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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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交渉は涙が多め

「自己紹介忝い!拙者が、矢文を送らせていただきました柴田六三郎長勝と申します。


仁科殿と初対面と思われる方を紹介させていただきます。こちら、此度の穴山討伐軍の総大将を務めております」


「織田源三郎信房にございます」


「お、織田?源三郎殿、もしや貴殿は」


「ご想像のとおり、織田内府の息子の一人です」


「やはり。しかし、源三郎殿、そして六三郎殿、義姉上と勝姫は、何故貴殿達と行動を共にしているのですか?兄上は?そもそも、孫六叔父上がこの様な事を赦すと思えないのですが?」


おや?五郎さん、どうやら本当に何も知らない様だな。これは、最初に武田勝頼の文を見せた方が早いだろうな


「仁科殿。その疑問は、この文を見ていただいたら解決します。家臣の方々にも聞かせてあげてくださいませ」


俺から文を受け取った五郎さんは、文の冒頭を見て


「あ、兄上からじゃと!!?」


と、驚いてましたが、


「辛い内容にございますが、読んでいただきたく」


と、促して、


「分かった」


と、読んでいきまして。読み終えると、


「そ、そんな。孫六叔父上が。し、しかし、何故、その様な武田家にとって大事な情報が一門である、拙者に知らされてないのじゃ?土屋殿、原殿!」


叔父さんが死んだ事を知らない理由を2人に聞いてきたんだけど、2人は


「五郎様、推測になりますが、穴山の手の者が使者を殺したか、甲斐国から出られない様にしたのかもしれませぬ」


「お館様はそれを踏まえて、我々にいち早く柴田殿の元へ向かう様に命令したのだと思います」


凡その理由を説明したけど、五郎さんは


「そんな、兄上。何故、拙者を頼ってくださらなかったのですか?拙者は、それ程、頼りない弟なのですか?」


泣き崩れてしまいました。ですが、何とか落ち着いた様で


「源三郎殿と六三郎殿。不甲斐ない姿を見せて、済まぬ。幾つか聞きたいのじゃが、先ず、兄上の嫡男の虎次郎は立派に育っておるか?」


「はい。松姫様と勘九郎様が養育しておりますし、内府様も武田家の新たな当主に据えると宣言しております」


「ならば、安心して良いか。次に聞くが、六三郎殿。六三郎殿の家臣は、元は武田の家臣だった者が何故多いのじゃ?


狙って切り崩しに取り掛かったわけではないのであれば、説明していただきたい」


(ええ〜?そんなん俺も知らないんですが?源太郎達赤備えの皆は、武闘派が欲しかったから召し抱えたけど、


山県家と真田家に関しては、山県昌景の文が推薦状みたいな形になってて、俺も召し抱えても良いと判断したから!って形だしなあ)


六三郎が説明に悩んでいると、


「仁科様。拙者から説明させていただきたく」


「確か、六三郎殿の家臣の」


「飯富源太郎虎昌と申します」


「飯富じゃと?もしや、父親は」


「はい!赤備えを創設し、鍛え上げた、甲山の猛虎の二つ名で呼ばれておりました飯富兵部少輔虎昌にございます」


「確か、十二年前の西上作戦で。秋山殿の軍勢に編成されていたが、美濃国での戦で敗れて、討死したのではなかったのか?」


「いえ。拙者を含めた軍勢は秋山殿達が撤退する時に置き去りにされた結果、若様達の捕虜になっておりました」


「成程、だからその後の音沙汰が無かったのか。しかし、飯富殿。何故、織田家へ出奔したのじゃ?


父親の件で連座で処刑されてもおかしくない所を武田家は助けたのだから」


「確かに父上の件で処刑されてもおかしくない所を助けていただいた感謝はあります。ですが、だからと言って、父上の死から五年も過ぎているのにも関わらず、


いまだに父上の事を愚弄する者達と共に戦うなど、到底出来ませぬ。そんな時に、若様は、六三郎様は、


「己の命を捨ててでも守りたい家族と仲間がいる。その様な者は信頼できる」と仰ってくださいました。


父上の事で武田家中から白い目で見られ、誰からも信頼されておらぬ時に、その様な言葉を元服前の若様に言われたからこそ、この命尽きる時まで若様に仕えようと決めたのです!


拙者達が若様に仕えている事を知ったからこそ、山県兄弟も真田家も、拙者の叔父である山県殿の文を元に若様の元へ来たのだと思います」


「そ、そう、か。昔の話と言えど、武田家の者達がすまなかった。儂が頭を下げてどうにかなるわけではないが、一先ず頭を下げさせてくれ」


五郎さんが頭を下げて、少し静寂が訪れた。でも、そんな状況が続いたら先に進まないので、


「仁科殿。話を本筋へ戻したいのですが」


「あ、ああ。すまぬ。土屋殿、原殿。兄上はお主達を逃す前に何と言っていたのじゃ?」


「五郎様。お館様は、我々に対して「織田家と武田家の力が拮抗していたなら、虎次郎は殺されていただろう。それをやらないと言う事は、


織田家から見た武田家は虫の息で、一捻りに潰せると判断したから、虎次郎を養育しているのだろう」と仰っておりました。織田家と徳川家との戦だけでなく、


穴山達との争いも有り、お館様のお顔は疲れ果てておりました。それでも、我々に虎次郎様へ御旗と楯無を渡して、家督を継承してくれと、


露見したら穴山達へ攻撃の大義名分を与えてしまうのに、それでも穴山達へ甲斐国を渡すまいと」


「それ程まで。すまぬが、御旗と楯無を見せてくれぬか?兄上に何か起きてしまっているなら、御旗と楯無のどれかに、予兆が出ているかもしれぬ。見せてくれ」


「「かしこまりました」」


五郎さんのリクエストに、2人が答えて、御旗と楯無を入れた箱を開けて見せる。五郎さんがじっくり2つを検分するけど


「以前見たままじゃ。糸が切れているなども無い。兄上もこの通り無事なら」


五郎さんは、楯無の内部を見て、言葉が止まる。内部に手を入れると、


「この文は、以前は無かった!恐らく兄上が仕込んだ物に違いない!」


何やら文を見つけた様です。此処で俺が口出しするのは野暮なので、静かに待ちましょう

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