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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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正室狙いが集結したら仕事が増えた

天正十一年(1583年)五月三十日

近江国 長浜城近く


「初めまして柴田六三郎様!私、能登国の一部を領有しております前田又左衛門の娘の摩阿まあと申します」


「は、はあ。前田様の姫君と、そちらの方は?」


「初めまして。摩阿姫の叔父の前田五郎兵衛安勝まえだごろべえやすかつと申します。弟の又左衛門利家の家臣でもあります。此度は摩阿姫様の付き添いで来ました」


「そうですか。それで、どの様な御用でこちらに?」


「父上より、この文を見せたら早いと言われましたので、見てください!」


皆さんおはようございます。朝から北近江の温泉開発作業をやっていましたら、前田利家の娘さんと付き添いの兄貴が来ました。


しかも、何やら「これを見たら早いから」と文を渡されました。これは声に出さないで読んでみましょう


「では、失礼します。(六三郎殿!この文を読んでいるという事は、儂の娘と家臣として働いている兄が目の前にいると思うが、驚かせてすまぬ!


だが、殿が親父殿へ書いて送ってきた文に、六三郎殿の正室候補だった徳川様の姫君と破談になったと聞いたので、是非とも儂の娘の摩阿を正室にして欲しいと思ったが、


親父殿から北陸地方の征圧が終わってから考えると言われたので、先ずは摩阿の為人を知って欲しいと思って、そちらに行かせた。お役目の合間に会話でもしてくれ!)」


おい!前田利家さん?あなたの娘さん、若すぎませんか?俺より歳下なのは確定だけど。法律的にアウトな年齢な気がするから聞いてみよう


「内容は分かりました。つかぬ事をお聞きしますが摩阿姫様?今年でおいくつですか?」


「今年で十二歳です!」


アウトじゃねーか!今年で十二歳という事は、数えで十二歳だろ?つまり実際は十一歳じゃないか!妹の茶々と初より歳下とか勘弁して欲しいんだけど?前田利家さんよ、


もしかして実体験としてあなたの正室のまつさんと同じ様に中学生くらいで出産させろと言ってるのか?いやいや、それは倫理的にアウト過ぎる!


ただ、能登国から来たのに即帰宅させるのはなあ。仕方ないから


「摩阿姫様、五郎兵衛殿。その」


「六三郎様!私は、父上より六三郎様と中を深めて来いと言われておりますので簡単には帰りません!」


おい待て!!何でそんな事を大声で言うんだよ!?あ、思い出した。前田利家本人も昔から声がデカかったな!親父が尾張国に領地を持ってる時に屋敷にちょくちょく来てたけど、


その時もデカかったから、この大声は親譲りなのか!でも、こんな場では止めてください!周りの目が辛いです


「摩阿姫様。お気持ちは分かりましたが、此処は危ないので、長浜城へ移動してくださいますか?」


「六三郎様は来るのですか?」


「今日の役目が終わりましたら戻りますから。紀之介殿!前田様一行を長浜城へ御案内していただけますか?」


「分かりました。では、お二人共、参りましょう」


紀之介殿ありがとう!こんなん俺の胃か持たないです。でも、さっき摩阿姫が見せた前田利家からの文に、「殿が親父殿へ書いて送ってきた文に」とあったから、


佐々成政と明智光秀も見ている事が確定だけど、まさか二人も前田利家と同じく俺の正室の座を狙いに来るとか無いよな?いや、無いな!うん、無い無い!


俺の正室を狙うなら、殿の四男の源三郎様の正室を狙った方が良いに決まってるんだから!


もしも!万が一!今日と同じ状況になったなら!源三郎様のイケメンを見て標的変更してもらおう!


この後、俺の考えは激甘だったと知る事になります


天正十一年(1583年)六月五日

近江国 長浜城近く


「六三郎様!お久しぶりです!」


「おお!弓、いや弓殿と呼ぶべきか、佐々様の正室になって、嫡男も産んだのだからな」


「内蔵助様が居ない時は、以前の様に弓で構いません!」


「そう言ってくれて助かる。それで、今日は何か近江国に所用でもあるのか?」


「ええ!とても重要な所用です。私の義理の娘、つまり、内蔵助様の前の奥方様の間の娘の輝子てるこを、六三郎様の正室にしていただく様、


内蔵助様から文が届きまして。さ、輝子!六三郎座にご挨拶なさい」


「は、は、は、初めまして!佐々内蔵助の娘の輝子と申します。こ、此度は弓義姉様の伝手を頼りに此方へ来た次第にございます!こちら、父からの文でございます!お読みください」


皆さんおはようございます。前田利家の娘の摩阿姫様が来た僅か5日後に、今度は佐々成政の娘の輝子姫を、俺の顔馴染みで自らの正室の弓を付き添いとして


連れて来た事に驚いております、柴田六三郎です。俺の正室を狙うより、源三郎歳の正室を狙った方が良いと思うんだが?


俺は家臣の倅だぞ?俺よりも殿の四男の源三郎様の方がイケメンだし、将来的に安心だと思うんだけどなあ。とりあえず文を読もう


「輝子姫でしたな。それでは文をお借りします。(六三郎殿へ!この文を読んでいる時は、儂の継室で六三郎殿の顔馴染みの弓と、六三郎殿の正室に推挙したい娘の輝子が目の前に居ると思うが、


殿から親父殿へ書いて送って来た文にて、正室候補だった徳川様の姫君と破談になったと聞いたが、親父殿は北陸地方を征圧してから六三郎殿の正室を考えると言っているので、


先ずは、お互いを知る為に輝子と簡単な会話でもして為人を分かって欲しい。親の欲目かもしれぬが、輝子の見目は悪くないと思うぞ?)


うん。佐々成政も前田利家と同じく、娘を俺の正室に猛プッシュして来たんだけど、今日は源三郎様を見せて


「弓。儂から」


「六三郎様。まさかと思いますが、内蔵助様が書いた文があって、輝子が勇気を振り絞って六三郎様に会いに来たのに他の殿方を紹介する等無碍に扱うなど、


美濃屋で身分を隠して働いてまで松姫様と虎次郎様を保護してくださった、お優しい六三郎様ならしませんよね?」


「そ、そ、そ、そ、そんな事はせんぞ?儂からは今の所、お役目があるから相手出来ないから、長浜城で待っていて欲しいと思ったのじゃ」


「ですよねえ。お優しい六三郎様なら輝子に他の殿方を、なんてしないですよねえ」


弓の迫力にとてつもなくビビりました。きっと父親の山県昌景も似たような迫力があったんだろうと思える程です。とりあえず年齢くらいは聞いておこう


「それでは輝子姫。失礼ですが年齢はおいくつですか?」


「ろ、ろ、六三郎様と同じ十九歳です。嫁入りするには遅いかもしれませんが」


「まあまあ輝子姫。その話は拙者の父上が佐々様達を連れて帰って来てからにしましょう」


俺のこの言葉に弓が


「六三郎様?今、佐々様「達」と言っておりましたが、まさか、他の方の姫も居るのですか?」


直ぐに気づく。そしてタイミング悪く


「六三郎様〜!今日はお役目に励む姿を見せてくださいませ」


摩阿姫様がやって来ました。摩阿姫を見た弓は


「六三郎様?まさか、あの様な年端も行かない子供に手出ししたのですか?」


と、とても怖い顔になって、それを見た摩阿姫も


「そこの女子!六三郎様に怖い顔をするな!」


と言って来たものだから、


「誰の顔が怖いと言っておる?」


「お主じゃ!」


「随分と口の悪い姫君じゃなあ!何処の家の姫じゃ?名は何と申す?」


「前田又左衛門の娘の摩阿じゃ!お主は何処の家の姫じゃ?名は何と申す?」


「私は山県三郎兵衛尉の娘で、佐々内蔵助の正室の弓です」


「さ、佐々様の正室が何故、六三郎様の側に居る?まさか浮気か?」


あまりに失礼な摩阿姫の言い方に叔父さんの五郎兵衛さんが


「摩阿!いい加減にせんか!」


と大声で叱ってくれました。そしたら


「何故、そんな大声で叱るのですか?私は、ただ六三郎様を」


摩阿姫様、大泣きです


「たわけ!佐々様の正室のお方に対して浮気などと!失礼ではないか!弓様。姪が申し訳ありませぬ!」


五郎兵衛さんは弓に目一杯頭を下げた。それを見て弓も


「いえ。私も少しばかり大人気ない物言いになりました。前田様の姫に申し訳ありませぬ」


「いえいえ。偶にはこの様に叱られて、世間知らずを少しずつ直していけたら、将来六三郎殿の正室になれた時に恥をかかずに済みますから」


「前田殿。今のお言葉、そのままにしておけません。私は、内蔵助様の前の奥方様との間の娘である輝子を六三郎殿の正室に推挙する様に内蔵助様から言われて此方に来ておりますので、そう簡単に譲りませんよ?」


「これはこれは。拙者も弟であり主君の前田又左衛門の命にて六三郎殿の正室の座を摩阿が手に入れられる様に補佐して来いと言われておりますので」


あ、これは俺の言葉が聞き入れてもらえないパターンじゃないか。俺を仕事に集中させてください。

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― 新着の感想 ―
ラブコメ展開だよ?やったね六三郎!
超優良物件だから仕方無いね、うーむ、どう解決するのか、楽しみですな。
これは、茶々を正室にむかえるしかないなぁ(棒)あとは側室にするか、お帰り願うしかない。きっとお市様が黙ってこのままにはしなあよね、怖いよ〜。
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