子作りの秘訣?
今から、勘九郎様が希望したウナギ料理を作るのですが、うん。冬のウナギはやっぱり脂かのってて太い!
7人分作るのは問題ないのですが、お馴染みの岐阜城の料理人の皆さんにも覚えてもらわないといけないので、じっくりと見てもらいましょうか
「さて、皆様!今から宇治丸を捌きます。ぶつ切り以外では、拙者の様な、ただの料理好きでも出来るやり方ですので、しっかりと覚えてくだされ」
「「「「お願いします」」」
うん。皆さん、俺が過去に作った料理を覚えた結果、殿からの無茶振りで鍛えられているのめ、油断が一切無いな
「先ず、頭を針の様な物で固定し、背中から開きます。そして、骨を身から外すのですが、この時外した骨は捨てずに残してくだされ
そして、開いた身を食べやすい大きさに切り分けて、一度、蒸籠で蒸している間に、先程残しておいた骨を炙って、炙った骨を水を入れた鍋に生姜と塩を一緒に入れたら、
弱火でじっくりと沸騰させまして、蒸した宇治丸を確認しまして、大丈夫な様ですので取り出しまして
取り出した身を竈門の口の上に置いた網の上で、じっくりとひっくり返しながら焼きますと、白焼きの完成です。先ずはそのまま食べてみて、その後に塩をつけて食べてみてくだされ」
試食のウナギの白焼きを出してみたら、
「これが、あの宇治丸とは信じられぬ」
「しっかり蒸して焼いたら、生臭さが無いとは!」
「柴田様、いただきます」
1人の料理人が白焼きを食べてみた。すると、
「こ、これは美味い!味は勿論じゃが、あの嫌な食感が無い!ふわりとした食感だが、食べ応えも素晴らしい!塩をつけると、更に美味い!」
「わ、儂も食いたい」
と、皆さん一斉に試食に手を伸ばして食べると
「これが宇治丸と思えぬ美味さじゃ!」
「これは、野生の宇治丸が乱獲されるのも分かる」
皆さん、白焼きの美味さで驚いていたら蒲焼きの美味さで更に驚きますよ?
で、そこからウナギの捌き方と蒸し方は一緒なんですが、そこから蒲焼きのタレを作る為に、ウナギの骨から取った出汁と味噌と擦りおろした生姜を合わせまして、トロみがついたらタレの完成です
で、それを網の上で焼かれているウナギにかけましたら、
「ジュ〜」と焼ける音と香ばしい香りが台所内に充満して来ましたら、
「こ、この香りは」
「何と食欲を攻撃する香りか!」
料理人の皆さん、我慢出来ない状態になった様で、試食品の蒲焼きを出すと、直ぐに手を出して
「先程の宇治丸とは違う美味さじゃあ!」
「これは、酒の肴にもなる!」
好評な様で、その後はう巻きとお吸物を試食させて、まあ大丈夫だと思いますので、7人の元へお膳に乗せて持っていきまして
「これが父上や徳川様が言っていた宇治丸料理か。六三郎!これはどの様な順序で食べたら良い?」
「特に決められた順序は無いのですが、白い宇治丸から食べ始めて、汁のかかっている宇治丸、鳥の卵で巻いてある宇治丸、最期にお吸物で食べたら、口の中がくどくならないかと」
「うむ。その様に食べてみよう」
と言いながら白焼きから食べ始めた勘九郎様は
「これは美味い!宇治丸の嫌な生臭さが無く、ふわりと柔らかいのにも関わらず、歯応えもある。次は汁のかかっておる物を」
蒲焼きを食べたら
「こ、こ、これは!美味い!口で説明するよりも、皆が食べて判断してくれ!食べよ!」
と言う事で、全員で食事開始です
「何じゃこりゃあ!とてつもなく美味い!」
「これは、米を食い尽くしてしまう!」
「宇治丸がこれ程の美味な料理になるとは」
「水の生き物にこれ程の脂がのっていて、更に美味とは」
「流石、六三郎殿ですね。美濃屋で働いていた時も、その料理の腕で、繁盛させていましたからね」
「宇治丸でこれ程の美味い料理が有るとは!信じられぬ」
皆さん、色々な感想を言ってくれましたが、美味しい事は共通している様です。で、全員食べ終えた後で、
「そうじゃ。六三郎!権六は出陣しておるから病気などしておらぬじゃろうが、叔母上殿はどうじゃ?権六と再婚してからは、とても健康的な生活を送っていると聞いておるが」
「勘九郎様。母上も父上も健康的な生活を送った結果、一昨年に弟を設けました」
俺の言葉に勘九郎様は驚いた様で
「ちょ、ちょっと待て六三郎!今の話は誠か?」
「はい。今年で3歳になる弟が居ます。幼名は京六郎と言います」
「勘九郎様。六三郎殿の新しい母君が子を産んだ事は、そんなに驚く事なのですか?」
「松。六三郎の新しい母は、父上の妹である。年齢は儂の十歳上のお人じゃ」
「つまり、三十三歳で子を産んだのですよね。体力的に大丈夫なら」
「松。叔母上殿は大丈夫かもしれぬが、儂が驚いたのは六三郎の父の権六の年齢じゃ。権六は、六三郎の弟が産まれた時、五十九歳だったのじゃ」
「そ、それは誠ですか!勘九郎様、六三郎殿!?」
うん。やっぱり驚くよね。還暦手前の人が子作り出来るんだから
「父上も徳川様も、最近新しい子が産まれたと聞いておったが、権六の影響なのだろうな。だが、権六は五十五歳を超えてから、子を二人も設けたのじゃ
儂も、儂達もまだまだ頑張らないといかんのう松。どうじゃ、今夜あたり」
「もう勘九郎様。皆が居る前で、その様なお話は恥ずかしいです」
うん。イケメンと美女が目の前でイチャつくのは、何歳になっても胃にダメージがデカい。俺がそんな事を思っていると
「六三郎殿!」
清正から呼ばれたので振り向くと、平伏していた
「ちょ、ちょっと虎之助殿?」
「六三郎殿!お父上の柴田様か還暦手前でも子が出来る秘訣を、殿に、藤吉郎様に教えていただけませぬか!?何卒!」
「こ、これ虎之助」
「市兵衛!お主も、いや、皆も分かっているばずじゃ!藤吉郎様にお子が産まれたならば、以前の様な明るいお方に戻ってくださるはずじゃと!」
「そ、それはそうじゃが。しかし、柴田様本人ではなく六三郎殿に聞いても」
「いや、市兵衛。虎之助の言う通りじゃ。殿の子が出来るきっかけになるならば、六三郎殿から柴田様の暮らし振りを聞いて、
それを殿に伝えて、暮らし振りを変えて子が出来るならば、一縷の望みだとしても、賭けに出るべきだと儂は思う」
「佐吉、お主」
「儂の事はよい!それよりも、六三郎殿!柴田様の平時の暮らし振りを教えていただけますか?」
三成は改めて平伏して頼んで来た。で、他の4人も平伏しているけど、勘九郎様から
「六三郎。五人に権六の暮らし振りを教えてやってくれ!これで藤吉郎に子が出来たなら、不穏な空気も無くなるはずじゃ。頼む」
勘九郎様まで頭を下げて来たんだけど、親父と秀吉の違いって何だ?
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