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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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黙って飯を食え!話はそれからだ

とりあえず、捕虜の皆さんに飯を食わせると決めたわけですが、うちはどデカい旅館でもホテルでもないから二百人分のご飯をまとめて提供なんて出来ないから、四十人ずつの五組に分けよう。飯富兄弟はセットにしないと面倒くさいから、一組目に食わせてしまえ


「兄上、森様。台所の皆に指示を出してきますので捕虜の皆を見ていてくださいませ。間違っても切ってはなりませぬぞ」


釘を刺しておかないとやりかねないからね。で、おれが台所に着くと


「若様。いかがなさいましたか?」


つるさんを筆頭に皆さん驚いているよ。まあ、たまにしか来ないからね。それよりも


「つる殿。今から二百人分の飯を作ってくれ」


「に、二百人ですか?それはかなり時間がかかるのですが」


「二百人分をまとめてではなく、四十人分を五回に分けて作って欲しい。それこそ尾張で食べていた焼いた味噌漬け肉や鶏の揚げ物も一人二つずつくらいつけてやってくれ!それ以外は普通の飯と味噌汁で良い。肉の数が足りぬならば、今から狩りに向かうぞ」


「いえ、肉の数は大丈夫なのですが、四十人分となると四半刻は準備に時間がかかりますが」


「それでも構わぬ!出来上がったら順次大広間に持って来てくれ」


「は、はあ。分かりました」


「では料理を開始してくれ」


俺がつるさん達に頼んで台所を後にして、元の場所に戻ったら


「そ、そんな事は」


と源次郎さんの大声が聞こえてきた。何かと思って物陰から会話を聞いてみたら


「恐らくだが、お主達を助ける為に武田は来ぬぞ」


「儂もそう思う。恐らく、いや、ほぼ間違いなくお主達は捨て駒にされる」


「そ、そんな事はない!きっと此度の失態を無くす為に大将の秋山様は我々の為に来てくれるはずじゃ」


「それならば、何故に武田の間者が周りに居ないのかのう?武田と言えば、孫子の兵法の様に緻密な戦をすると聞くし、敵の情報を知る為に間者を大量に使うと聞いている。なのにも関わらず、全くもって間者が居らぬとはどう言う事かのう?」


「玄蕃、あまり言うてやるな。源太郎殿よ、これはあくまで推測なのじゃが、武田は此度全軍を出陣させて東海道から京へのぼるつもりなのだろう。ならば、東海道からは遠い此処に来る可能性はほぼほぼ無いと思わぬか?」


「そ、それは」


「兄上。その様な戯言に騙されてはなりませぬ」


あ〜あ〜あ〜。頼むからそこまで煽らないでくれよ。俺は戦じゃない時は要らぬ緊張感を持ちたくないんですよ。止めないとダメだろうな


「兄上達。捕虜の皆に飯を食わせてから話し合いはやりましょう。腹が減ってはなんとやらですからね」


俺が皆を止めると同時のタイミングで


「若様!最初の四十人分が揃いました」


つるさんナイスタイミングです


「さて、捕虜の皆も先ずは飯を食べてくだされ!と言っても一気に人数分は出せぬので、最初は飯富兄弟を含む四十人分を準備した。兄上、源太郎殿の縄を外してくだされ。そして源太郎殿は源次郎殿を含めた三十九人の縄を外してくだされ!」


「拙者が良からぬ事を考えていると思わぬのか?」


これは煽られっぱなしだから、カウンターを仕掛けて来たな。こんな時は


「源太郎殿が良からぬ事を考えて実行した結果、拙者が死んだなら、それは間抜けが死んだだけの事。もっとも此処にいる織田家の若き猛将二人とその家臣達を全員倒して逃げられるとお思いなら、思慮浅き者として死んだ後に笑い者にされましょうな」


「おのれ童!兄上を馬鹿に」


「やめんか源次郎!!分かり申した吉六郎殿。何もせずに飯を食わせてもらいまする」


と言う事で最初の四十人が飯を食べ始めました。しかし予想以上の食べっぷりですよ


「う、美味い!この米と焼いた味噌漬け肉のなんと美味な事。そして鳥の肉を油で揚げたこやつも美味い!噛めば噛む程肉汁が出る。食べ終わるのがもったいない」


なんだか最初の一組目の時点でテンションマックスになってる人が多数です。それはデカい声で反抗していた源次郎さんも例外ではなく


「ふん。敵の施しなど受けるつもりは」


「黙って食わんか源次郎!我々の為に準備していただいたのだ、少しも口にしないのは甲斐の人間が礼儀知らずと思われるではないか。儂も他の皆も食っておるが、毒など入っておらぬ!お主は腹が減っているから気が立っているのじゃ!先ずは食え」


「兄上がそこまで仰るなら」


源太郎さんに言われて仕方なく食べ始めた源次郎さんだけど、食べっぷりは他の皆さんよりも凄まじく米粒ひとつ残さず食べて皿も茶碗もとても綺麗でした。これで少しは静かになるだろうな


こうして一組目が食事を終えて少し間が空いたら二組目の飯が出て、とそれの繰り返しで最終五組目の飯が出て来て終わった時、外はもう夕方になっていた


皆が食べ終えたのを確認したから源太郎さんが


「誠に美味い飯、感謝いたす。人生最期の飯がこれほどまで美味なものならば、清らかな心で死ねるもの。なので、先程も申したとおり、我が首で佐野様の首と鎧、そして皆の命を助けていただきたく」


「何か死に急いでいる様ですが、拙者は今すぐに皆をどうにかするつもりはありませぬぞ?」


「「「「「えっ?」」」」」


いや、捕虜の皆さん。ここ喜ぶところですよ?そして脳筋コンビさん、あなた達まで驚かないでくれませんか?

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