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待ち人が来たら驚きが!

天正十年(1582年)三月十日

近江国 某所


「再び近江国に来る事が出来るとは。しかも孫六の事を解決出来るとあったが」


「三之丞様。これも若様の働きあっての事です。織田様からの文では、筑前の正室の寧々様が睦月に子を産んだのは若様が身体を鍛えさせたり、食べ物に気を使ったからだと書いていたではありませんか」


声の主は三之丞とかえで。信長が六三郎から頼まれた秘密の文を受け取り、近江国に来ていた


「うむ。織田様からの文を持っていけば大丈夫だと文の中にはあったが」


「心配は分かりますが、織田様からの文の中に「筑前は子が産まれた事で、自らの行ないが間違っていた事を分かった。今ならば大丈夫じゃ!」とありましたし、


長浜城には若様や赤備えの方々が一年以上居るのですから、特になにか起きるとは思えませぬ。


さあ、行きましょう!私達二人だけではないのですから」


「孫六も驚くじゃろうな。まさか弟と妹が出来ているとは思うまい」


三之丞とかえでは、嘉明の弟妹の手を引きながら長浜城へ向かっていた。そして、長浜城へ到着すると城内へ通される


皆さんこんにちは。今日は俺の家臣の岸夫婦が秀吉との話し合いの為に長浜城へ来たのですが、一時待機の部屋で会いまして、そこで驚かされました。何故かと言いますと


「若様!我々夫婦の願いを叶えていただき、誠に!誠に!!有り難き幸せにございます!」


「召し抱えていただたいて四年で、孫六と出会えるなんて、本当に、本当に」


「二人共、儂以上に羽柴様が以前の、いや、以前以上のお人になられたから殿も二人と羽柴様が話し合いをしても大丈夫だと判断したのだろう。そうなったのも羽柴様にお子が産まれたからじゃ。


羽柴様は間違いなく子を奪われる辛さを考えた結果、孫六殿に頭を下げておった。だからこそ、羽柴様を糾弾する様な言葉を言わないでくれ。頼むぞ」


「はい。若様のお話を聞いたら、誠に筑前が変わったのだと思います。なので楽しみです」


「うむ。そう言ってもらえて助かる。それと、気になっていたのじゃが、二人の側で寝ている幼子達は」


「はい。孫六の弟と妹です」


「やはりか。いや誠にめでたい事じゃ。孫六殿には会わせたのか?」


「いえ。孫六には話し合いの場で会わせて驚かせたいと思いまして」


「そうか。一応、羽柴様と小一郎殿には子連れで出る事を伝えておくから、準備しておいてくれ」


「「ははっ」」


で、先ず秀吉にこの事を伝えようと向かったら、


「おお!長望丸!今日も元気に動いておるな!」


「キャッキャッ!」


「おお。おお!父の言葉が分かるのか」


「ダァダァ」


「うむうむ。賢く愛いのう長望丸は。しっかりと育つのじゃ!」


親バカ全開で長望丸くんの相手をしていました。甘やかしていたら勿論、


「お前様。甘やかしてはならないとキツく言っておりましたのに、早速甘やかしているではありませぬか」


寧々さんに怒られています。更に、


「殿。長望丸様が可愛いのは分かりますが、今の時期でその様な状態だと、私の産んだ娘の「吉姫よしひめ」が同じ時期になる時に出陣出来なくなりますよ?」


「うう!吉の成長を見たいのに、これから出陣とは。何とか殿にお頼みして」


「「なりませぬ!殿から一年以上も出陣を遅らせてもらったのですから、お役目に励む為に出陣してください」」


寧々さんと側室の南三さんが同じタイミングの、同じ言葉で秀吉を注意しております。やっぱり女の人は子供を産むと旦那の尻を叩く事に躊躇しなくなるな


で、何とか部屋の中が落ち着いた様なので、


「羽柴様。よろしいでしょうか?」


「おお!六三郎殿か。入ってくれ。三之丞とかえでの事じゃな?」


嫁の尻に敷かれて親バカだけど、仕事に関してはしっかりしてるな。流石だよ。じゃあ、改めて


「はい。孫六殿の件で話し合いを」


「うむ!我が子が出来た今、二人にはどれだけ頭を下げても下げ足りぬ!じゃが、頭を下げるくらいしか出来ぬから、しっかりと頭を下げようではないか」


「その事で羽柴様。実は二人は、拙者が召し抱えた後に男児と女児が産まれまして、孫六殿はその事を知らないので、二人が驚かせてやりたいとの事です。


折を見て、孫六殿を話し合いの場に呼んでいただけたらと思いまして」


「はっはっは!何と!三之丞とかえでにも新たな子が出来たか!これはめでたい事じゃな!それを孫六に知らせる為に一工夫をするとは、良かろう!二人の要望を聞こうではないか!」


「忝のうございます!それでは二人にその旨を話して、大広間に連れて行きます!羽柴様は、若君と姫君のお世話が忙しそうなので、小一郎殿の部屋へ向かいます」


「六三郎殿。藤吉郎様は、甘やかしているだけだから忙しくないですよ!」


「ね、寧々」


「そうです。可愛がってくれるのは嬉しいですが、待たせておくのは駄目ですよ」


「ううっ。分かった。しっかりと対応して、二人に納得してもらおう!六三郎殿、先に行ってくれ」


「ははっ」


秀吉の部屋を出た後に、秀長さんの部屋へ行って、同じ事を説明して納得してもらったら、


「三之丞!かえで!大広間へ行くぞ。子達を抱えて来て良いとの事じゃ」


「「若様!ありがとうございます」」


それでは大広間に行きます。しかし、秀吉の顔が憑き物が落ちた様にスッキリしているのを見たら、二人共驚くだろうな。

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