静かになったから未来技術を使おう
作品内では時代的にこれがセメントやコンクリートを作る限界かもしれないという作り方で作っておりますので、ご了承ください。あくまでフィクションである事をご理解ください。一部の方が、「そんなんじゃセメントしか作れないよ!ちゃんと調べてから書け!」と言ってきましたので、前書きに書いておきます。
天正十一年(1583年)六月二十五日
近江国 長浜城
「寧々様!小一郎殿!拙者の事で騒がしくしまして、申し訳ありませぬ!」
「ほっほっほ。六三郎殿。気にせずとも良いですよ。藤吉郎様にも歳頃の娘が居たら、同じ事をやっていたと思いますから」
「それに、六三郎殿が「少しも働かない女子は嫁にしない!」と宣言してくれたおかげで、働いてくれておりますからなあ」
皆さんおはようございます。俺の正室の座を狙っている親父の与力の三家のお姫様達に「少しも働かない女は嫁にしない!」と宣言したら、少し静かになって安心しております、柴田六三郎です
これで温泉開発に集中出来るので凄く、とても、ありがたいです!ですが、俺の寿命に関わるイベントの本能寺の変、賤ヶ岳の戦いが起きる時期が過ぎた事で、
新たに俺の寿命に関わるイベントが出て来ました。それは、天正大地震です。史実では今年でない事は確かなんだけど、歴史の修正力が働いて、今年の年末とか、
来年あたりに起きる可能性もありますし、起きたとしても俺がその時に畿内に居ないなら安心ですが、
恐らく俺の事です、何処かで内政の手伝いをしている可能性が高いでしょう!もしかしたら、近江国の温泉開発を引き続きやっているかもしれません
建物の倒壊が天正大地震では凄かった様ですので、そこで、未来技術にあたるコンクリートで温泉の建物を作る提案をしたいと思います。天正大地震がどれくらいの破壊力があるか分からないですが、
全壊は勿論、半壊も防ぐ事が出来ると思いますので、秀長さんに相談して、そこから恐らく殿に話が行くだろうから、コンクリートの基礎のセメント作りの、
石灰石を砕いて粉にしてから水を混ぜて捏ねてを見せて、大小の砂利を入れて更に混ぜて捏ねてをやってから、既に乾燥した現物を見せたら納得してくれるだろう
それこそ、羽柴家からの予算でやりくりしてる温泉開発に織田家からの予算を投入してくれるかもしれないな!俺が死なない為だ!周りの声を気にせずやっていこう
「小一郎殿!試してみたい事があるので準備していただきたい物があるのですが。お頼みしてもよろしいでしょうか?」
「財政にひびく物でなければ構いませぬが、いったい何を準備するのですか?」
「大量の石灰石と、同じく大量の砂利を!砂利は大小異なる大きさの物を、そして砂も大量にお願いします」
「まあ、それくらいなら問題ないですが。六三郎殿、いったいどの様な物を作るのですか?」
「上手くいけば、とても頑丈な建物が出来る物。と言っておきます」
「それは面白そうですな、完成したら見せてくだされ!」
「勿論です」
こうして、セメント作りからコンクリート作りへ行ける物資を確保出来ました
天正十一年(1583年)七月五日
近江国 長浜城近く
「六三郎殿。頼まれていた物が届きましたぞ」
「小一郎殿!ありがとうございます」
皆さんおはようございます。セメント作りとコンクリート作りの準備が整いました柴田六三郎です
今からセメントを作って、そこから更にコンクリートを作るのですが、この時代に石灰石をゴリゴリ削って粉にしてくれる機械なんて無いので、
赤備えの皆と一緒に石灰石を人力で砕いて粉にしていきます。あ、石灰石を焼いてからです。そうしないとセメントにしかならないと、前世でクソ面倒くさい人が言っていたので、そうしてます。
前世でもそうだったけど、やらない人、作らない人ほど口出ししてきますよね。戦わない奴が、戦ってる人間を笑うなよ。と思います。ああ。すいません、話がそれました
秀長さんはおよそ15キロの石灰石、大小の砂利、そして砂を準備してくれました。その中から、今回は五分の一のおよそ3キロを使います。混ぜる様のトロ箱と呼ばれる箱や、型枠は湯船作りでお馴染みの職人さん達に作ってもらいまして、
今日は長浜城の守りにも、温泉開発にも行ってない手が空いている金之助達を捕まえて、3キロの石灰石を削る事、およそ1時間。見事な粉になりましたので、
「皆!石灰石の粉がついたままで目をこすると、失明するかもしれぬから、しっかり手と目を洗え!洗い終えたら、やりたかった事をやるぞ!」
「「「ははっ!」」」
皆も俺もしっかり洗い落としましたら、
「では、金之助!水を少し入れてくれ」
「ははっ」
金之助が恐る恐る水を入れて、俺が混ぜて、また金之助が水を入れて、俺が混ぜて。を繰り返した結果、
「おお!若様が混ぜるまでは粉だった物が、ぬかるみになっている!若様、これは?」
「まだ、完成ではないぞ。次に砂を石灰石と同じくらいの量を入れてくれ」
「ははっ!」
金之助が同じくらいの量の砂を入れて、また俺が混ぜて。混ぜる時にスコップが見つからなかったので、農作業用の鍬で混ぜております。砂がセメントに満遍なく混ざった様なので、
「砂利も砂と同じくらいの量を入れよ!そして、水を少し入れよ」
「ははっ!」
最期に砂利を入れて、混ぜて。水も少し入れて混ぜてを繰り返して、表面を出来るかぎり綺麗にならしたら
「あとは涼しい所で5日程乾燥させたら完成してるはずじゃ!皆、運ぶぞ!」
「「「ははっ!」」」
表面に日光があたらない様に布を被せて、長浜城内の蔵に置きましたら、しばらく放置です
天正十一年(1583年)七月十日
近江国 長浜城
「六三郎殿。五日経ちましたが。そろそろ見せていただけますか?」
「ええ!そろそろ乾燥も終了しているでしょう」
皆さんおはようございます。コンクリートか完成したかを見せてくれと秀長さんから促されている柴田六三郎です。俺も「確かこうだったよなあ?」ぐらいの感覚なので、
少し不安ではありますか、小さいサイズの物なら大丈夫でしょう。それじゃあ
「皆!蔵の中に入って、5日前に作った物を運ぶぞ!見事完成していた場合、とても重くなっておるから気をつけよ!」
「「「ははっ!」」」
で、蔵の中に入って型枠を運ぼうとしたら
「うお!お、重い!」
「そこらの丸太くらい重いぞ!」
「ゆっくり運ばないと落とすぞ!」
皆か重さに驚いて、ゆっくり運んで来ました。実物を秀長さんに見せたら、
「おお。見た目は綺麗ですな。触ってみてもよろしいですか?」
「どうぞ」
「では。おお。滑らかな触り心地。そして、硬さも素晴らしい!六三郎殿!これを、あの材料で作りあげたのですか?」
「ええ。小さい頃に岩の様な壁が出来たら、城や屋敷が攻撃されても平気なのではないのかという好奇心から挑戦しておりましたが、材料の塩梅を気にして、皆の協力を得ながら作ったら、完成しました」
「これを、どの様に使うのですか?」
「とりあえずは、今、開発している風呂の建物に使いたいと思っておりますが、安土城の殿にも相談しないといけないので、小一郎殿。源三郎様をこちらへ連れて来て、物を見せてから、殿へ文を出してもらいましょう」
「そうですな。我々よりも源三郎様からの文の方が大殿も信頼が高いでしょうから、源三郎様を呼んできます」
秀長さんはそう言って、開発現場に行きました。これでセメントもコンクリートも作れる人が増えたら、俺の仕事も減ると期待しよう!




