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文の内容は笑いと驚き

「どれ。「兄上へ、事後報告になって申し訳ないのですが、五月の終わり頃から前田様、佐々様、明智様の姫君ならびに付き添いの方々が、長浜城で寝泊まりしております


その理由として大殿が六三郎殿と許婚の姫君の話が破談になった事を柴田様へ伝えた所、お三方が柴田様へ「娘を六三郎殿の正室に是非!」と推挙すると、


柴田様が「北陸の征圧が終わってから考える」と仰ったので、皆様は「ならば娘を六三郎殿の元へ行かせて中を深めて良いか?」と柴田様へ聞いて了承を得たので、


六三郎殿の元へ来た次第です。ちなみに六三郎殿は他家の姫君だからと臆する事なく「正室の座を手に入れたいなら、少しは働け!働かない女子を嫁にするつもりはない!」と剛毅果断な言葉で、姫君達を少しとはいえ、働かせております


三家から食糧品を含めた色々な物も送られて来ておりますので、長浜城の財政に響いておりませぬのでご安心ください。兄上が山陰の征圧から戻って来た時に、


何も知らない事を避ける為に伝えておきたいと思い、文を書きました。ご武運と無事を祈っております」


「はっはっは!伊右衛門よ!さっき儂達が話していた事が現実になっておった様じゃ!六三郎殿の正室の座を手に入れる為に又左達が動き出しているそうじゃ!


又左は倅の孫四郎に殿の姫君が嫁入りする事が決まっておるのに、娘も動かすとはのう!」


「殿。そこまで大笑いするとは、随分余裕があるようですが?」


「伊右衛門よ、三家の姫達はずっと長浜城に居るわけではない。いつかは領地に帰らなければならないが、


儂は長浜城の城主であり、六三郎殿は北近江の開発を最初は儂からの「何かあれば良い」くらいだったのに、今では殿から「大々的にやれ!」に変わって、


常駐している。つまりは山陰の征圧が終わってから長浜城に戻って、娘を六三郎殿の正室に推挙する機会は儂の方が圧倒的に多い!しかも、六三郎殿は「少しも働かない女子を嫁にするつもりはない」と宣言しておる


儂の娘はまだ幼い。流石に六三郎殿も幼い娘に働けとは言うまい。くっくっく。何処の家の姫君かは分からぬが、六三郎殿という傑物、それこそ次世代の織田家中において勘九郎様の弟君達の次くらいの立場を


手に入れる可能性の高い若武者を捨てて別の男に走るとは。それ程その若武者が良い男だったのじゃろうな。だが、それ程の若武者と言えど、六三郎殿の様に複数の国の税収を増やす事はそうそう出来まい


恐らく十年後くらいに「逃した男は大魚を超えて龍だった」と後悔するであろうな」


「殿。少しばかり悪い顔になっておりますぞ」


「おっと。寧々や小一郎には勿論じゃが、皆にも見せられぬ顔になっておったか。顔を元に戻す意味も込めて寧々からの文を読むか」


秀吉は気分転換の意味も込めて、寧々からの文を読みだす


「どれどれ。「殿へ。戦は順調でしょうか?長望丸も順調に成長したおりますので、無事に帰って来る事を祈っております。改めて本題に入りますが、


此度の戦が終わって領地が大幅に拡大しましたら、山内伊右衛門殿の所領を、侍女が二人召し抱えても大丈夫な大きさにしていただきたく存じます


理由として、山内伊右衛門殿の正室の千代が嫡男の伊千丸を産んで尚、身を粉にして働いているので伊千丸の子守を娘の与弥がやらないといけないのに、


子守を放ったらかして長刀を振るだけでなく、六三郎殿の「少しだけ子守を代わってやる」の言葉をそのまま受け取り、六三郎殿に子守を押し付けたのです


千代に侍女が居たら、六三郎殿が子守をする必要も無くなります!なので、山内伊右衛門殿の所領を侍女を二人召し抱えても大丈夫な大きさにしていただきたく存じます!」と、寧々は言っておるが、伊右衛門?」


「奥方様にこの様な事を言わせて申し訳ありませぬ!与弥がこれ程に我儘なのは、拙者が甘やかしてしまったからです。誠に申し訳ありませぬ!」


「伊右衛門。気持ちは分かるが、与弥は確か今年で四歳であったじゃろう?その歳の子供に「あれをやれ!」と言っても、普通の子供は無理じゃと儂は思うぞ?」


「そう言ってもらえて、少しばかり気が楽になります」


「それにじゃ!良くも悪くも、これで六三郎殿との縁も出来たのじゃから、もしかしたら与弥を六三郎殿か、六三郎殿の弟に嫁入りさせる事になるかもしれぬぞ?」


「それはとても有り難いですが」


「あまり気にしてはいかん!六三郎殿は「他者に手を差し伸べる事を厭わない」優しい若武者じゃ!だから、伊右衛門の嫡男の伊千丸の子守を代わっただけじゃろう!


それに寧々もその様な状況にならない為にも、伊右衛門の領地を侍女を二人召し抱えても大丈夫な大きさにする様にしてくれと言っているだけじゃ


まあ、長望丸を産んでから強くなった寧々の事じゃから、与弥を叱っているのは間違いないじゃろうが、それは子守という役目を放ったらかしたからじゃ


叱るのはその日だけじゃろう。だからこそ、寧々の希望を叶えてやりたいが、伊右衛門。それはお主やお主の家臣の働き次第である事を忘れるでないぞ?」


「ははっ!」


「うむ!それでは本陣の移動を開始するぞ!!皆へ連絡してまいれ!」


二人からの文は笑いと驚きがあったが、秀吉は六三郎の正室を手に入れるチャンスが出て来た事を、本心では喜んでいたが、出陣中という事もあり、控えめに喜んでいる様に見せた

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