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出張開始前に

天正九年(1581年)一月二十日

近江国 安土城


「六三郎。出立の途中で寄るとは、珍しいな!何かあったか?」


皆さんおはようございます。出張の前に殿と勘九郎様にお袋の事で相談したいと思って、先ずは殿の安土城に来ております柴田六三郎です


お袋の考えが「秀吉じゃなくて秀長さんを羽柴家当主にしろ。あんな猿野郎、織田家中から追放してしまえ!」とかなりの過激な内容なので、


俺1人では勿論、親父に言っても何ともならないので、出張へ行く前の挨拶も兼ねております


「はい。実は」


俺はお袋と話した内容を殿に話す。すると、


「ふむ。市が殺意に近い嫌悪感を示すのも分かる、しかし六三郎が権六に言えぬ心情も理解出来る


それで六三郎!お主としては、どの様な行動を起こせば、事が出来るかぎり丸く収まると思うのじゃ?」


「拙者としては、少々無理矢理になりますが、小一郎殿を勘九郎様の元に呼び出して、筑前殿を抑えられる人が居なくなって、


暴挙をあえて起こす様に仕向けるのも、ひとつの手かと。それに、これは言いたくありませぬが」


「何じゃ?申してみよ」


「いつか、殿が勘九郎様へ家督を譲る時に、殿の代の家臣が幅を聞かせてしまうと、武田と同じ様になってしまう可能性があると思いますので」


「はっはっは。儂にさっさと家督を譲って隠居せよと遠回しに言っておるのか?」


「いえ、そういうわけでは」


「安心せい。言いたい事は分かる。織田家当主が勘九郎になった時に、勘九郎より戦でも内政でも経験豊富な者が居たら勘九郎の言葉が軽くなると言いたいのであろう?」


「はい」


「ふむ。だがな、猿は権六にも隠しておる事がある。六三郎!虎之助達四人を連れて来い!お蘭、お主は佐吉を連れて来い!」


「「ははっ!」」


で、俺が4人を、蘭丸くんが三成を連れて来まして、


「さて!お主達の主君である羽柴筑前の事で確認したい事がある。筑前は自身の後継者を具体的に明言しておるか?」


「「「「いえ!」」」」


「甥であり養子にしております治兵衛殿ではないのですか?」


「やはり。あ奴は話しておらぬか。ならば、この場でお主達に伝えておくが、筑前は儂の子の於次おつぎを養子として育てておる。それに関して、筑前はお主達に説明しておらぬのか!?」


「「「「ええっ!?」」」」


「内府様!それは誠ですか?」


「その反応を見るに、筑前はお主達にも本心を見せておらぬ様じゃな」


いや殿?俺も驚きなんですが!じゃあ治兵衛殿を養子にしたのは完全に他所に行かせる人質としてじゃないか!これ、智と弥助が知ったら秀吉と差し違えても殺しに行くだろ!


これは俺ですら不信感が出るのに、三成達5人からしたら内心ぐちゃぐちゃだろ。俺と同じ考えだったのか三成が


「内府様!殿は、内府様に対して治兵衛殿の事はどの様に伝えていたのですか?我々は、殿から「於次様の事は、一時的に保護しておるが、いつか殿へお返しする。後継者は治兵衛のつもりだ」と聞かされておりました


ですが、内府様のお話から察するに、殿は最初から於次様を後継者として育て、治兵衛殿は宮部様への人質として差し出すつもりだったから姉家族から奪ったとしか思えませぬ」


「儂も筑前から甥を養子にした。としか伝えられておらなかったが、お主達には於次が養子ではないと伝えられていたのか。しかも、儂の姪を側室にしようと考えるだけならば儂も煩く言わぬが、


そのやり方が自身の後継者の一人である治兵衛から奪うつもりとは、些か、いや大分調子に乗っておるな


これは、働きで帳消しにさせようではないか。くっくっく。六三郎!そして、佐吉達よ、良い話を聞かせてくれあ。筑前への処遇はどうにかすると約束しよう!


そして、五人は六三郎や赤備え達と共に、大和国の東部を復興させて来い!」


あれ?殿、伊賀国の南部も出張エリアだと聞いていますが?


「あの、殿?伊賀国の南部も復興の役目の地域だと聞いておりますが」


「伊賀国の南部は、三七達伊勢国の者達は勿論、伊賀国の城戸家も協力して復興に尽力しておる。


その結果、土地の三分の一くらいは復興が完了しておる。だからこそ、大和国の東部に注力して来い。だが、その前に勘九郎の居る岐阜城に行って来い!佐吉、先にお主に言っておくが、


岐阜城内で見た事は一切、他言無用じゃ!この命令を守れるのならば、大和国の復興を終えた後、お主は筑前の元へ帰す事を約束しよう」


「「ははっ!」」


これは案外早く出張が終わるかもしれないな。でも、殿が秀吉にさせる働きって何だろ?

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