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兄弟は気まずく、俺には重すぎる

銀次郎の兄貴と新左衛門の弟さんが2人に声をかけたけど、2人は気まずいのだろうか、何を話して良いか分からないからなのか、言葉に詰まっている


このままの状況は場所的に良くないから、移動した方が良いな


「銀次郎、新左衛門。お主達の兄弟と思しき方達の連れの方達も連れて、源三郎様の元に戻るぞ!何か話したいのであれば、そこで話せ!そちらの方達も、それでお願いいたす」


「「も、申し訳ない」」


納得した皆さんを連れて、源三郎様の居る本陣まで戻りましたら、


「六三郎殿!周囲の見廻り、に行った時より人数が増えておる様じゃが」


「源三郎様、見廻りに行った所、こちらの方々が敵と思しき者達に囲まれておりましたので、助けた次第にございます。安全の為に此方に避難させましたので、


拙者の陣幕内で手当てなどをしながら、話を聞きたいと思います」


「そうか。父上達へ周知すべき事が分かったら、教えてくだされ」


「ははっ!」


源三郎様への報告を済ませて、俺の陣幕内へ移動させましたら


「さて!銀次郎と新左衛門のご兄弟。先程、事の次第を軽く話したお方は主君である織田内府様の4男なのじゃが、貴殿達をそのまま引き渡したら大変な事になる


だから一時的に拙者が引き受けた。まあ、銀次郎と新左衛門のご兄弟の時点で、武田家臣だと確信しておる。しかし、拙者の様な若造が名も名乗らないのでは


失礼であるから自己紹介しておきましょう。拙者は柴田六三郎長勝。銀次郎や新左衛門達の主君であるのだが、


貴殿達の名を教えていただきたい。お願いできますかな?」


「土屋惣右衛門昌恒にござる」


「原新之助貞胤にござる」


「惣右衛門殿と新之助殿か。それでは、銀次郎は惣右衛門殿の弟で、新左衛門は新之助殿の兄で間違いないですかな?」


「「はい」」


「やはりか。しかし、織田家家臣が言うのもおかしいと思うが、現在織田家は同盟しておる徳川家と共に武田家と戦をしておるが、そんな最中に、何故あの様な場所に居たのでしょうか?」


「柴田殿。ちゃんと理由を話します。なので、弟と話をさせていただきたく」


「柴田殿。拙者も兄と話をさせていただきたく」


「今の状態で良けれは、話してくだされ。その前に。雷花!連れの女子達をお主達でしばらく世話してくれ」


「ははっ!」


雷花達に女の人達を預けましたら、さて、兄弟はどんな会話をするかな?


「銀次郎、新左衛門。儂に仕えてから12年振りに会うのじゃ。しっかりと話せ」


俺がそう声をかけると、惣右衛門さんから話し始めた


「では、銀次郎。お主が生きていていた事、最近知った。柴田家に仕えている事も。今更武田に戻って来いとも言わぬ」


「兄上」


「儂も、隣の新之助殿も、お主達が十二年前の美濃国での戦で討死したと思っておった。だが、お館様から教えていただいた事で、生きていると知った時、は」


惣右衛門さんが泣き崩れました。しばらく話せそうになかったので、新之助さんに話をふると


「次は拙者が。兄上。拙者も兄上は討死したと思っておりました。兄上が討死したと思った父上は、拙者に家督を譲った後に、高天神城の戦で討死しました


出陣前に父上は、「新左衛門が居たら、新之助に辛い思いをさせずに済んだのだがなあ」と仰っておりました」


「新之助」


「拙者も兄上に武田に戻って来てくれとは言いませぬ!ですが、今から話す事の全てをやってくだされ!」


そう言うと、新之助さんも泣いていた。これは、銀次郎と新左衛門の2人が動くのは無理だな。俺から聞くか


「惣右衛門殿、新之助殿。お二人の胸の内に拙者がどうこう言うのは失礼なので、少し、話を変えましょう


先程、新之助殿が言っていた「今から話す全ての事」をひとつずつ教えてくだされ」


「はい。先ず、我々が甲斐国から此方に来た理由ですが、お館様、武田四郎様からの命令です。御自身の正室である奥方様と姫様、そして我々の家族を連れて、


弟達が仕えている、柴田殿の元へ行き、保護してもらえ!と。詳しい事は、お館様が書いた文を渡したら分かるとの事ですので此方を」


そう言って、惣右衛門さんは俺に文を渡したので、読んだら、あまりに重い内容ですし、俺がどうこう出来ないし、源三郎様でも無理だ!殿や勘九郎様に持っていくしかない!そして対応してもおう!


「惣右衛門殿、新之助殿。貴殿達、いや、武田四郎殿の命がけの覚悟と貴殿達の忠義、見事しか言えませぬ!ですが、家臣の倅の拙者がどうこう言える話ではないので、殿へ話を持っていきます」


「はい。お館様も、柴田殿ならば、奥方様や姫様を害する事が無いと判断したからこそ柴田殿の元に行く様に命令したのだと思っております」


「柴田殿、我々二人、お館様から虎次郎様へ絶対に渡してくれと言われている物が有ります!それをお渡しするまでは生きたい!なので!」


2人の姿に12年前の源太郎を思い出しました。守りたい者の為なら、主君の命令を遂行する為なら、命もいらないという覚悟。俺には出来ないからこそ、


とてもカッコいいよ。こんな人達を殺すのはよろしくないな!


よし!源三郎様にも文を見せて、巻き込もう!俺が殿に言うより、息子である源三郎様が言った方が殿は聞くだろ!あの人、我が子には甘いし!


「それでは2人共、源三郎様の元に行って、文を見せて、2人の熱意を伝えましょう。きっと伝わるはずですので、拙者も後押しします!」


「「有り難き!」」


さあ、源三郎様の元に移動じゃー!

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