皆が来たから調査開始
天正十年(1582年)四月一日
近江国 長浜城
「若様!大和国の復興を終えて、此方で半分の人数を残す様に言われましたが、誰を残すか決まりましたでしょうか?」
皆さんおはようございます。大和国で働いていた赤備え全員が長浜城に到着して安心しております柴田六三郎です
1年前に銀次郎と三四郎と金之助を連れて来たのですが、銀次郎は次姫が離さないので、実質三四郎と金之助の2人だけが護衛だったらので不安だったのですが、いつもの見慣れた顔が居て、とても嬉しく思います
でも、まだ働かないといけない事を伝えないといけないので少し申し訳ない気持ちもありますが、伝えましょう
「皆!大和国で働いてくれた事、誠に感謝しかない!だが、羽柴様たっての頼みで、羽柴様率いる山陰方面軍が戻るまで、長浜城の守備の手伝いを任された!なので、まだ越前国には戻れぬ!済まぬ!」
俺が頭を下げていたら、源太郎が
「若様。我々は若様の元にいてこその赤備えです。そんな頭を下げるなど、お止めくだされ。越前国には大殿の家臣の方々も居ますから、我々の出番は無い可能性を考えると、
こちらの城の守備の様な滅多に出来ない経験ですから、いつも通りに働きましょうぞ」
「そう言ってくれて助かる。それでは、城代の小一郎殿に伝えてくるから」
「六三郎殿」
俺が言い切る前に呼ばれたので、後ろを見ると
「小一郎様からそのまま案内せよと言われておりますので、そのまま大広間へ」
「紀之介殿。忝い」
そう言われたので、全員まとめて大広間へ行きまして
「小一郎殿!この者達が、拙者の家臣の赤備え達でございます」
「おお!何とも見事な体躯の武士達じゃ!六三郎殿、赤備えの皆が揃ったならば、明日から動くのですな?」
「ええ。明日から領内を調べる為に動きましょう。佐吉殿と紀之介殿の2人を案内役にしたら、小一郎殿の仕事量が大変な事になるので、1人だけで構いませぬ
護衛には赤備えの中から数人選びますので。とりあえず今日は、皆を休ませたく」
「うむ。確かに大和国から近江国は比較的近場とはいえ、休みなしは辛いであろうからな。今日は休んでくだされ」
「忝い」
挨拶を済ませて、赤備えの皆に料理を出して美濃国に居た時みたいに騒ぎながら飯を食わせて、爆睡させたら、明日から領内散策です
翌日
「若様!我々準備万端ですぞ!」
皆さんおはようございます。今日から近江国北部に銭を増やせそうな物を探しに行きます柴田六三郎です
源太郎達も準備万端との事で、誰を連れて行くかを決めないといけないのですが、此処はお祝いの言葉も言いたいので、
「護衛は源次郎、新左衛門、庄左衛門!お主達3人じゃ!よろしく頼むぞ」
「ははっ!命に変えても若様の身はお守りします」
「近江国にならず者が居ても切り捨てましょうぞ」
「我々が居るのですから、若様には指一歩触れさせませぬ」
「はっはっは。頼りにしておるぞ!それでは紀之介殿、案内役をお願いいたす」
「ははっ。では、参りましょう、先ずは長浜城から北の村に行ってみましょう」
そう言って出発です。しばらく歩いて、
「源次郎!そう言えば、花は無事に子を産んだか?」
「はい。それはそれはとても可愛らしい娘が産まれました!今は娘の為に豊かな暮らしをさせてやりたいとしか考えておりませぬ!勿論、若様の次にでございます」
「はっはっは!源次郎!無理をせずとも娘が1番でも儂は怒らぬ!羽柴様がお子が産まれて以降、自らの出世を1番に考えなくなったのじゃ。
それと同じ事と考えたら、親になれば皆同じだと納得する。紀之介殿もそう思いませぬか?」
「それは勿論です。以前の殿は、小一郎様ですら近寄り難い空気でしたので、やはり子の誕生は全てを変えてくれるのだと思います」
「拙者の父上曰く「子は親にとっては勿論、周りの者達にとっても宝だからこそ子宝と言うのだ」と言っておりましたので、予定通りあと5人は産まれましたら、子宝が溢れた家になるでしょうな」
「それは良い事です!殿の長生きとお子達、特に長望丸様の成長は羽柴家にとって絶対に欠かせない事ですから」
「確かに。殿も羽柴様は日の本統一後にまだまだ働いてもらうと言っておりましたから、羽柴様は拙者の父上が隠居する歳まで働かされそうですが、父上の場合、
古希になっても前線に居そうですし、病にかかる事もなさそうですから隠居はまだまだ先でしょうな」
「柴田様が古希になった時ですら、六三郎殿は二十代ですからまだまだ若いですな!それを言ったら六三郎殿と同い年の拙者もですが」
「まあ、じっくりと経験を積んでいきましょう。そろそろ、予定地ですかな?」
「そうですな。では、村人に聞いてから探してみましょう」
さて、何か特産品になりそうな物はあるかな?