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赤備え達の里帰りと墓参り

偉いさん達から許可を得た俺は、赤備えの皆の元へ走って行って


「源太郎!源次郎!」


飯富兄弟を呼ぶ。2人共、同じ場所に居た様で


「若様!何かありましたか?」


「今から出陣ですか?」


「いや、今から赤備え全員を集めてくれ!重要な話がある!急げ!」


「「は、ははっ!」」


2人に命令して動いてもらうと、約30分後には全員集まった。躑躅ヶ崎館の周辺が広くて助かります。それじゃあ、本題に入りますか


「さて!休息を取っていた所、済まぬ!だが、儂が皆にやってもらいたいと思う事が、この2日間に出来る様になった!


真田親子と小吉以外の面々は、いつでも動ける様に準備をしておく様に!それでは発表する!この2日間で皆にやって欲しい事は、墓参りと里帰りじゃ!」


俺がそう言うと、軽くざわついている。そんな中で源次郎が質問してくる


「若様!もしや、今のお言葉は十前に尾張国の三十郎様のお屋敷で、拙者と銀次郎と新左衛門に話してくださった事てすか?」


「そうじゃ!元服前に尾張国に行った時、儂の夢であり、目標のひとつである、皆の里帰りと墓参りを、この2日でやって来て欲しい!これから行なう上杉との戦で討死してしまうかもしれぬからこそ、


今、全員が居るこの時に、里帰りと墓参りをやって来て欲しい!儂に付き添いをして欲しいのであれば、付き添うぞ!」


俺がそこまで説明すると、源太郎が


「若様!拙者と源次郎の墓参りに付き添いをお願いしたく!父上と母上に若様を紹介したく!」


「それならば拙者も!」


「同じく!」


「拙者も!」


と、結局全員が俺の付き添いをリクエストして来ましたので、


「それならば全員で動くとしよう!その方が早い!そうなると、喜兵衛!」


「ははっ!何でしょうか?」


「難儀な事かもしれぬが、2日ほど長宗我部家と内ヶ島家と丹羽家の面々の事を任せるぞ。息子達や小吉を使って、何事もない様に頼む」


「承知しました。お気をつけて」


と、いう事で今から出立です。なんだかんだで甲斐国は広いので、馬を武田家から借りまして、最初の墓参りは、相模国に近い場所が実家の金之助からで、


そこで金之助は


「父上、母上、兄上、姉上。武士として、立場が低かった拙者でしたが、かけがえのない、唯一無二の主君の元、しっかりと生きております!あの世で見守っていてくだされ」


両親と兄姉の墓前に手を合わせて、俺達も手を合わせた。それを、各人の家族の墓前でやって、1日目は、甲斐国の東側を周りましたら、野営して、2日目は西側を周りながら、


家族が生きている家では、「生きているなら、甲斐国に戻っているなら、何故すぐ、家に顔を見せに来ない!この馬鹿者!」


と、怒られて、俺が代わりに怒られたりしながら、回る残りの家が


「残りは銀次郎と新左衛門と、源太郎と源次郎か」


となって、銀次郎が


「若様。拙者の実家が残った面々の中で、一番遠いので、最初に寄っていただきたく」


「分かった。皆もそれで頼む」


「「「ははっ!」」」


皆も了承したので、銀次郎の実家の土屋家に行きますと、家の中は明かりが点いておりました。銀次郎が少し躊躇していたので、俺が代わりに戸を叩くと


「何用でござるか?」


銀次郎の兄貴の惣右衛門さんが出て来た。まあ、当然か。だって、土屋家の当主だもんな


「惣右衛門殿!いきなり来て、申し訳ない!」


「六三郎殿!赤備え全員連れて、どうしたのですか?」


「惣右衛門殿も聞いていると思うのですが、我々は明日から上杉との戦に出陣します。その前に赤備えの中で、甲斐国出身者の皆に里帰りや墓参りをしてもらいたくて、


全員の実家や家族の眠る墓に行って来まして、残りが銀次郎の実家である土屋家を含めた数軒なので、寄らせてもらいました。惣右衛門殿、惣右衛門殿以外のご家族は居りますか?」


「拙者の嫁と、息子だけです。両親共に亡くなっております。銀次郎だけでは申し訳ないので、六三郎殿も入ってくだされ」


惣右衛門さんに案内されて、家の中に入ると、


「惣右衛門様?客人ですか?」


「父上。お役目に行くのですか?」


惣右衛門さんの奥さんと息子くんが居た。奥さんは光や花と同世代くらいで、息子くんは京六郎と同い年くらいかな?俺がそんな事を考えていると惣右衛門さんが


「六三郎殿、拙者の嫁の夏夜かよと、嫡男の惣太郎そうたろうでございます。銀次郎、お主にとって義姉と甥にあたる。


そして、夏夜は二人目を授かっている。六三郎殿、銀次郎は嫁を娶っておりますか?」


おや?惣右衛門さん、多少は銀次郎の事を気にしてくれていたのか?そんな事を言うなんて。まあ、とりあえず話すくらいは良いかな


「銀次郎。惣右衛門殿に伝えても良いか?」


「はい」


「では、惣右衛門殿。銀次郎ですが、嫁はまだ娶っておりませぬ。ですがある女子に惚れられて、その女子が「銀次郎の嫁になる!」と、宣言して、銀次郎もその女子を嫁にする覚悟を持っているのですが」


「直ぐに夫婦になれない理由でもあるのですか?」


「はい。その女子なのですが、先頃、家督を移譲しました織田内府様の娘なのです」


「は、は、はああ!?」


落ち着いていた惣右衛門さんが大声で驚いていますが、続けます


「驚いている所、申し訳ありませぬが、話を続けますぞ。その姫君ですが、内府様より家格の問題を解決する為、織田家重臣の羽柴筑前様の養女になりまして、


そこまでは良かったのですが、丁度同じ時期に羽柴様が山陰地方へ軍勢を率いて出陣しまして、その羽柴様達が戻るまでは銀次郎と夫婦になる事を禁じられているのです」


「何とまあ、弟がその様な状況になっていたとは」


「ええ。そして、年明けに我々は上杉との戦へ出陣します。その前に赤備えの中で甲斐国出身の者達に、里帰りで家族へ挨拶をしたり、墓参りをしてもらっていたのです


改めてですが、惣右衛門殿。ご両親に手を合わせてもよろしいでしょうか?」


「はい。父上も母上も喜ぶでしょう」


惣右衛門さんに促されて、銀次郎と一緒に手を合わせる。時間にして5分くらい手を合わせると、


「若様。ありがとうございました」


銀次郎が声をかける。そして、


「兄上。ありがとうございました。これで、胸の内の棘の様なものが取れた様な気がします」


「そうか。まあ、儂が何か偉そうに言える立場ではないが、しっかりと武功を挙げてこい」


「はい」


銀次郎の顔がスッキリしたなら、細かい事は聞かないでおくか。さて、残りは新左衛門の原家と、源太郎と源次郎達だな。

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