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俺だけ負担多めな降伏勧告交渉

「躑躅ヶ崎館へよくぞ来て下さった!織田家の方々。申し訳ないのですが、当主の武田四郎様は病身で寝込んでいる為、代理として家老であり親類でもある拙者、穴山彦六郎信君が対応させていただき、話を伝えますので、ご容赦くだされ」


穴山の真剣な顔をしながらの対応に六三郎は


(うわあ、「家臣だけど身内だし偉い立場の俺が対応する」ってオブラートに包みながら自己紹介している。この時点で気持ち悪いな!だけど、コイツらに手を下すのは俺の役目じゃない!


耐えろ!基本的には源三郎様が対応するんだから!ただ、何故、鬼武蔵さんも交渉の場に居るんだ?)


そう思いながら、交渉の場に居た。そんな六三郎をよそに


「当主殿が病身とは何とも運の悪い。ですが、話を伝えるだけならば、穴山殿を始めとした方々でも可能ですから納得しましょう。遅くなりましたが、拙者、


織田内府の四男の織田源三郎信房と申す!此度の降伏勧告の一行の代表として来た次第にござる!」


信房は、穴山達に自身が信長の息子で、一行の代表であると伝えた。それを聞いた穴山は


「織田内府殿の御子息が代表とは。織田家の武田を滅ぼす意思は強いのですか」


と、驚きつつ軽く笑う様な顔を見せる。その穴山の顔に


「穴山殿!貴殿は、いや、貴殿達は、この状況で笑える程の余裕があるのか?それ程の余裕があるのであれば、回りくどい降伏勧告などせずに、戦で決着をつけようではないか!」


長可は降伏勧告を台無しにしようとしていた。その長可に六三郎は


(おい脳筋!此処は敵の本拠地の本陣だぞ!そんな煽る事をやるな!)


と、内心、長可に突っ込んでいたが、


「まあまあ森様。殿からの降伏勧告の内容を示した文を穴山殿へ渡して、そこから武田四郎殿の判断次第でも良いではありませぬか!源三郎様、殿からの文をお渡し願えますか?」


「そうじゃな!森殿、武田家の決断次第では戦になるのですから、しばらくお待ちくだされ」


「源三郎様がそう仰るなら、待ちましょう」


信房は長可を抑えると、穴山に信長の文を渡した


「では、拙者が読ませていただきます。「武田家当主である武田四郎よ!この文を書いた儂は織田家当主の織田内府である!


この文は如月の終わり頃に信濃国の高遠城内で書いた物じゃ!睦月から進軍を開始して、武田の支城の中でも中心的存在の小諸城と高遠城を落城させて、信濃国を完全に征圧した!


残るは甲斐国だけじゃ!卯月の中頃までに降伏せねば織田家と徳川家の総勢五万の軍勢が、甲斐国を焼け野原にする予定じゃ!儂の倅の一人がこの文を持って行き、


お主の前に居ると思うが、倅達を殺そうものなら、その時点で織田家と徳川家は武田に全軍をぶつけて、甲斐国を焼け野原にする!降伏する気持ちになったなら


一部の者が切腹する事で許してやるし、甲斐国を本領安堵してやる!家臣達と存分に話し合え!


降伏する結論が出たなら、信濃国の高遠城へ来い!卯月の中頃を過ぎて高遠城へ来ても、無意味じゃ!そこら辺をよく理解しておけ!」と、書いてありますな


いやはや、織田内府様は恐ろしいですな。ですが、我々だけでは判断出来ませぬ。当主の武田四郎に伝えて議論を重ねた後、


降伏に決したら弥生の内に信濃国の高遠城へ行きますので、今日のところは、お帰りいただきたく」


「穴山殿!此度は武田四郎殿が病身であるから帰りますが、出来るかぎり!早く!降伏してくださる事を願っておりますぞ?」


信房が挑発的な言葉を穴山にぶつけると


「源三郎様。そこから先は武田家中の話し合いになるので、我々は帰りましょう。穴山殿、済まぬが、よろしくお願いいたす」


六三郎はフォローを入れながら、躑躅ヶ崎館を出ていった。しかし内心は


(源三郎様!あなたまで喧嘩腰で交渉すると、拗れてしまうんですから!重要な役目に気合いが入るのは分かりますけど、落ち着いて下さい!)


信房と長可の態度にヒヤヒヤしていた。そして、躑躅ヶ崎館から充分な距離が出来ると


「勝蔵殿!勝蔵殿の「戦で決着をつけよう」の言葉を聞いた穴山達の顔は、焦りが見えておりましたな?」


「源三郎様も!帰り際のお言葉、穴山達に恐怖を植え付けるには充分過ぎるお言葉でしたな!」


何やら2人が笑っております。これは、聞かないとダメだな


「源三郎様と森様?もしやと思いますが、あの態度は穴山達を恫喝する為に「あえて」やったのですか?」


「そうじゃ!六三郎殿には伝えるなと、父上からの命令でな!」


「殿曰く、命令を知らない者が一人居た方が、現実味が増すと仰っていた。それに、源三郎様と儂だけではないぞ?ですな、滝川様、金森様?」


後ろの2人を見ると、肩を震わせて顔を背けている。チクショー!本当に俺だけが知らなかったわけか!何か、無駄に負担多めだと思ったら、殿のせいか!


見事に掌の上で踊らされたけど、あとは五郎さん達が実行するだけだから、俺が踊らされるくらいは仕方ない事にしよう!これで、しばらくは何も無い!


無いよな?無い無い!無いに決まってる!と言うかそうであってくれ!


※六三郎の願いはフラグです

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― 新着の感想 ―
後で自分を高く売るつもりの自己紹介、完成度が高いw
山中鹿之助の願掛けをしたかの様に苦難の道のり 主人公がんばれ
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