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精神的に辛い仕事内容と忠告

天正十二年(1584年)十一月六日

飛騨国 某所


「柴田六三郎殿。我々内ヶ島家としましては、織田家に降伏すると同時に、臣従を認めていただきたく。織田家当主様へその取次をお願いしたく存じます」


「拙者からもお願いします」


皆さんおはようございます。現在、飛騨国の某所に構えた本陣で、埋蔵金伝説でお馴染みの帰雲城の城主の内ヶ島さん親子と一部の家臣達に、平伏されております、柴田家六三郎です


当主の氏理さんは、ぱっと見、昌幸さんと同世代くらいの30代後半に見えるんだよねえ、昨日、嫡男の氏行くんが帰雲城の事を「曽祖父の代から」みたいな事を言ってたから


最低でも、100年超えの歴史がある、少しばかり名家と呼んでいいだろう家なのに、近くに居たからとはいえ、俺みたいな若造に頭を下げて、臣従の取次を頼むとか、


よっぽど、飛騨国の敵対勢力に押されているのか?敵対勢力を撃退するのは、上杉との戦が終わってからになるけど、それで良ければ大殿と殿へ伝えるけど、


それを拒否するとなると、自分達で頑張ってね!と言うしかないからなあ。とりあえず、その旨を伝えておくか


「内ヶ島殿」


「ははっ!」


「拙者の様な若造に頭を下げるなど、色々と思うところはあるかもしれませぬが、何故、今になって織田家に本領安堵を願い出たのですか?その理由を教えていただきたい」


「はい。飛騨国で我々と同等の勢力は姉小路家しか無いのですが、その姉小路家が織田家に臣従したら、我々が攻撃されると思った事が主な理由ですが、


他の理由として、柴田六三郎殿が大軍を率いている事が、この飛騨国か、別の国で大規模な戦が起きると思ったからです」


(おや?氏理さんの言葉は、何だか俺を過大評価している様な?まるで、俺がこれから大規模な戦で暴れ回るみたいな感じだぞ?)


「あの、内ヶ島殿。とりあえず、話に出ていた「姉小路家より先に臣従したいから」と言う事は分かりました。ですが、今すぐ何か出来る様な権限は、拙者にはありませぬぞ?」


「今すぐでなくとも、織田家当主様へ取次をしていただけるだけでもありがたいのです。我々には織田家への伝手はありませぬので」


「ふむ。それなら拙者も気が楽ですが」


俺がそう言うと、


「若様、よろしいですか?」


昌幸さんが間に入って来た


「喜兵衛。何かあるのか?」


「ええ。内ヶ島殿は、本領安堵を願い出たのですから、それが何の働きも無しでは、他の方々に示しがつきませぬ。


それこそ、弥三郎殿の様に武功を挙げてから、認めてもらう!と言う事を内ヶ島殿にもやってもらわないといけないかと存じます」


昌幸さんが、本領安堵を願い出たなら働かせろ!と暗に言っています。まあ、それはその通りなんだけどさ、現状、働かせる戦場は上杉との戦になるかならなあ


姉小路家が俺達に攻撃して来たら、内ヶ島さんに先陣を切らせるけど。とりあえず、出せる人数と、親父さんと嫡男のどちらが俺達に着いてくるか、確認するか


「喜兵衛の言う通りじゃな。内ヶ島殿。先ず、内ヶ島家で戦に出せる最大限は何人じゃ?城の守りも含めて答えてくだされ」


「我々の出せる最大限の人数は千人です。守りも含めても同じく」


「成程、喜兵衛!千人が最大限の内ヶ島家だと、上杉との戦に何人を出せば、本気度が伝わると思う?喜兵衛以外の皆も答えよ」


「拙者は百でも良いと思いますが」


「いやいや喜兵衛殿!二百は出してもらいましょう!」


「二百でも少ないのでは?三百くらいは出してもらいたい!」


「半分より少し少ない、四百五十くらいが良いのでは?」


他にも意見が出たけど、俺としては


「皆の意見を聞いた上で、内ヶ島殿。上杉との戦には百五十人を出していただきたい。よろしいですな?」


「ははっ!」


「それでは次の事を決めるが、内ヶ島殿」


「ははっ。どの様な事でしょうが?」


「話に出た百五十人を率いるのは、貴殿か?それとも、嫡男の兵太郎殿か?それを決めてもらいたい」


「「ええっ?」」


「驚くのも仕方ないが、我々は今月中には飛騨国を抜けて、信濃国へ入りたい。更に言うなら、来月の初頭には甲斐国へ入って武田家の中から参戦する重臣の方と、合流するつもりじゃ!


つまり、1日も早く進軍したいのじゃ!今日のうちに、誰が内ヶ島家の代表として軍勢を率いるかを決めてもらえたら、


明日か明後日には、参加する百五十人も決められるであろう?だから、今この場で決めていただきたい!」


俺の言葉に、2人は悩むけど、


「父上!拙者が率いて参戦します!」


嫡男の氏行さんが、「自分が率いる」と宣言した。まあ、俺としてはどっちでも良かったけど、早めに決まってありがたいかな


「兵太郎殿が率いるのじゃな。そう決まったのじゃ、城に戻り、軍勢の編成に取り掛かってくだされ」


「「ははっ!」」


話もまとまって、一安心かな。とりあえず明日か明後日には移動したいから、編成を急ぎでお願いしますね?


俺がそう思っていたら、氏理さんが、


「柴田殿。ひとつお聞きしてもよろしいでしょうか?」


質問して来ました。大殿が参戦している事以外は答えてやるか


「何でしょうか?」


「前日に兵太郎に対して、「城と山が崩れそう」と言っていたそうですが、それは、城が落としやすい、又は、山崩れが起きやすい山だと言う事なのですか?言葉の真意を知りたいので、教えていただきたく」


ああ、確かに言ったな。まあ、俺と縁がある人になったからには、史実エンドを避ける為に忠告しておくか


「ええ。その通りです。前日に兵太郎殿にも言いましたが、これまで起きなかったからと言えど、今日明日に起きないわけではありませぬ。


あれ程の見事な山が崩れた場合、城どころか城下町まで飲み込まれてしまうでしょうな。だからこそ拙者は、家族同様の家臣や拙者と共に参戦している身内を連れて行きたくなかったのです


言葉が強くて申し訳ないですが、それ程、帰雲城と山が危険と判断したのです。もしも、家族や家臣や領民の安全を考えるのであれば、本拠地や本城を移動させる事を、強く進めますぞ」


俺がそこまで言うと、氏理さんは


「教えていただき、忝い。それでは、我々は軍勢の編成に取り掛かるので失礼します」


そう言って、全員を連れて城に戻って行った。まあ、言うだけ言ったから、あとは本人次第かな?

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