも多少、いや、かなり心配ではあるが、


それでも、此度の上杉の城を攻略した働き、そして、皆が居る事を考慮して、大丈夫だと判断して、儂は六三郎に家督を譲る!」


親父の発表に、赤備えの皆どころか、長宗我部家、丹羽家の皆も静かになる。それを破ったのは源太郎だった


「で、では大殿!これからは若様が柴田家の全権を担うと言う事なのですね!?」


「そう言う事じゃ。此度、儂は北陸方面軍の総大将として、柴田家が動かせる軍勢のほぼ全てとも言える二万を動かしたが、これからはそれを六三郎が動かす事になる。


まあ、北陸方面軍の戦は終わったのだから、何処かの与力として出陣しなければ、当分、戦は無いと思ってくれ


さて、改めてじゃが赤備えの皆、これからは六三郎を「若様」ではなく、「殿」と呼んでやってくれ!


そして、六三郎が人の道を外れた行動を取った時、皆の諫言を聞く耳を持って居なかったら、遠慮なく儂に伝えよ!いつでも六三郎を嗜めてやる!」


親父がそう言うと、赤備えの皆は


「「「ははっ!」」」


一斉に平伏して返事をした。それを見た親父は


「六三郎!お主が家督を継いで新たな柴田家当主なのじゃ!最初の挨拶をせんか!」


と、俺にふってきた。こういう場面は難しい言葉よりも分かりやすい言葉が良いから


「赤備えの皆!今しがた、父上が話されたとおり、此度、儂が家督を継ぐ事が決まった。儂が当主になったと言えど、早急に何かを変えるつもりは無い!


皆の意見を聞きながら、変えるべきところ、変えなくても良いところを考えながら判断していこうと思う!


だからこそ、変に肩肘を張らずに、今までどおり接してくれ!」


「「「ははっ!」」」


俺の当主就任挨拶を聞いて、赤備えの皆が平伏する。まあ、少しずつで良いよな?いきなり全てを変えたら、それこそ俺も含めて全員がパニックになるし!


少しずつ!そう、少しずつ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
普通は世代交代したら軍団長は変更、この場合は明智さんとかだけど 明智さんの娘婿だしまあ主人公でええかとなるか
六三郎くん、偶に言われるけど意外と戦場に立った回数少ないからね。さすがに万を率いる総大将をやるには準備がいりますなw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ