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姉弟が鍛えられている頃、父親達は

天正十二年(1584年)十月二十六日

越前国 柴田家屋敷


「それでは、摩阿、又若丸!母と叔父上は帰りますからね!「しっかりと」鍛えてもらいなさい!」


「「はい!」」


前田家の面々が柴田家で一泊した翌日、まつと安勝は、摩阿姫と又若丸を柴田家に託して帰って行った。


2人の姿が見えなくなると、市が、


「さて、これから摩阿は忍耐力と教養を鍛えて、又若丸は、頭と身体を鍛えますよ」


「「はい」」


「それでは、又若丸は光三郎達と一緒に、訓練用の坂に行きなさい。そこで、皆と同じ動きをしなさい。光三郎、連れて行きなさい!」


「ははっ。それでは又若丸殿、こちらです」


「はい」


「そして、摩阿。あなたは娘達と共に、私と色々とやるのですよ。よろしいですね?」


「はい」


「では、先ずは長刀を振る事からです」


「はい」


摩阿は市と共に、又若丸は光三郎と共に、それぞれ修行の日々がスタートした。


我が子が変わる第一歩を歩みだしていた頃、父の前田利家が参戦している北陸方面軍はというと、


天正十二年(1584年)十一月十五日

越後国 某所


「撃てー!」


タターン!タターン!タタタタタタタタ!


「上杉の動きが止まったぞ!!突撃じゃあ!」


「「「「「おおおおお」」」」」


上杉の本拠地である越後国の中央付近で、一進一退の状況ではあったが、少しだけ織田家有利だった


そんな状況の中、利家率いる鉄砲隊は上杉との銃撃戦を制し、一時的に行動不能にしてから突撃を開始した


そこに佐々隊、明智隊も加わり、一気に上杉を撤退させ、戦闘地域を見事制圧した。制圧後も、周囲の捜索を家臣にさせ、安全である事を確認後、


総大将の勝家が


「周囲は問題無い様じゃな!皆、今は身体を休めよ!」


「「「「「ははっ!」」」」」


全員に休息を取る様、命令すると、兵達は命令通りに休息を取り、勝家の周りには、成政、光秀、利家と利長親子の4人だけになった。そこで利家が


「親父殿!まつと兄上から文が届きましたが、摩阿だけでなく、二男の又若丸も鍛える事を了承してくださり、ありがとうございます」


「なに、市や利兵衛は勿論じゃが、他に色々と教え、鍛えてやれる者達が居るから、問題無い。それに、


市が摩阿姫を、「何処の家に嫁に出しても恥ずかしくない女子に鍛えあげる」と気合いが入っておるから、


大丈夫じゃろう。だが、まさか二男まで来るとは思わなかったぞ?又左と孫四郎よ、二男の又若丸は、将来的な事が不安だから、柴田家に来たのか?」


「将来的な事は今のところ分かりませぬが、ただ、六三郎殿のこれまでの逸話を聞いて、学びたいと思っていたのだと思います。孫四郎、又若丸と六三郎殿の事で、何か覚えておる事はあるか?」


「そうですな、弟がよく言っていたのは、柴田様に槍の稽古をつけてもらいたい。と言う事と、領地が大きくならないなら税収を増やす為に、六三郎殿に学びたいと言っていましたな」


「ほう。中々に、先の世の事を考えておるな。しかし、まだ元服前だと言うのに、そこまで考えるとは」


「親父殿。親父殿の嫡男である六三郎が、柴田家の領地ではない国である三河国の税収を倍増させた事実が、各家の嫡男は勿論、家を継げない二男以降の者達も、


それくらいやらないと、領地を少しも手に入れられないかもしれない?と考えているのです」


「そうなのか?儂の二男の京六郎は、その様な事はやってないのじゃが」


「親父殿。まだ十歳どころか五歳にもなってない幼子に、それを求めては」


「ふむ。皆の話を聞くと、やはり六三郎は変わり者としか言えぬか。尾張国に領地があった頃から、似た様な事をやっておったからなあ。誠に昔から不思議な倅であったが、改めて聞くと」


勝家が改めて六三郎を不思議な子だと思っていると、


「柴田様!安土城の織田様から文でございます!」


「殿から?皆、すまぬが残ってくれ」


「「「「ははっ!」」」」


「では、読むぞ。「権六へ、この文を書いたのは父である内府ではなく、左中将の儂である。権六を始めとした北陸方面軍は勿論、中国地方の毛利を攻めている佐久間摂津の山陽方面軍と羽柴筑前の山陰方面軍には


伝えてなかったから、この文で伝えておきたい事がある。以前伝えていた儂の弟の源三郎と武田家の姫の勝姫の祝言が行われた翌日、父が儂に家督を譲ると宣言した


だが、全ての権限を移譲するのではなく、少しずつ移譲をしていく形を取るとの事じゃ。そして、権六達から見たら大殿になった父じゃが、お主達の北陸方面軍に参戦すると言って、出陣したぞ


父が率いる軍勢は一万程じゃ、その中に五郎左の嫡男も初陣の為に参戦しておる。そして、権六。お主に絶対伝えておきたい事として、最近織田家に臣従した土佐国と阿波国を治める長宗我部家の嫡男の弥三郎という若武者が、権六の次女の初に惚れられて、


初が土佐国に嫁ぐ!と宣言したそうじゃが、市叔母上は、「武功も挙げない男に嫁ぐ事は許さぬ」と言った事で、急遽、長宗我部家から三千の軍勢が送られて来て、長宗我部家も北陸方面軍に参戦する事になった


父上と共に進軍するのかは分からぬが、六三郎と同い歳の若武者じゃ。流石に六三郎の様な常識外れな行動は取らないと思う。儂から見ても、しっかりとした若武者であったから、


権六も婿殿として気にいると思うぞ?話を本筋に戻すが、北陸方面軍に徳川家も参戦する事に決まった


此度は義弟が徳川家当主名代として出陣するそうじゃ。色々と大変だと思うが、戦力は増えたのじゃから、良い知らせを楽しみにしておるぞ」と、勘九郎様、いや、家督相続をした殿が仰っておるが


大殿が此方に来るとなると、采配は大殿にお任せした方が良いとして、、、初が嫁入りか、、、儂の知らぬ若造と。せめて会った事が何度かある若造だったなら」


勝家の顔と気分が暗い事を察した面々は


「し、柴田様。とりあえず本人が来てから色々聞きましょう」


「お、親父殿。まだ嫁ぐ事が決まったわけでは」


「そ、そうですぞ、親父殿。武功を挙げてから。ですから」


「し、柴田殿。とりあえず、大殿を迎える準備をしておくか、少しくらい前進するかを決める等して、頭の中を切り替えましょう」


と、分かりやすいフォローをしていた。

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