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斎藤家再興の第一歩

天正十二年(1584年)一月二十六日

近江国 安土城


「藤四郎!三吉の師として十年以上、教えられる事を全て教えて来た三吉が今日、元服する。これまでの働き、誠に感謝する!」


「殿。ありがたいお言葉にございます。長い様でもあり、あっという間にも思える日々でした。ですが、これからは三吉が斎藤家再興の旗頭になります。家臣団の形成などは、殿のお力が必要な分野ですので、お願いします」


「うむ。これより先は儂の娘と縁組させて、一門に組み込む。そこから武将としてだけでなく大名として、人の上に立つ者の心構えも教えて行く。藤四郎が十年以上教えて来た事も実践しなければ意味が無いからな


これから行なう武田征伐で初陣となるが、そこで形的でも良いからひとつくらいは武功を挙げさせて、帰蝶の血縁者だから特別扱いをしてないと思わせる


だからこそ藤四郎。六三郎達も使いながら、武田を殲滅せよ!勿論、儂の馬廻り達も働かせる!」


「ははっ!」


皆さんおはようございます。安土城に到着したら、水野様と共に殿から大広間に呼ばれて、重要な話を聞かされております柴田六三郎です


三吉達を一時待機させて、水野様を呼ぶのは分かるんですが、俺も呼ばれたから何事かと思っていたら、越前国の屋敷で昌幸さんが俺に提案していた内容でした


殿は俺の方を向くと、


「六三郎!市へ送った文を見ただろうが、お主の正室問題は道乃を正室にする方が早いと判断したが。その事は三吉に言っておらぬな?」


「はい。その事を伝えて、道乃の為に無理をさせない為に伝えておりませぬ」


「うむ。武田を滅ぼしてから、その事も含めて三吉も含めて皆に話す!だから、今は戦に集中せよ。藤四郎も頼むぞ!」


「「ははっ!」」


殿の話が終わって、部屋に戻ると


「六三郎様。織田様とどの様な話をされていたのですか?」


三吉が部屋に来ていた。テンションが高いのは、もうすぐ元服だと言うのに、まだまだ子供な所だと思うが、これが普通の人なんだろう


「武田征伐の後の展望についての話じゃ。それよりも三吉、これから元服の儀なのじゃから、早く正装に着替えてこんか」


「はい。その前に六三郎様、ひとつ確認、いえ、お願いがあります」


「何じゃ?」


「拙者が元服して、斎藤家を再興させても、兄の様な立場で接してください」


「勿論じゃ。姉の道乃が儂の嫁になるのじゃから、三吉は儂の義弟じゃ。それに、これから斎藤家の大黒柱になるのじゃぞ。少し、いや、微々たる程度でも良いからしっかりしないといかんぞ?」


「はい。六三郎様みたいになりたいと思います」


「三吉、儂みたいになりたいと思うのはありがたいが、それは家臣が増えてからにした方が良いぞ」


「はい」


「分かったなら、正装に着替えて来なさい」


「はい」


三吉は部屋に戻って行ったけど、俺みたいになりたいなんてやめとけ!仕事を大量に請け負って過労でダウンなんて、


これから大名への一歩を踏み出す人がやる事じゃないんだから。まあ、それは周りの家臣達が止めて、その周りの家臣達が現状居ないんだ。


これは、気になる問題だけど、殿がどうにかするでしょう。俺が出しゃばるのは良くないな。よし、そうと決まれば部屋に戻って一休みしてから大広間で、三吉の晴れ姿を見ますか


こうして六三郎は部屋に戻って一休みした。それからおよそ2時間後


「では、これより三吉の元服の儀を執り行う」


「「「ははっ!」」」


信長の挨拶で元服の儀か始まった。厳かな雰囲気の大広間に正装の三吉が入ってくる。色々な順序をこなしていく中、利兵衛、紫乃、道乃、信元、そして帰蝶が大泣きしている


そして、最期の元服後の新たな名前を披露する時になり、信長が考えた名前を発表する


「三吉、元服の儀を終えて大人になったお主の新たな名は、「斎藤新三郎長龍さいとうしんざぶろうながたつ」じゃ、


先ず仮名の意味じゃが、新三郎の新の字は、新たに斎藤家を大きくして欲しいと願いを込め、三郎は儂や六三郎と同じ名前の方が、覚えやすいと思ったからじゃ


そして諱は長は儂の一字、龍は祖父の利兵衛が助けたお主の父方の祖父の諱、龍和から一字を使った。


今すぐでなくとも、少しずつでも、斎藤家の当主として立派な大名に、男になれ!そして、これからは儂の家臣であり家族でもある。これからの働きを期待しておるぞ」


「ははっ!斎藤新三郎長龍として、殿の家臣として働きます!」


「うむ。これで元服の儀を終わりとする。帰蝶、涙で化粧が大変な事になっておるが、新三郎の元へ行ってやれ」


「もう、殿。化粧の事は言わないでください」


帰蝶は信長にツッコミを入れながらも、新三郎の元へ歩いていき、


「新三郎、斎藤家再興の第一歩おめでとう。でも、まだまだ道は長く遠いですよ。あなたの曽祖父が美濃一国を治めていた頃の様にとは言いませんが、大名として、数万の石高を殿からいただける様に励みなさい」


「ははっ」


「それから、子供を早く作って、私を含めた全員に見せなさい」


「それは、善処しますとしか言えませぬ」


「慌てなくとも良いですが、早めにね」


帰蝶様が元服したての三吉、じゃなかった新三郎に「早く子供を作れ」と急かしているけど、雰囲気は良いから皆さん笑っています。新三郎は殿の娘をもらう事か確定だから、案外、それこそ来年か再来年あたり


子持ちになってそうだな。まあ、その時は祝いの品を持って行こう。これから頑張れ新三郎!

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