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姫様は激レアな武士がお好き

天正十年(1582年)一月二十二日

近江国 長浜城


「六三郎殿!この場合の裁定は、どの様に行えば良いですか?」


「六三郎殿!領民達が宇治丸の料理方法を教えて欲しいとの事ですが」


「六三郎殿!寧々様のお食事と南三様のお食事は、分けた方がよろしいのかと料理人達が」


「六三郎殿!」


「六三郎殿!」


皆さんおはようございます。殿が安土城に帰ってから1週間が過ぎたら、手伝う仕事量が増えて疲労が溜まっております柴田六三郎です


秀吉の養子としていた於次様が、本当は次姫様だった事実に驚きまして、わざと男装をしていた理由は納得なんですが


「六三郎殿!何か美味い物を食べたい!作ってくだされ!」


その次姫様、養子として暮らしていた7年間で、かなりのワガママ姫に育った様で、秀吉から


「六三郎殿。次姫様に振り回されている事、誠に済まぬ」


と平謝りされました。秀吉からも、


「幼い頃に殿の元を離れた上に、男装をさせていた事もあって、儂も寧々も強く言えなかった。そのせいで、あの様に育ってしまったのじゃ。だが、儂もどうしたら良いかも分からぬ


六三郎殿。もしも、次姫様を嫁にしたら間違いなく、お市様とぶつかる可能性が高い。殿は大丈夫だろうと、仰っていたが、正直言って」


と不安な言葉が出てました。まあ、俺も同じ意見です。それに、次姫様のあのキャラは妹なんだよね。


あと、仮とはいえ俺の正室候補は家康の娘の於古都ちゃんが居るから、これを無かった事にしたら、


織田家と徳川家の関係にヒビが!なんて可能性も、宝くじの一等が当たるくらいの割合で有ると思うので、


於古都ちゃんを捨てて、次姫様を正室に。なんて出来ません!俺が提案するのは違うと思うけど、


水野様の松千代君か、丹羽様の鍋丸君の嫁にした方が良いと思うんだけどなあ。歳も近いし


とりあえず、頭の中がごちゃごちゃしているので、部屋に戻って休もうと廊下を歩いていたら、


「六三郎殿。六三郎殿」


と、小声で呼ばれたので、周囲を見ると秀長さんが


「六三郎殿。こちらへ」


と、手招きしているので行ってみると、


「六三郎殿。次姫様の件、もしかしたら解決するかもしれませぬぞ?」


と言って来たので、詳しく聞いてみよう


「小一郎殿。どう言う事ですか?」


「六三郎殿。あちらを見てください」


秀長さんが指差した先を見ると、中庭の角で、銀次郎が筋トレをしていた。それだけならいつもの光景だけど、銀次郎の後ろにある木に隠れて、次姫様が見ているんです


それも、恋する乙女な顔で!!これは多少無理をしてでも、次姫様が銀次郎の嫁になる様に動こう!


そうでないと、俺の胃が限界を迎えてしまう!そうと決まれば、秀吉に話をしよう!


秀長さんもそれを言わずとも分かった様で、


「兄上!次姫様の件が解決するかもしれませぬ!」


「誠か?どの様に解決出来るのじゃ?六三郎殿、小一郎」


秀吉に説明すると、


「それは可能なのかのう?言ってはなんじゃが、六三郎殿の家臣という事は、陪臣であろう?殿が次姫様を陪臣の嫁にするとは思えぬのじゃが」


「羽柴様。殿は次姫様に対して、色々我慢させた負い目もあってかなり甘いです。なので、そこを突くのです。それこそ、今から殿が徳川様の様に同盟関係を結びたいと思う家があったら、


次姫様を先日の時点で連れて帰ると思いますが、そうではなく、長浜城に置いていったと言う事は、次姫様のやりたい様にやらせていると思うのです」


「ううむ。確かに、六三郎殿の言っている事も納得出来る!だが、やはり。何とも難しい!」


「羽柴様。先ずは、二人だけで話をさせてみても」


俺が提案していると、


「三四郎!金之助!助けてくれ!」


基本的に弱音を吐かない銀次郎が助けを求めて来た。何か面白、じゃなく嫌な予感がしたので行ってみると


「見事なお身体ですね!鍛え上げられたそのお身体、惚れ惚れします。少し触らせていただいてもよろしいですか?」


「い、いや。あの、何処のお家の姫君か分かりませぬが、嫁入り前に見知らぬ男の身体を触るのは、はしたないと言われますぞ。なので」


「それならば貴方様が私を嫁にもらえば、解決しますね。それでは、嫁になる事前提で、そのお身体を触りますよ」


予想通り銀次郎が次姫様に迫られていた。呼ばれた三四郎も金之助も、助けないで見ていた。まあ、次姫様の着物の襟首捕まえたりするわけにも行かないからな


しかし、推定で身長180センチ超えの銀次郎が、150センチ前半くらいの次姫様に迫られて慌てているのは、何か面白いな


仕方ない。そろそろ止めるか


「銀次郎!何をそんなに慌てておる?」


「わ、若様!此方の姫君が」


俺と銀次郎のやり取りに次姫様が、


「六三郎殿!このお方は、銀次郎様というのですね?そして、六三郎殿を若様と呼ぶのは家臣で間違いないのですね?ならば私、銀次郎様の嫁になります!」


うん。次姫様、流石殿の子供だよ。行動力が半端ない。好みのタイプである、この時代では激レアな高身長イケメンマッチョの銀次郎をゲットする為にここまでやるとは。


でも、これは殿が了承したら案外早く解決するかも?このまま進む様に祈ろう。

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― 新着の感想 ―
側室二人目ならず、まあ、これはこれでヨシッ!
いっそのこと秀吉の養女のままで嫁ぐ形にすれば良いのでは? どこの家からと言えば継母は五月蝿くとも、血統を知れば収まるでしょう。
よかったな、姫の好みが特殊で
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