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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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落ち着いた母と重要な役目に燃える若武者達

「さて、改めてですが母上。落ち着いてくださいましたか?」


「ええ。取り乱して申し訳ありません。ですが六三郎、勘十郎達を連れて来た意図はなんですか?猿の手助けをした事を許してもらう為なのですか?」


「それもありますが、母上。4人は近江国に住んでいるだけでなく、長浜城近くに住んでおります。筑前殿が出陣する前は丹波国に居て、出陣後は近江国に戻って来たそうですが、今、近江国には殿が居ます


最近では、長浜城に来る頻度が増えております。4人の事が露見したら、殿が浅井家を根絶やしにすると決めている場合、間違いなく殺されてしまいます


そうならない為に、拙者は母上から叱責は勿論、殺される覚悟で4人を連れて来たのです!それに、筑前殿が気づかなかったのか、あえて見逃したのかは分かりませぬ


ですが、これより先は拙者が何か言うよりも勘十郎殿。例の文を母上に見せてくだされ。その方が早いでしょう」


「ははっ!奥方様、こちらを」


「これは?」


「今は亡き備前守様が拙者と雪乃が城から落ち延びる前に書いた文でございます。破らずに読んでいただけたら」


「分かりました」


そう言ってお袋は浅井長政の文を読みだす。しばらくは静かに読んでいたけど、最期の方になったら


「うう、ううう。長政様。この様な思いを託すなら、何故あの時、兄上に下ってくださらなかったのですか」


大泣きしながら文を読んでいた。読み終えて勘十郎さんに返したら


「六三郎。あなたが四人を連れて来たのは長政様の遺志を汲んだからでもあるのですね?」


「はい。勘十郎殿が虎夜叉丸殿を神輿として、北近江を再び浅井家の物とする気持ちがあるのであれば、筑前殿が本願寺との戦の為に出陣している頃に攻撃していたでしょう


ですが、それをしなかったという事は、勘十郎殿も雪乃殿も浅井備前守殿の遺志を汲んで、虎夜叉丸殿を健やかに育てる事を優先したからだと思いますが


勘十郎殿、雪乃殿?お二人はどの様に考えているのですか?」


「今、六三郎殿が言っていた事が我々の考えている事です。虎夜叉丸を健やかに育て、元服させ、嫁を取り、子を持ったならば、亡き備前守様に御恩を返せるのだと」


「奥方様!十年前の戦の時、私も勘十郎様も十五歳と歳若い為に奥方様と備前守様が逃してくれた事を忘れておりませぬ!文の中にもありました様に


備前守様も浅井家再興など望んでおりませぬ!満福丸様を殺した羽柴筑前は確かに憎いです!ですが、その憎しみの為に虎夜叉丸を巻き込んでは、備前守様の遺志に反します!


私も勘十郎様も子達だけでも保護していただきたいのです。六三郎殿と共に働いて、奥方様の存在以上に織田家から信頼厚いお人だからこそ、子達を守ってくださると思ったのです。なので」


雪乃さんがそこまで言うと、お袋は


「二人共、分かりました。六三郎にそこまでの信頼を置いているのですね。ならば六三郎にとやかく言うのは止めておきましょう。


それから勘十郎、此処に六三郎と共に来たのも何かの縁です懐かしい顔に会っていきなさい。利兵衛、吉乃達家族を連れて来なさい」


「ははっ」


利兵衛がお袋に言われて、遠藤家を連れてくる。すると勘十郎さんと雪乃さんは


「喜右衛門殿?では、ないか。もしや」


「勘十郎様。遠藤様の奥方様とお子達ですよ。私達も幼い頃に喜右衛門様に会っているではありませぬか」


喜太郎を親父さんと見間違えていた。そんなに似ているんだと思っていたら、


「勘十郎殿と雪乃ですね。久しぶりです」


「「奥方様」」


「勘十郎殿!雪乃殿!遠藤喜右衛門の倅の喜太郎にございます!十年ぶりにお会い出来て嬉しいかぎりです!ですが、何故越前国に居るのですか?」


やっぱり不思議に思うよねー。説明しないとダメだろうから


「喜太郎。儂から説明するが、吉乃殿。藤乃に聞かせるのはよろしくないから、少し外してくれぬか?」


「はい。さ、藤乃。兄は大事なお話をするので、母と一緒にあちらに行きましょう」


「はい」


吉乃さんか藤乃ちゃんを連れて行ったところで、喜太郎に説明をしましたら


「ううっ。備前守様。その様な事情があったのならば、お二人を優先して落ち延びさせたら良いのに、我々家族の事まで気にかけてくださるとは」


お袋と同じく大泣きしました。何とか落ち着いてもらって


「そういう訳じゃ。喜太郎、儂は10年前の浅井家の最期の戦の事は知らぬから勝手な事は言えぬ。だが、


山県兄妹の父で、武田の赤備えを率いていた山県殿と同じく備前守殿も、我が子を見る事は叶わないが、それでも生きていて欲しいと最期の願いを勘十郎殿に託して、


その勘十郎殿と雪乃殿が儂に託して来たのじゃ。戦に出たのも2回だけで、武士としてはまだまだな儂じゃが、その命懸けの願いに応えてやりたい」


「六三郎様」


「だが、儂はこれからまた近江国に戻って、殿も推し進める北近江の開発に取り掛からないといかん。4人を近江国に置いたままでは殺される可能性も高い


だからこそ儂は母上に4人を託したい。だが、母上だけではダメじゃ。だから喜太郎!儂が越前国を離れている間、源四郎達と共に4人の事を守ってくれぬか?」


「その様な大役を拙者が!」


「喜太郎だけではない。利兵衛、すまぬが源四郎、三郎右衛門、佐兵衛の兄弟を連れて来てくれ」


「ははっ」


で、3人を連れて来て、事情説明をして、


「その様な大役を我々が!勿論お受けいたします!喜太郎殿!領地をお守りする事と同じくらい、重要なお役目じゃ!気合いを入れて行なおうではないか!」


「勿論です!」


任せても大丈夫な様だな。じゃ最期にお袋に確認しよう


「母上。改めて聞いておきたいのですが」


「何ですか?」


「殿に虎夜叉丸殿の事をいつかは伝えたいと思っておりますか?」


「それは、、勿論。北近江でなくとも構いませぬから、小さな領地でも良いから、長政様の様に大名になって欲しいです」


「ならば母上。殿が勘九郎様へ家督相続を行なう時の様な慶事が続く頃を見計らって、殿にそれとなく聞いてみてはどうでしょうか?浅井家が再興する事を


殿がお許しするのであれば、勘十郎殿と雪乃殿に頼まれた拙者としては、殿に説明する役目を務めます」


「六三郎。その時が来ましたら、私も説明に向かいます!あなただけが重い役目を受け持ってはいけません


まだ権六様にも伝えてはいけない事ですね。六三郎、あなたも早く近江国の開発作業を終えて来なさい」


「出来るかぎり善処します」


何とか、話はまとまったかな。良かった。あれ、目の前、が。あ、これ、ダメ、な、やつ、だ


六三郎の意識はここで途切れて、長い眠りについた

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