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一方その頃の上杉家と突撃部隊

場面は少しだけ戻り、春日山城内の上杉家の面々が大広間で織田家に対して、次の攻撃の軍議を開いていた場面から始まる


「殿!あれから織田家は二十日以上、動きがありませぬ!これは、我々の攻撃で重要人物が討死したか、動けなくなる程の負傷を負ったのだと思われます!ここは一気呵成に攻撃を仕掛けるべきかと」


一部の家臣が景勝に織田家への攻撃を進言する。他の家臣達も


「そうですぞ殿!此処は一気呵成に!」


「織田の弱兵なんぞ、越後武士なら一捻りじゃ!」


「そうですぞ!今ならば!」


「そうじゃあ!」


攻撃する事を押している。中には今から攻撃しようという家臣も居る程だ。景勝も家臣達の言っている事は理解出来るが、簡単には決断出来なかった


そんな景勝の心情を読んだ直江兼続は、


「各々方。お気持ちは分かりますが、敵は織田家だけでないのです。軒猿が掴んだ情報によると、織田家の同盟相手である徳川家、


更には前年に織田家に臣従した武田家も、援軍として出陣して近くに陣取っているとの事


そして、その援軍の総勢は推定ではありますが、一万五千を超える大軍が近くに居るのです


あまり無闇に織田家に攻撃しては、背後から攻撃を受ける可能性もあるので、血気にはやるのは」


と、家臣達を宥める。家臣達も、織田家だけなら戦える自信があったが、推定一万五千を超える大軍が近くに居るとなると、簡単に出陣するとは言えなくなった


軍議が煮詰まった事を確認した景勝は、


「一旦、軍議は終わりじゃ。我々はかき集めても二万五千、じゃが織田家と援軍は合わせたら四万、いや、五万に届く大軍じゃ。その事を考えた上で、昼から軍議を再開する。一旦解散じゃ!」


「「「「ははっ!」」」」


景勝の言葉を聞いて、家臣達が立ち上がると、


ドーン!!


六三郎達が仕掛けた簡易ダイナマイトの爆発音が鳴り響く。爆発音の後に大きな揺れを景勝達も感じ取り、


「な、な、何事じゃ?敵襲か?」


「分かりませぬ!ですが軍勢を!うおお!」


「し、し、しっかりせんか!うわあ!」


揺れに負けてマトモに立つ事もままならない状況になっていた。そして、揺れが終わると、


「誰ぞ!外を見て来い!この機会に敵襲があるやもしれぬ!急げ!!」


「ははっ!」


景勝は近くの家臣に命令して、外を見に行かせる。家臣本人、そして本人の家臣20人ほどで、城の外へ出て確認すると、


「し、し、城の土台が!」


「どうした?どの様な状況じゃ、、ああ!」


「土台が!土台が抉れております!」


「い、急ぎ殿へお伝えしないと!」


家臣が春日山城の中へ戻ろうとした時、ズズズッ!ズズズー!と音が聞こえる。音の方向に振り向くと


「ゆ、雪じゃあ!逃げ!」


家臣は周囲の者達に逃げる様、叫ぼうとしたが、その前に雪崩に巻き込まれた。家臣の家臣達も同じく巻き込まれて、周囲は一面雪景色になった


そして、雪崩は景勝達にも襲いかかり、


「うおお!雪崩じゃあ!城の一部が壊されたそ!」


「雪を掻き出せ!」


「足軽達を!うわああ!」


大小の雪崩が春日山城の中へ入り込む。兼続は、このままでは全員雪崩に飲み込まれると判断して、


「殿!そして各々方!城の外へ!このままでは、城が雪に埋もれてしまいます!急いでくだされ!」


「早う!!皆、急げ!」


「ええい!仕方ない!」


動ける面々が春日山城から退避を始めている頃、東側に待機していた信康達は


「な、何と!雪が城の方へ向かっておる!典厩殿!これが六三郎殿の狙いだった様ですな!」


「その様ですな三河守様!どの様な策かと、最初は疑っておりましたか、これか柴田の鬼若子の軍略の才!見事過ぎますぞ!正しく、鬼神の如き!」


「典厩殿!話していましたら、六三郎殿達から狼煙が上がっておりますぞ!「


「それでは三河守様!参りましょう!」


「皆!狼煙じゃあ!徳川家の強さを越後の者達に見せようぞ!」


「「「おおお!」」」


「武田家も続くぞ!甲州と信州の武士の強さ、越後の者達に刻みつけてやれ!」


「「「おおお!!」」」


東側は六三郎の策に興奮しながら、突撃を始めた、そして、西側に待機していた信長達は


「うお!お、大殿!これが六三郎の考えた策ですか!」


「誠に地面を攻撃するとは!大殿!いつでも出陣出来ます!」


「大殿!突撃の準備は整っております!」


利家、成政、光秀が六三郎の策に驚いたり、突撃命令を待っていると信長は


「待て待て待て!六三郎の策の総仕上げが、これから始まるところじゃ。城の方向を見てみよ」


信長が春日山城を指差して、3人も城を見る。すると、


「ああ!雪が城へ向かって!」


「何と恐ろしい!そして素晴らしい!」


「人ではなく雪に攻撃させるとは!」


3人の様子と、雪崩の状況を見た信長は


「そろそろ雪崩と揺れが終わるはずじゃ!いつでも出陣出来る様にしておけ!」


「「「ははっ!」」」


信長は雪崩と揺れが終わる事を待っていた。そして、両方が終わり、狼煙が上がった事を確認すると


「よおおし!揺れも雪崩も終わり、狼煙も上がった!!全員突撃じゃあ!」


「「「おおお!」」」


信長は命令を出した直後、勝家が目覚めた報せを聞いたので、


「権六は儂が見ておく!三人共、六三郎達が見事な働きを見せたのじゃ!不甲斐ない働きを見せては笑い者じゃぞ!気張って来い!」


「「「ははっ!」」」


こうして、上杉家の面々がパニック状態で城から退避している頃、東西から合わせて五万超えの軍勢が自分達に向かっている事を上杉家の面々は、まだ知らない。

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― 新着の感想 ―
装備を整えようとしたら雪崩に飲まれて、命を優先して急いで逃げ出したら織田軍に狩られる…。
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