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やる気有る若武者が来たら訳ありな人も来た

天正十年(1582年)七月二十五日

近江国 長浜城近く


「柴田六三郎殿!日の本初かもしれぬ大々的な土木作業に関わる事が出来る事、感無量にございます!よろしくお願いします!」


「こちらこそ宜しくお願いします」


皆さんおはようございます。朝からとてもテンションの高い同い年くらいの若武者に困惑しております柴田六三郎です


件の若武者なんですが、殿が安土城に戻ると交代する形で来た現場監督的ポジションの丹羽様に聞いたら、まさかの殿の四男の織田源三郎信房おだげんざぶろうのぶふさ様でした


幼名の御坊丸、もしくは前の名前の勝長の名前が多少有名かもしれませんが、史実では岩村城が武田に奪われた時に城主を務めていた殿の叔母さんのつやさんの養子になっていたけど、落城した時に武田に囚われて人質になったと聞いていたのですが


この世界線では、つやさんの元に行く前に岩村城が落城したから人質になる事も無く、かと言って2年前に元服した時点で戦がほとんど無い状況だったので、


殿は源三郎様を色々な家臣の元に行かせて内政を学ばせていたとの事です。その結果、税の徴収以外もやらせようとなって、この現場に派遣されたとの事です


「それでは六三郎殿。現在、どの様な状態でしょうか?」


「源三郎様。今のところ、足場を中で組み立てながら、およそ縦四十尺、横三十尺を掘り進めております。そこで得た情報としては、中は温かいを通り越して熱いとの事なので、目的の物は近いかと」


「おおお!それは期待してしまいますな!拙者も皆と共に土を運ぶ事をやりましょう!中で掘り進めている皆の様な屈強な身体でなくとも、少しくらい働きますぞ」


「無理のない範囲内でお願いします」


と、まあ今までずっとお勉強ばっかりだったからなのか肉体労働に凄いやる気を出しています。ちなみにですが、殿が秀吉の子供に付けた名前ですが、


香那さんが産んだ男児は秀吉の仮名の藤吉郎の二番目の男児だからという事で「藤二丸とうじまる」と名付けて、彩月さんが産んだ女児は彩月さんから一字取って「彩乃さの」と名付けて、秀吉へ文を送っておりました


お袋が言っていた殿の名付けのセンスはめちゃくちゃ!は今のところ出てない様な気もするのですが、


これから後5人、秀吉の子供が産まれてくる予定なので、その子達に殿がシンプルな名付けで満足出来るのか?と少し良からぬ期待をしております


それと工事の進捗に関しては、人力しかないから1ヶ月で縦12メートル横9メートルでも早い方だと思っておりますので、これ以上働かせたらブラック企業になってしまいます


もっとも、殿が織田家から500人も追加で届けてくれましたので、合計870人になりました。これから掘り進めるペースも早くなっていくでしょう


天正十年(1582年)十一月三十日

近江国 長浜城近く


「六三郎殿!遂に!遂に!!」


「六三郎殿!見事に博打に勝ちましたな!」


「六三郎殿!」


皆さんこんにちは。長浜城の側に温泉の可能性を感じて穴を掘り進めて5ヶ月。遂に源泉が出て来て嬉しいのに、大谷吉継、石田三成、そして殿の四男の源三郎様の大喜びに軽くひいております柴田家六三郎です


何とか源泉を掘り当てて、ホッとしております。殿が派遣した500人が加わって掘る早さが上がっていましたが、それでも年を越すと思っておりました


ですが、殿が有能な経営者だと思うのが、織田家からの500人は勿論、最初から働いていた面々にも「年内に終わらせたらボーナス出すぞ!」と発破をかけてやる気を倍増させたのです


そして、秀長さんは秀吉と文のやり取りをしながら長浜城の城下町に色々な店を誘致して、銭と人と物の流通が激しくなりました。その間の九月後半から十月中盤にかけて、秀吉の5人の側室が出産しまして、


男児3人、女児2人が産まれました。秀吉は勿論、殿に名付けをお願いしまして、三男が「猿淡丸さるあわまる」、四男が「近育丸おういくまる」、五男が「江五丸みごまる」の名前に決まって、


次女は「長乃ながの」、三女は「三湖都みこと」と名付けられました。どうやら殿は、家臣の子供には比較的まともな名前をつける様です。


ただ、未来の暴走族的な当て字を好む様ですが、この時代だと普通なのかな?


そんな慶事も挟んで、遂に源泉を掘り当てたので、次にやる事は源泉を汲み上げるポンプ的なものを作る事です。それに関しては、美濃国と三河国で作った歯車付きの物を試しに作ってからになります


天正十年(1582年)十二月二十日

近江国 長浜城近く


「若様!設置する場所はここら辺で宜しいでしょうか?」


「今は仮で良い!壊れない様に置いてくれ!」


「ははっ!」


皆さんこんにちは。源泉を汲み上げる道具の水車を仮設しております柴田六三郎です。先月末に源泉を掘り当てた事を殿に伝えて、殿が働いてくれた皆さんにボーナスを渡したら、


城下町が町をあげてのお祭り状態になりまして、その事を秀吉に伝えたら丹波国を征圧して、丹後国を進軍中だったのに、殿への挨拶と俺へのお礼と我が子達を見る為に戻って来て、翌日には直ぐに戻って。


と忙しくした後に、皆さん年末という事で帳簿を含めた色々な仕事が重なったので、俺と赤備え達と一部の近隣のアルバイトの人達だけで作業をしておりますが、


こんな時はやる事やったらさっさと帰ろうと思っていたら、


「「あの、すみません」」


2人組の声が聞こえたので、振り返ると


「おや。最初の頃から働いてくださった。確か」


浅尾勘十郎義勝あさおかんじゅうろうよしかつです」


「嫁の雪乃ゆきのです」


「勘十郎殿と雪乃殿か。何かありましたかな?」


「はい。無礼を承知でお聞きしたいのですが、あなた様は柴田六三郎様で間違いないでしょうか?」


「そうじゃが?」


「では、柴田様の母君は織田家のお市の方なのですね?」


「そうじゃが。それが何か?」


「柴田様から、いえ、柴田様にしかお伝え出来ない事があります!なので、どうか我々の家に来ていただけないでしょうか?」


そう言いながら浅尾夫婦は平伏して頼み込んで来た


「こ、これ!その様な事をしなくても。儂の家臣も連れて行くか、それても良いか?」


「はい!それで柴田様が来ていただけるならば」


とりあえず浅尾夫婦の家に行く事になったけど、同じ事を数年前に経験した様な気もするなあ

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