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出産と安産祈願は長時間

安産祈願の為、神棚のある部屋に到着すると、


「日吉!小竹!遅いじゃないか!寧々が命がけで頑張っているのに、何処をほっつき歩いてたんだい!」


なかさんが既に安産祈願をやっていた。秀吉と秀長さんは、なかさんの圧に押されていたけど、殿が


「母君。儂が来たから、二人は色々対応してくれていたのじゃ。済まぬ。二人を責めないでやってくれ」


「殿」


殿がそう言ったら、


「お、織田様?失礼な物言い申し訳ありませぬ!」


と、平伏して謝っていた。でも、殿は


「母君。気にせずとも良い!儂も連れの者達と共に、寧々の安産祈願に来たのじゃ!共に行なおうではないか!」


そう話しながら、神棚の斜め前に座った。それに気づいた秀吉は、


「殿。中央へ行ってくだされ」


「たわけ!寧々の出産なのじゃ!お主が中央に居て、安産祈願するから意味が有るではないか!中央に来い!」


殿に言われて、中央で正座しながら安産祈願を始めた。そこから誰も話さずに、無言の安産祈願を行なう時間になったのですが、


お袋の時より長くなると予想していたのですが、殿が長浜城に到着したのが、推定で昼1時頃、秀長さんより、寧々さんが産気づいた報告を受けて、安産祈願を開始したのが推定昼3時頃なのですが


そこから7時間を超えて尚、赤ちゃんの産声は聞こえてきません。寧々さんがいきんでいる声は聞こえているから寧々さんの身体は大丈夫だと思うのですが、


1月の中旬なので、夜はかなり冷えて来ました。しかし、誰も寒いなんて言わずに安産祈願を続けております。そして、ふと周りを見たら羽柴家家臣の皆さんが、全員安産祈願をしておりました


夜も更けて、日付も変わっているんですが、誰も動きません。そんな状況で安産祈願を続けていたら、遂に、日が昇り始めました。


推定で朝6時頃でしょうか。完全に夜が明けて、鶏の鳴き声が聞こえて来た時、


オギャア!オギャア!オギャア!


産声が聞こえました。産声を聞いた秀吉は


「産ま、産まれ、た。子が、儂の、子が。産まれたのじゃあ!!」


と、大喜びと大泣きで動けずに居ましたが、殿から


「藤吉郎!早く寧々の元に行って、感謝を伝えて労ってやれ!そして、我が子に会って来い!」


と促されて、立ち上がって部屋を出て行くと、


「寧々!寧々!!」


と叫びながら、寧々さんと赤ちゃんの所へ走って行った。なかさんと秀長さんも、秀吉に続いて寧々さんと赤ちゃんの所へ行ったので、殿達と俺が部屋に残っていたので、


「殿。何か腹に入れますか?」


「いや、儂よりも寧々に食える物を作ってやれ!半日以上も出産に費やしたのだから、疲労困憊のはずじゃ


六三郎も疲れていると思うが、もう少しだけ頑張ってくれ。それから、儂から全員におめでとうと伝えてくれ」


「ははっ!」


殿に聞いたら、「自分よりも寧々さんに食わしてやれ!」と言われたので、台所に行って簡単に食える物として、蒸した雉肉の味噌漬けを中に入れたおにぎりと、


根菜類と刻んだ生姜を混ぜて作ったおにぎりと味噌汁を料理人の皆さんと作って、持って行ったら


「寧々!!誠に、誠に、誠に!儂の子を産んでくれて、ありがとう!今日ほど生きていて良かったと思う日は無い!本当に!本当に!うううう!」


「藤吉郎様!泣いて喜んでくれるのは嬉しいですが、ほら!子を抱いてください。待ち望んだ男児です!嫡男ですから!」


「ううう。儂が子を抱ける日が来るとは!これが、儂の子の重さ。これが、これが」


と、言葉にならない喜びに溢れておりました。声をかけるのが申し訳なかったのですが、秀長さんが俺に気づいてくれて、


「六三郎殿。もしや義姉上の食事を作ってくださったのですか?」


「はい。殿より「半日以上も頑張った寧々様に先に飯を食わせろ!自分は後からでも良い」と仰っておりましたので。それから、おめでとうと仰っておりました」


俺から殿の伝言を聞いた秀吉は、


「うう?!殿!殿!!共に安産祈願を行なってくださっただけでなく、その様な有り難い御言葉を!うう!」


もう言葉がほとんど出ない状態になったので秀長さんが、


「兄上。先ずは義姉上に食事をしてもらいましょう」


仕切ってくれたので。秀長さんに御膳を渡して、やっと寧々さんが食事を始めます


「ふふっ。今日の握り飯は。人生で一番美味しいですね。これから、この子を育てていくのですから、藤吉郎様!先に言っておきますが、甘やかして我儘な子にしてはいけませんよ?」


「そ、それは。気をつけるとしか」


「やっぱり!良いですか藤吉郎様?我が子が可愛い事は、私も同じです!ですが、嫡男なのですから、甘やかしてばかりたと、元服した時に周りから色々と言われるのですよ!それを」


「分かった!分かったから!今はとりあえず、飯を食べて休もう。な?」


うん。やっぱり子を産んだ瞬間から。女は母に変身するんだな。今までは秀吉を支えながら、控えめだったのに、


一気に強くなったから、これから秀吉は寧々さんの尻に敷かれるんだろうな


俺がどうこう言えないけど、とりあえず出産お疲れ様です。そして、皆さんおめでとうございます。

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