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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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戦国時代の甘味は色が少ないから挑戦します

天正十二年(1584年)七月六日

近江屋 安土城


「柴田様。こちらの場所が、殿が柴田様の甘味作りの為に作らせた場所です。何か手伝いが必要でしたら、我々をお呼びくださいませ」


「忝い。その時は世話になります」


皆さんおはようございます。朝から戦国時代版ウエディングケーキの試作品作りの準備をしております柴田六三郎です


小麦粉と砂糖と卵を中心に、かつて俺が殿やお偉いさんへ出した甘味に使われた材料が沢山あります。まあ、作る物は、戦国時代版ウエディングケーキと決まっているのですが、


この時代にオープンみたいな物は無いので、土台になるスポンジ生地の代わりとして、神戸家で殿達が食べていたパンケーキの積み重ねを作るとして、


問題はクリームとか餡だよなあ。候補にあるのは、粒餡と漉餡とうぐいす餡ときな粉クリームと木苺のジャムの5種類は確定としても、少ない!種類以上に色がすくない!


粒餡と漉餡は黒、うぐいす餡は緑、きな粉クリームは茶色。木苺のジャムは赤。4色しか無いのは華やかな祝言には物足りないよなあ。この時代、いや、いつの時代でも、華やかとか豪華絢爛な感じが出る色と言えば、


やっぱり金色だよなあ。でも、この時代に食える金箔なんてあるか分からないし、金色に近い色となると、


やっぱり黄色か?でも、黄色の餡やクリームは、あるじゃねーか!カスタードクリームが!前世で嫁さんや子供に作った時は、卵を白身と黄身に分ける器具や、バニラエッセンスも使っていたけど、


この時代なりのカスタードクリーム作りは、バニラエッセンス無し、卵を白身と黄身に分ける器具も無いから、ひとつずつになるか。とりあえず、試しに作ってみよう


以前みたいに、卵を消毒の為にお湯で洗いまして、終わったら、卵を割って白身と黄身に分ける。これが地味にキツい!トゥルントゥルンの白身を卵の殻に入れて出してを繰り返して、何とか黄身だけにして、


汁椀に入れた黄身に砂糖を茶匙で4杯入れて、混ぜる!菜箸しかないから、腕がキツい!白っぽくなったら、小麦粉を入れて、更に混ぜる!


そして、牛乳を一旦沸騰させて、そこから冷ます!程よい温度になるまで団扇で扇ぐ事、およそ20分!


何とか温かいくらいの温度になった牛乳を、少しずつ加えて、それを篩の裏で漉して、


漉した物を鍋に入れたら、中火にかけてゴムベラとか無いので、しゃもじで休みなく混ぜてとろみをつける。ここまでやって、やっと滑らかなクリームになって来た。


で、固まり始めたら混ぜるスピードを上げて、そこから混ぜ続けて、もったりとした感じになったら完成ですが、疲れた!


これだけで約3時間ですよ。俺、祝言当日どころか、前日から此処に籠りっきりになるかもしれないな


俺がそんな事を考えながら、腰掛けようとしたら、


「六三郎殿」


蘭丸君から呼ばれました。居る事に全く気づきませんでした。何かあったのかな?


「森殿。如何なされましたか?」


「殿が「この甘い香りが気になって仕方ない。一度持ってまいれ」との事ですので、疲れているところ申し訳ないのですが」


また殿が興味を持ったのか。まあ、新しい物には一回触れてみたい人だからしょうがない。でも、カスタードクリームをそのまま食べさせるのは良くないので、


「森殿。少しばかりお待ちいただきたく。殿が持ってまいれと言った物に合う物を作りますので」


「は、はあ」


殿の事だ、周りの家康を始めとした人達にも分けたいと思っているだろうから、小さめなパンケーキを10人分くらい作って、カスタードクリームを付けて食べてもらおう


で、疲れた身体に鞭打って、小さめなパンケーキを作りまして、蘭丸君や女中の皆さんに協力してもらって、殿達の前に運びましたら


「六三郎!この甘い香りは、源三郎と勝の祝言に出す物を作っておるのじゃな?」


「はい。その通りです」


「やはりか。祝言に出す物であれば、不味い物ではないと確認せぬといかぬから、「味見」をした方が良いからな」


凄い笑顔で味見を強調しております。よっぽど食べたかったんだな。そして、そんな殿の周りには、家康、帰蝶様、勘九郎様夫婦、三七様、五郎さん、桜殿、虎次郎君が居ます。主役の2人が居ないのは何故?


「あの、殿。源三郎様と勝姫様は居ないのですか?」


「二人は当日の楽しみに取っておくとの事じゃ!それよりも六三郎!早う味見と行こうではないか!」


殿が我慢の限界な様ですので、


「はい。では、こちらを」


パンケーキとカスタードクリームをのせた皿をお膳で出しまして、お箸も添えましたら


「ほう。六三郎よ、この丸い物は神戸家で出した物じゃな。そして、黄色と白の中間の様な色の物が添えられておるが、この香り!これが作っていた物じゃな?」


「はい。その丸い物に適量つけたり、全てをかけて食べるなど、食べる方にお任せする形を此度は取らせていただきました」


「うむ。では、儂か最初に食おう!全てをかけて、適度に散らせて。よし、それでは」


殿がカスタードクリームを満遍なく広げたパンケーキを少し切って食べる。じっくり噛み締める様に食べて、飲み込むと


「これは何と濃厚な甘味!なのにも関わらず、重く感じぬ甘さと美味さ!皆も食べよ!食べた事の無い美味さじゃ!」


殿が皆さんに食べる様に促すと


「何と美味な!」


「こんな美味しい甘味があったとは」


「これは贅沢な甘味ですな」


「これを食べる機会はそうそう無いでしょうな」


「これ程の美味な物を作り出せるのですから、織田家は凄いですな」


等々、反応は宜しいので、カスタードクリームもウエディングケーキに入れて良いですね。ただ、俺はあの製作場所に籠りっきりが確定だな。

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