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大殿の現在地と臣従したい長宗我部

信忠一行と共に、長宗我部親子は安土城を出発した。元親も信親も臣従を認めてもらいたいだけなのに、


何故、移動しているのか不思議で仕方ないが、二国領有を認めてもらう為に、何も言わずに行動していた


そんな信忠一行が目指している信長の現在地はというと、


天正十二年(1584年)八月三日

近江国 長浜城近く


「やはり露天風呂は最高じゃ!二郎三郎、そう思わぬか?」


「確かに最高ですな。絶景を見ながら広い湯船で肩まで湯に浸かる。これは、三河国、遠江国、駿河国、信濃国の何処かで作りたいと思いますな」


「うむ!儂も新たに城を作る摂津国の国内か、近くの国にこの様な場所が無いかと探す予定じゃ。しばらくは六三郎を簡単に動かせぬから、領民達に色々聞きながら探すとしよう」


「それは楽しみが増えますな。しかし、この気持ち良さ、酒を飲みたくなりますな」


「二郎三郎。この気持ち良さで酒を飲んだら、間違いなく寝てしまうぞ?酒は長浜城に戻ってから飲むとしよう。六三郎!酒が進む肴を頼むぞ!」


「ははっ!」


皆さんこんにちは。実家に帰る前に殿、じゃなく大殿と家康の温泉付き小旅行の付き添いとして働いております柴田六三郎です。


前月に勘九郎様へ家督継承した大殿が家康に「居城に帰ったら作りたくなる物を見せるからついて来い」と言った事がきっかけで、長浜城へ行く事になったのですが、


蘭丸君が居なかったら、恐らく俺は過労で倒れていたかもしれない!と思う程、この2人は勿論、周囲の人達も注文が多い!ウナギが食べたい、鳥の唐揚げが食べたい、甘い物が食べたい等、


準備に時間のかかる物をリクエストされています。秀長さんにお願いして、料理人の皆さんと一緒に作っていますが、


正直言って、眠らせてくれ!と思っております。すいません少しばかり本音が漏れてしまいました


話を変えますが、俺と紀之介が穴山征伐に行っている間に、秀長さんと三成が凄く頑張ってくれた様で、


俺や赤備えの皆で作り上げた簡易ポンプを、羽柴家でも作り上げて、更に言うと、この時代で作れるコンクリートも作って、それを使った温泉施設まで建築していました


いや、近江国の職人さんの腕は凄いとしか言えません。急ピッチで家康用の湯船を作ったりしてますし、温泉施設も、風呂上がりの一杯くらいなら飲める場所にもなっているので、史実の天正大地震が起きなければ、繁盛間違い無しでしょう


で、そんな温泉施設の特等席である、露天風呂を大殿と家康が堪能している間に、台所に行ってツマミを作りたいと思います


「大殿、徳川様。酒の肴を作りたいので、長浜城へ行きたく」


「うむ。先に行っておけ!」


「六三郎殿、期待しておりますぞ」


こうして、俺は台所でツマミ作りに専念する事になりました。その間の事は、蘭丸君に任せよう


六三郎がツマミ作りの為に露天風呂から離れてから、しばらくすると、長浜城の大手門近くに信忠一行が到着していた


「左中将様。こちらに内府様が居られるのですか?」


「うむ。と言っても、儂も父上から「長浜城に行って、しばらく逗留してから越前国へ向かう」としか聞いておらぬからな、長浜城に居なければ、越前国へ向かったという事じゃ」


「左中将様。それだと、臣従を認めていただくのに時を要してしまうので不安なのですが」


「はっはっは。四国全土を征圧しようとしていた猛将とは思えぬ言葉じゃな。だが安心せい!父上に気に入られておる若武者も共に居るから、そ奴を見つけたら近くに父上も居る。とりあえず城門に行くぞ!」


信忠が元親達を連れて城門へ向かうと、


「紀之介!」


大谷吉継が城門周辺で、帳簿を片手にウロウロしていた。


「左中将様!?長浜城に何か用事でも」


「うむ。父上に会って臣従を認めてもらいたいという者が居てな、その者と父上を会わせて対応を話し合おうと思ってな。父上は何処に居るのじゃ?」


「内府様は徳川様と露天風呂を堪能しておりまして、少し前に六三郎殿に酒の肴を作る様に命じられておりましたので、そろそろ城内にお戻りになるかと」


吉継が信忠にそう説明していると、


「紀之介!六三郎は料理を、勘九郎。何故に長浜城に来ておる?」


信長に見つかった信忠は、慌てて下馬して


「父上、徳川様。失礼しました。改めてですが、織田家に臣従したいと申し出て来た者が居まして、この者です。自己紹介をせよ」


「ははっ。織田内府様。拙者、四国は土佐国を本貫の地としております長宗我部従五位下土佐守元親と申します!」


「ほう!四国全土を征圧直前まで来ておる長宗我部家当主か。横に居る美丈夫は、数年前に偏諱を授けた倅か?」


「はい。弥三郎、挨拶せよ」


「ははっ!長宗我部弥三郎信親と申します」


「ほう。勘九郎だけでなく、儂や二郎三郎を見ても狼狽えておらぬとは、中々肝が座っておるな。とりあえず城内で話を聞こう!紀之介!小一郎に大広間を使う事を伝えよ!」


「は、ははっ!」


吉継が秀長の元に走っていくと、


「さて、長宗我部土佐守と倅よ。四国全土を征圧せずに臣従を願い出たと言う事は、条件を認めて欲しいのじゃろう?その条件とやら、酒でも飲みながら聞かせてもらおうではないか!」


「「ははっ!」」


こうして長宗我部親子は、露天風呂を堪能して機嫌の良い信長に会うという幸運を手にしたが、それでも緊張感が無くならないまま、条件を認めてもらう交渉に臨む事になった。

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自分だったら本能寺したくなっちゃうくらい社畜
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