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到着したらお偉いさんと話し合い

天正十二年(1584年)四月一日

甲斐国 某所


「若様、森様!こちらが恵林寺と入明寺を見渡すのに適した場所かと」


「よし。森様!誠に、此処は我々が受け持って良いのですか?」


「ああ。儂や家臣達は、穴山達が逃げた場合、最も激しい場所になるであろう躑躅ヶ崎館に行く!それに、六三郎!お主は儂と違い、人当たりも良い。


恵林寺の僧や、仁科殿の兄君とも上手く話せるはずじゃ。なに、心配するな。もしも、儂が討死したならば、儂への供養として妹を嫁にもらってくれ!」


「ちょっと森様!そんな縁起でもない事を!」


「冗談じゃ!それでは先に進んでおくぞ!」


「ご武運を!お気をつけて!」


皆さんこんにちは。殿から言われました穴山達の逃げ場所潰しの為に、甲斐国の某所に鬼武蔵さん達と来ております柴田六三郎です


信濃国からの移動の間は見つからなかったのですが、ここは武田のお膝元の甲斐国ですから、史実どおりに進んでいたら民衆は、織田家の味方をしてくれるはずですが、


史実と違い、本能寺の変が起きてないので、もしかしたら、民衆が武田家の味方をしている可能性も否定出来ません。なので、慎重に動きたいのですが、


先程、鬼武蔵さんがフラグを立てる様な発言をしたので、不安が一気に出て来ました。


それでもやるべき事をやりながら、穴山達が高遠城で全員討死する事を祈りましょう


で、そんな事を考えながら、恵林寺を背に守る形の、小さめな本陣を作っていたら、ふと思い出したんです。恵林寺のトップの快川紹喜さんは確か、「心頭滅却すれば火もまた涼し」的な言葉を言った人と言われている事を


その言葉が出たのが、史実における織田家の甲州征伐で、武田家の残党が恵林寺に逃げ込んだから、勘九郎様が引き渡しを要求したのに、拒否したから火をつけられたから


なんて説もあるし。話だけ聞いてたら、間違いなく俺どころか、そんじょそこらの武士より根性のある人だよ。あ、いつの間にか本陣が完成した様です


それじゃあ、中に入って座っておきましょう。と、座っていたら


「若様!恵林寺の僧が、若様に言伝があるとの事です!お連れします!」


と、源太郎と銀次郎と新左衛門が俺の前に、当人を連れて来ました。まさか、立ち去らないと攻撃するぞ!とかか?とりあえず、話を聞こう


「うむ。丁重に連れてまいれ!」


で、連れて来た僧侶さんですが、俺より歳下かもしれない若い人です。挨拶しておこう


「初めまして。拙者、織田家家臣柴田越前守の嫡男の柴田六三郎と申します」


「拙僧は、紹円しょうえんと申します。今日は師である快川紹喜様に言伝を頼まれて柴田様の元へ来ました」


「ほう。恵林寺で1番偉い快川紹喜殿からの言伝とは何ですかな?」


「はい、武田家の軍勢でもないのに、恵林寺を守る様な形で本陣を作っている意図を知りたいとの事です。


つきましては、柴田様含めた少人数で恵林寺に来ていただきたいと」


マジか?これは、しっかり説明して味方になってもらえたら、後ろを気にせずに万が一に備えられる!是非とも会おうじゃないか!


「分かりました。快川紹喜殿にお会いしましょう」


「若様!誠ですか?」


「罠かもしれませぬぞ?」


まあ、普通は反対するか。でも、ここは行かないとダメなんだ!


「安心せい!儂含めて、6人で行けばなんとかなるはずじゃ!連れて行く面々じゃが、源太郎、銀次郎、新左衛門、佐兵衛、喜兵衛!お主達が護衛も兼ねて、ついてまいれ!


源次郎!万が一が起きた場合、お主に采を託す!臆せずに振れ!」


「拙者がですか?」


「利兵衛や水野様に鍛えられて来たのじゃ!万が一が起きた時は任せたぞ!」


「ははっ!」


「あまり気負うな。それでは紹円殿。案内を頼む」


「はい。こちらからどうぞ」


紹円さんの案内で、恵林寺の中に入ったのですが、やっぱり甲冑を着ているから、僧侶の皆さんの視線が痛いです。そう思いながら歩いていると、


「皆様、こちらの本堂に快川紹喜様がいらっしゃいます。紹喜様!お連れしました」


「うむ。中に入れてあげなさい」


「はい。では皆様、中へ」


襖を開けてもらって中に入ると、中央に高齢っぽい僧侶が居た。この人だろうな


「貴殿が、快川紹喜殿で間違いないでしょうか?」


「ええ。拙僧が快川紹喜です。座り位置的に、あなた様が皆様の主君の様ですが、お名前を教えていただきたい」


「織田家家臣柴田越前守の嫡男、柴田六三郎と申します」


「ほう。あなた様が。かの有名な「柴田の鬼若子」と呼ばれておる若武者ですか。柴田様。あなた様がこれまで各国で行なって来た内政の数々、拙僧達の様な俗世から離れた者達の間でも有名ですぞ?」


「拙者はあまり有名になりたくないのですが。どの様に言われているのですか?」


「行く先々の民が飢えない様に、農作物が沢山育つ様に教えたり、新たに銭の種になる物を見つけたりと、


その行ないは、武士とは思えない。仏の道に進んだら、歴史に名を残す名僧になるだろうと言われておりますぞ」


(僧侶なんてなったら、鳥の唐揚げや猪の生姜焼きも食えないから絶対にならないけど、やっぱり話が大きく盛られているな〜)


「それは随分と、話に尾鰭がついておりますな。拙者はあくまで、「これをやってみたら上手く行くかもしれないからやってみよう」くらいの気持ちでしたので」


「柴田様。お若いのに随分と謙虚ですな。その「やってみよう」という挑戦する気持ちがあっても、普通の武士は動けないのですぞ?柴田様が普通の武士と違い、


動いた結果、行った先々の税収が増え、民が飢える心配もなく過ごせるのですから。柴田様は否定するでしょうが、柴田様の行動は全て「他者の為」なのです」


「まあ、僧侶の方々がそう思うのなら、そう言う事で構いませぬ」


「ふっふっふ。誠に控えめですな。まあ、今の会話で大体分かりました。柴田様、そして家臣の皆様は


何者か分からないですが、その者から恵林寺一帯の寺を守る為に本陣をあの様な形にしたのですな?」


(なんで少しの会話で分かるんだよ!?やっぱり位の高い僧侶は人の心も読めるのか?)


「ふっふっふ。柴田様。動揺が顔に出ておられますぞ?拙僧としては、別に柴田様達をどうこうする気はありませぬ。


ただ、誰が恵林寺を始めとした、ここ一帯を攻撃するのか、そして、その理由を教えていただきたいのです」


「分かりました。快川紹喜殿に恵林寺一帯を守る理由をお話したしましょう」


「若様!よろしいのですか?」


「源太郎、武田家の者でもないのに恵林寺の中に入れたのじゃから、これは好機と捉えて、全てを話そうと思う!


快川紹喜殿!実は我々は、恵林寺一帯に武田の者達、厳密に言えば、穴山達が逃げ込まない様にしているのです!」

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