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大殿の帰宅と重要な役目の新婚夫婦

天正十二年(1584年)八月二十三日

越前国 柴田家屋敷


「それでは六三郎!しっかりと準備しておけ!そして弥三郎!出来るかぎり早めに、多くの家臣を寄越す様に土佐守に文を届けておく!長月中には越前国に到着出来る様、手伝ってやるから待っておれ!」


「「ははっ!」」


皆さんおはようございます。朝から安土城に帰る大殿と帰蝶様一行を見送っております柴田六三郎です


虎夜叉丸くんの事を話した事から始まったドタバタで、俺と道乃の祝言なんて、すっかり忘れられていましたが、


初と弥三郎の婚姻に関しては「弥三郎が北陸方面軍で武功を挙げてから」と決まりました。その件で、弥三郎、と言うよりも長宗我部家の家臣を土佐国から寄越してわ俺達と一緒に出陣させる


との事に決まったのですが、土佐国って高知県だからなあ、車や飛行機の無いこの時代だと、船で畿内に入ってから馬に乗り換えて、が移動手段になると思うから、


長月中に到着するには、残り約40日だけど、大丈夫か?冬になると、親父達が劣勢になりそうだから、早めに出陣したいんだがなあ。


まあ、こればっかりは運も関係してくるから、祈るしかないか!とりあえず、甲斐国に誰を連れて行くか決めますか


六三郎が長宗我部家家臣が早く来る事を祈っていた頃、安土城では


「そう言う事じゃから源三郎!お主は讃岐国に行って、土佐守と共に伊予国の動きを抑えておく様に」


「兄上、ではなく、殿?拙者にはまだ家臣も殆ど居ないのですが?」


「そこは父上が越前国から戻って来た時に話し合って、お主が讃岐国に行く時に同行させる!それに、いざとなったら、讃岐国の地侍を召し抱えても良かろう!


土佐守!讃岐国の地侍や領民は、反抗的な者が多いか?それだと色々と対応が変わってくるのじゃが」


「左中将様。讃岐国の地侍や領民は、穏やかな者が多いので問題は基本的に無いのですが」


「一部で問題があると?」


「はい。我々長宗我部家が征圧したとはいえ、讃岐国には、かつて内府様より前に畿内を征圧していた三好修理大夫の甥が当主の十河家が問題でして」


「その十河家が反抗的なのか?」


「はい。今のところは、拙者の二男で香川家に養子に入った五郎次郎を、拙者の弟達が補佐する形で抑えておりますが、源三郎様が讃岐国に入った直後に


戦を仕掛けてくる可能性もありえます。更に、考えられる最悪な場合だと、伊予国の者を率いて讃岐国を奪う可能性もあるかと」


「う〜む。話を聞くに、中々に難儀な。その様な者が居るならば三介を行かせた方が良いのかのう?三介を行かせたなら、間違いなく一揆、それこそ十河とやらの戦が起きるじゃろうし」


信忠は元親の説明を聞いて、信房を讃岐国に行かせて良いのか悩み始めた。十河家が反抗的な場合、戦になるだろうから、


信雄を行かせて殺された方が、讃岐国平定の大義名分になるとまで考えていた。


そんな信忠に勝姫が、


「義兄上、ではなく左中将様。その様にお悩みなのであれば、私の実家の武田家の名を使いましょう!」


「どう言う事じゃ?」


「言葉どおりの意味です!源三郎様か入る城に織田家の旗と武田家の旗を立てて、周囲の者達、それこそ、十河とやらに、


「讃岐守を害しようものならば、織田と武田が攻めてくるぞ!」と、見せつけるのです!」


勝姫の提案を聞いた信忠は


「はっはっは!何と、戦にならぬ様に織田と武田の旗で、十河を威圧すると申すか!」


「はい。甲斐国で柴田六三郎殿に助けていただいた時に「自分の名前で戦が起きない様になるのならば、


それは良い事であり、相手が勝手に恐怖を覚えてくれるのであれば、訂正するのは悪手。なので、そのままにしております」と、言っておりましたので、


ならば武田の武名もまだまだ轟いている内に、恐れ慄いてもらおうと」


「はっはっは!全く、素晴らしい考えじゃ!松、お主の姪は、お主に負けず劣らず強い女子じゃな!」


「勘九郎様。勝の場合は、特に戦場が近かったからでしょう」


「それもあるじゃろうな!だが、勝の策は見事なものじゃ!よって採用する!虎次郎の傅役の五郎にこの旨を書いた文を送る!今日の内に書いて、明日の早朝に早馬で出す!


それならば、長月の中頃には旗が届けられるじゃろう!源三郎、旗が届き次第すぐに出立出来る様、準備しておけ!」


「ははっ!」


「勝姫と桜殿。祝言を挙げて間もないというのに、甲斐国から遠く離れた場所で暮らす事になって、済まぬ」


「左中将様。むしろ、これが良いと思います。私が弟の、虎次郎の側に居たら、皆が気を使ってしまいますから、甲斐国から遠く離れた讃岐国で、


源三郎様をお支えしつつ、虎次郎が武田の家督を継ぐに相応しい若武者になってくれる様、祈るだけです」


「そう言ってくれると助かる。そして、源三郎。お主は六三郎に色々助けてもらって、今の立場に居ると揶揄する者も居るか、その様な言葉に耳を傾けてはならぬぞ?」


「ええ!むしろ、六三郎殿に感謝しておりますし、その様な者達は一度、六三郎殿が父上から命令されるお役目を受けてから言えば良いと思います


はっきり言いまして、父上は六三郎殿、いえ、柴田家を信頼しておりますから、父上の信頼が強ければ強い程、


お役目が増えている事をその者達は分かっていないのです。だからこそ、その者達は六三郎殿と共に働かせるべきです!」


「ふふっ。要らぬ心配だった様じゃな。源三郎がこれ程、強く逞しい若武者になったのならば、六三郎に感謝じゃな」


信忠が信房の成長を嬉しく思いつつも、信房が無意識に六三郎へのフラグを建てて、話し合いは終了した。

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