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策にハマる主人公ときっかけ

六三郎は十兵衛に言われた花江の事を、どうしようかと考えながら、休む部屋に向かっていると、


「六三郎!この部屋に来い!」


部屋から顔をひょっこり出した信長から呼ばれて、部屋に行くと


「六三郎様。お久しぶりです」


部屋の中央に綺麗な着物を着ている花江が居たが、六三郎は


(なんで殿だけじゃなく、勘九郎様、三七様、源三郎様の兄弟、それに、十兵衛殿、凞子さん。深芳さんが?と思ったけど、これ、俺が源三郎様と勝姫様の、


見合いを強制的にセッティングしたのと同じ状況じゃねーか!逃げ場が無いな。仕方ない、行くだけ行こう!)


覚悟を決めて、部屋の中央に進む。そして部屋の中央に座ると、


「花江殿!回りくどい事は言いませぬ!拙者の側室になっても良いと思っているのであれば、側室になっていただきたい!」


かなり強引なプロポーズをかました。花江は、


「はい。お願いします。正室の姫君の話は聞いておりますが、それでも私は構いませぬ。改めて、六三郎様の側室として、お願いします」


そのプロポーズを受ける。周りの信長達は


「うむ!これで、話はまとまったな!誠にめでたい!六三郎、この事は儂から市に文で伝えておく!お主は越前国に行った時に説明したら良い!」


「ははっ!殿のお言葉に甘えたいと思います!」


「うむ。六三郎よ、正室も側室も持っている身の先達として伝えておくが、出来るかぎり、同じだけの愛情を示すには、子作りが一番じゃ。


知っておるだろうが、勘九郎と源三郎の母は一緒じゃが、三七は違う。それでも、儂にとっては大事な息子達であり、大事な嫁達じゃ!


六三郎よ、今すぐは難しくとも、早い段階で子をなして、家長としての責任感を持て!」


「ははっ!」


「うむ。明日の朝に出立する!皆、身体をしっかりと休ませよ!改めて花江、六三郎!おめでとう!」


「ははっ!」


こうして六三郎の強制お見合いは終わった。


翌日


「皆!準備は良いな?」


「「「「ははっ!」」」」


「出立の前に、お主!この文を尾張国の三十郎へ届けよ。先に行く事を許可する!」


「ははっ!有り難き!それでは先に進みます!」


皆さんおはようございます。朝早くから、殿の三十郎様宛の文を持って走る家臣さんを見て、凄いと思っております柴田六三郎です


俺としては、早く出立したいから文の内容は気にしてないのですが、やっぱり気になる人が居た様で、


「殿!尾張国で何か起きているのですか?」


「我々も行った方がよろしいのでは?」


「殿?」


と質問しているのですが、殿は


「あの文は三十郎に、此度の穴山との戦で源三郎達が働いた事と、安土城で祝言を文月の頃に行なうから、移動しておけと書いてあるだけじゃ!だから気にする必要はない!ほれ!次は岐阜城へ物資の確認で向かうのじゃ、動くぞ!」


「「「ははっ!」」」


そう言って俺達を急かしたので、この話は誰もしなくなった。五郎さんや虎次郎くんも居るから、早めに長浜城に着きたい。


と、いうか、俺は越前国へ直行してもいいと思うんだけど、殿は俺に祝言に相応しい料理を作らせるつもりだろうから、それを考えると、8月に俺と道乃の祝言をやって、その後すぐに甲斐国へ行っても、


親父に合流出来るのは、年明けの可能性が高いか。無理をすれば年内に合流出来なくもないけど、とりあえず今は、岐阜城に早く着く事を祈ろう


六三郎は個人的願望を持ちつつも、また、流れに任せようと決めた。そんな六三郎を連れて信長達一行は、岐阜城へ向かう


天正十二年(1584年)五月二十八日

尾張国 織田三十郎屋敷


場面は変わって、尾張国の信包の屋敷。信長が明智家屋敷から走らせた使者が、信包の家臣に文を渡してから


「殿!大殿からの文でございます!」


「この時期に文とは、武田征伐に参戦せよと言う事か?先ずは中身を見てからじゃ」


信包はそう言いながら文を開いて読み始める。読み始めは真剣な顔だったが、読み進めるにつれて、


「あっはっはっ!ま、誠か疑わしいが、兄上が花押を使った文に虚偽を書くわけかない。つまりは誠の内容なのじゃろうが、いやはや、こんな事が起きているとは」


真剣な顔など微塵も無い爆笑に変わっていった。それを見た家臣は当然、


「殿?それ程に大笑いする様な内容なのですか?」


疑問に思い、問いかけるが


「ああ。済まぬな。そうじゃな、この内容は家臣達に伝えておかねばならね!皆を大広間へ集めよ!」


「ははっ!殿、三介様は如何なさいますか?」


「三介には伝えてはならぬ。この内容を知ったら、ここに来た当初の様に癇癪を起こしてしまうから、伝えるな」


「ははっ!では、皆を大広間へ集めます」


信包の命令を受けた家臣が皆を大広間に集めると、遅れて信包も到着する


「皆!いきなり呼び出して済まぬ!だが、武田征伐を行なっておる殿から文が届いた。とても喜ばしいと同時に、思わず笑ってしまう内容であった!


では、今から読みあげる。「三十郎!尾張国を中心とした周囲を見る役目、ご苦労である!知ってのとおり、儂達は年明けから武田征伐へ出陣しておるが、


その武田征伐で、まさかの武田家中で謀反が起きた。謀反の中心は穴山という者で、此奴は自身の母が信玄坊主の姉で、嫁が娘であるという事で、


自身や倅を武田の家督を継ぐに相応しいと勘違いした愚か者じゃが、血筋だけで慕う者達が多い為に、武田を乱しておった。それを信玄坊主の弟が抑えていたが、


その者が死んだ為に謀反が起きた!その結果、当主である四郎勝頼は殺された。しかし、四郎勝頼は事が起きると予見していたのじゃろう


嫁と娘を逃しておったのじゃが、穴山の手の者に見つかった。そこを六三郎達が助けたのじゃ。その嫁や娘から話を聞いて、信濃国の要地を守っていた、四郎勝頼の弟や従兄弟を


交渉で降伏させた。勘九郎も三七も働いたが、此度の戦でもっとも働いたと言っても過言ではないのが、


初陣の源三郎じゃ!六三郎を含めた面々の補佐があったとはいえ、此度の武田征伐、もはや穴山征伐になってしまったが、武将として良い経験になったと思う


前置きが長くなったが、その源三郎が四郎勝頼の娘を正室に迎える事になった。文月になったら安土城で祝言を挙げるから、三十郎は出席せよ!


そこで色々と話す事がある!長くなったが、この文は美濃国の東端の明智家の屋敷を出立する時に書いたものじゃから、三十郎の元に届いている頃は、


儂達は岐阜城から近江国への途中くらいに居ると思ってくれ。それでは、安土城へ来るのだぞ」と、殿からの文じゃ。皆もやはり驚いておるな」


「殿。その内容は織田家に仕える者で、驚かない者は居ないと思われます!」


「あまりにも凄すぎて」


「最終的に武田家中に巣食う獅子身中の虫を退治して、臣従させたとはいえ」


「また、「柴田の鬼若子」殿が関わっていたのですな。あの若者が居る所、必ず何かが起きますな」


「はっはっは。確かに、鬼若子殿が伊勢国を豊かにする為に頑張った結果、熱田の湊は勿論、周囲の商人達もかなりの儲けを出したそうですからな」


「いやあ、儂の家に娘が居たら、嫁にしてもらいたい程じゃ!」


「それは織田家中の親世代のほぼ全員が思っておるぞ」


「間違いない!」


「「「「「はっはっは!」」」」」


家臣達のやり取りを聞いていた信包は、


「皆も分かったと思うが、武田も臣従して、しばらくは新たな戦は無いはずじゃ!だからと言って、気を抜くでないぞ?」


「「「「ははっ!」」」」


こうして、信長からの文の内容を聞いた家臣達は解散して、信包も部屋に戻った。


しかし、ある2人の家臣が帰り道で、


「いやあ、まだ二十歳とお若い源三郎様が補佐があったとはいえ、武田を臣従させる見事な武功を挙げるとは」


「いや、源三郎様の働きは勿論じゃが、柴田六三郎殿の働きも、また見事!しかし、柴田六三郎殿もまだ二十歳だというのに、伊勢国では三七様を勝利に導き、此度は源三郎様を勝利に導くとはのう」


「源三郎様も三七様も、勘九郎様をお支えするには充分な戦の結果と、内政の結果を出しておるが、三介様は」


「言うてやるな。御重臣の方々からも「三介様のなさる事」と笑われておるのじゃ。大殿が武田征伐に三介様を連れて行かなかった事が全てよ。まあ、だからこそ殿も、文を読み聞かせるあの場に三介様を呼ばなかったのじゃろう」


「確かに!あの場で癇癪を起こされても困るからのう」


「違いない」


「「はっはっは」」


文の内容を聞いた感想を言いあい、笑っていた。しかし、それを近くで信雄が聞いていた。信雄は2人を殺してやりたい程、怒りに震えていたが、会話の内容から


(おのれ〜!また柴田六三郎か!三七に敗れて伊勢国を追い出されたのも、源三郎に大きな武功を奪われたのも、全てあ奴が補佐についたからではないか!


つまり!儂がこの様な立場に追いやられているのは柴田六三郎が原因ではないか!許さぬ!絶対許さぬぞ柴田六三郎!必ず殺してくれる!)


六三郎に殺意を向けて、必ず殺すと決意した。

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― 新着の感想 ―
史実との歪みを正す役割を信雄が…出来るかぁ~コイツ如きに 怒りを持ちつつ心を抑えて「スーパー信雄」になっていつか 「お前は俺より上だ」って言え!
信雄、そこに手を出すかぁ…。
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