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飲み会は静かに終わらない

虎夜叉丸くんの事も一応、大殿に納得してもらって、これでどうにかなったわけなので、そのまま大広間で昼間からの宴会開始です。俺が料理をしないで済むのでありがたいですが、


大殿は


「義弟の、備前守の遺児が居たとは。六三郎の訳ありな者を呼び寄せる天賦の才は、末恐ろしい!その内、潰れそうな家の者すら召し抱えていそうじゃな!」


なんて、フラグ建てまくりな事を言いますし、更には


「ほっほっほ。殿、潰れそうを超えて、一度潰れた斎藤家を再興させたのですから、潰れそうな家の者を召し抱えるなど、六三郎にとっては造作もない事でしょう」


帰蝶様まで、フラグを建てまくりな事を言っております。いやいや、そんな事は無いですよ?だって、これから一旦甲斐国に行ってから、


越後国に行くわけですし、そんな潰れかけの武家の当主や子供に会うなんて無い無い!無いよね?


まあ、とりあえず。甲斐国に連れて行く人選は明日からにしよう。そんな感じで酒も飲んでしばらくすると、


「勘十郎!」


「は、はい!」


「お主は小谷城の戦が起きた時は、元服して間もなかったそうじゃが、それだと、今年で二十六歳くらいか?」


「はい」


「儂の倅の二人と同い年か。誠にしっかりしておるな。件の二人のうち、一人は基本的には穏やかな性格で名目上は伊勢国を統治しておるか、


隣の伊賀国の領民からも慕われていて、実質的には伊賀国も統治しておる状態じゃ。家督を譲った勘九郎の良き右腕として、家臣として信頼できるが、


もう一人がのう。家臣の補佐があれは、多少の大きさの領地を治める事は出来るのじゃが、一国を治めるとなると器量が足りぬ!何より我慢が足りぬ!


領地を潤滑に治めるなど、一朝一夕では出来ぬというのに!同じ様に子育てをしていたはずなのじゃがなあ」


大殿が遠い目をしだしたので、話を変えよう


「あの、大殿。そして母上。お話出来る範囲で、浅井備前守殿の為人を知りたいのですが、どの様なお人でしたのでしょうか?」


「義弟の為人か。儂から見た感じでは、「優しき漢」だったのう。しかし、非情になれなかった。じゃな」


「それは、どの様な事が?」


「六三郎。それは私から話します。長政様は、兄上が仰る様に優しいお人でした。家臣の誰かの領地で百姓の子が産まれたと聞いたら、祝いの品を自ら持って行こうとして周りに止められたり、


領地の実りを良くしたいと家臣が申請したら、自分も手伝うと言って、本当に家臣の領地に行って共に開墾した結果、泥だらけになって帰って来た事もありましたね」


お袋はとても楽しそうに浅井長政の話をしていたが、


「それでも、兄上の仰るとおり、非情になれなかったから、父親を、浅井久政を捨てる事が出来なかった事が、あの戦に繋がったわけです」


戦の話になると、悲しい顔に変わる。でも、


「ですが、長政様の遺児が、それも、家督を継げる男児が。虎夜叉丸が居たのです。しかも、長政様に瓜二つなんて、長政様を救えなかった私としては」


虎夜叉丸くんの話に変わると、泣きながら話している。それを見た大殿が


「市。それ程迄に義弟の事を考えておるのであれば、少しばかり無謀に思うかもしれぬが、将来的に虎夜叉丸に浅井家再興の為に、浅井の姓を名乗らせようと思うのじゃが」


「兄上。その申し出はありがたいのですが、虎夜叉丸は顔だけでなく、中身も長政様に似ている程、優しい子です。自分だけが、その様な地位に着く事を嫌うでしょう。


この一年と少し、虎夜叉丸と話をする事で、為人を知ったからこそ、勘十郎と雪乃と伊吹と違う立場という物を拒否するでしょう。何より、自分が浅尾家を継いで、六三郎と共に出陣する事を目標としております」


「ふむ。義弟の血筋を、浅井家再興という形で、天下万民に知らせたいのじゃがな。それこそ、一万石くらいでも良いから領地を持たせて大名にしてやりたいのに、難しいのう。六三郎!何か良き案は無いか?」


(ええ!俺?そんなの、大殿や殿の権力でどうにか出来ると思うのですが?俺が言わなきゃダメですか?


でも、俺が聞き始めたから出た内容だから、俺も何か言わないとダメなんだろうな。下世話な内容になるけど言ってみるか)


「それでは大殿、母上。拙者の下世話な考えですが、勘十郎と雪乃に子作りを頑張ってもらいましょう!」


「「え?」」


勘十郎と雪乃が思わず声を出す。すると大殿が、


「はっはっは!六三郎よ!確かに下世話な内容じゃな!だが、現状、この方法が確実かもしれぬ!」


大笑いした。そして、直ぐに内容を理解した様で


「勘十郎と雪乃!六三郎はな、お主達が今から子作りを頑張って、虎夜叉丸と伊吹の弟を産めば、虎夜叉丸に浅井の家督を、弟に浅尾の家督を継がせる事が出来るから、子作りを頑張れと言っておるのじゃ!」


具体的に言って来ました。ですが、戦国時代の常識しか知らない勘十郎と雪乃は


「織田様。若様。素晴らしい提案かもしれませぬが、拙者は側室を持てる様な所領も有りませぬ。かと言って、今年で二十七歳の雪乃が子を産むのは無理なのでは」


と、遠回しに拒否していたのですが、お袋が


「ほっほっほ。雪乃、まだ三十歳にもなっていないのに、子を産む事を諦めてはなりませぬよ?」


2人を説得し始める


「奥方様。私か虎夜叉丸を産んだ時は、十五歳だったから産めたのです。今はもう」


雪乃は諦めに近い言葉を使う。でもお袋は


「雪乃。私は二十九歳で四番目の娘の文を、三十三歳で二男の京六郎を産みました。更に言うなら、羽柴筑前の正室は三十六歳で出産しました


だから勘十郎と雪乃!子作りを頑張ってくれませんか?虎夜叉丸の弟妹が出来たなら、より、しっかりとした若武者に成長すると思うのです。六三郎の様に」


「若様の様に」


「ええ。権六様に教えていただいた頃の六三郎は、取る行動の全てが常識外れで、時々、頭を悩ませていたそうです。そんな六三郎でも弟妹が出来たら、


多少は落ち着いたのですから、虎夜叉丸が将来、立派な主君になる為に、支える事の出来る親族は必要だと思うのです」


説得を続ける。そんなお袋に根負けした2人は


「分かりました」


「頑張ります」


と了承してくれた。いつの間にか夕方になっていたので、これで飲み会も終わり。と思っていたら、


バタバタバタバタ!と走ってくる足音が聞こえてきまして、何事かと思っていたら


「母上!初は弥三郎様に嫁ぎます!」


「初!いきなり何を言っているのですか!?」


初が弥三郎さんを連れて、まさかの嫁入り宣言をしました。これは一悶着決定かあ。

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― 新着の感想 ―
連載が止まって寂しいです。しかし心身共に健康が第一です、ペースを落としても良いですから連載を続けて下さいませ♪
暑い夏の日差しの中体調大丈夫ですか?あまり無理しないでゆっくりでいいんで更新頑張って下さいませ
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