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安土城に着いたら急展開

天正八年(1580年)十二月十日

近江国 安土城


「さて、三七よ!店で働いておった六三郎達も連れて来た様じゃな。それでは、本題の伊勢国の統治者を決める争いの結果の確認と行く」


皆さんおはようございます。三七様に連れられて、安土城に来ております柴田六三郎です。何故か殿に呼ばれて、その理由も分からず大広間で待機しておりますが


アホボン達の姿が見えません。あれか?ギリギリの出のタイミングを狙っているのか?それとも、別の理由か?


まあ、三七様の神戸家が勝ちさえすれば、何でも良いです。ただ、そんな俺の願望をぶち壊す斜め上の展開が殿から発表されました


「と、言いたい所だが、三介の阿呆め!武力を使うなとキツく言っておったのに、戦を起こしよった!


しかもじゃ!攻め込んだ先は、伊賀国の南部と大和国の東部しゃ!!三介の愚行のせいで、双方から抗議の文が来ておる!ええい、忌々しい!」


マジで?あのアホボン、天正伊賀の乱よりも広い範囲で戦を起こすとか、マジのアホじゃないか!


でも、何故この時期に戦を起こしたんだ?まさか、三七様との差を埋めようとしたからなのか?俺がそんな事を考えていると、殿にはバレていた様で


「六三郎!お主の事じゃから、三介が何故、戦を起こしたのか?と考えていると思うが、お主の考えを言ってみよ!恐らく当たっていると思うぞ!」


何か指名されたので、答えますけど


「恐らく、三七様との差を埋めようと無理をしたのでは?」


「その通りじゃ!全く、三七達と同じ伊賀国の者からの協力を得ようと思ったのだろうが、三介の阿呆は六三郎と違い、武力を使って交渉したが、


その様な交渉が上手く行くわけも無いのに、協力しないからと戦を起こし、伊賀国だけでは飽き足らず、大和国まで進軍して、無駄に戦線を広げた結果、伊賀国と大和国の国境は混乱状態じゃ!」


うわあ、ドン引きレベルのアホじゃないか!でも、その戦、どうやって終わらせたんだ?


「殿、その戦はどの様に終わらせたのですか?」


「五郎左を儂の名代として、三介の元に行かせてから無理矢理止めた。あの阿呆を捕獲して、大和国の者達と伊賀国の者達、双方に頭を下げたが


それで終わりになる訳も無い!双方から土地やら城やらの修繕費用を求められておる。これは支払うしかないし、納得出来る。双方共に織田家が相手ではなく、


織田家家臣の北畠家が独断でやった事として、矛を納めてくれた。本来ならば三介は斬首か切腹の沙汰を下したいが、とりあえず尾張国の三十郎の元で謹慎させておる」


「では、父上。その戦の件は一応終わりだと考えてよろしいのですか?」


「それがそうもいかん!双方共、何処から情報を掴んだのか分からぬが、三七に協力しておる伊賀国の東部を治めておる城戸家の財政が潤っている理由が、


三七達が茶の苗木を渡したからだと知っておるから、自分達にも同じく茶の苗木か、銭の種になる別の物を寄越せ!と言って来たのじゃ!


それだけならば、儂が頭を下げて茶の苗木を多数育てておる三七の与力の関家に頼めば良い。だが、奴らは三介の首を要求しない代わりに、領地の作物の収穫量を増やした者を貸せ!と言って来た!」


ちょっと待ってください!それは明らかにアレだと感じるのですが?


※六三郎が感じているものはフラグです


「父上、それはつまり」


「そうじゃ!戦の責任を三介に負わせない代わりに、領地に銭を寄越せ!更には銭の種になる物も寄越せと言っておるのじゃ!そして、話を聞いていて、既に分かっておると思うが六三郎!


お主も伊賀国南部と大和国東部に行って、それぞれの土地の収穫量と銭を増やして来い!」


やっぱりじゃねーか!あのアホボン、要らん事しやがって!これで、本能寺の変が起きたらどうするんだよ!あ、でも待てよ?万が一、本能寺の変が起きたら


伊賀国か大和国に居たら、距離的に京都に近いから、赤備え全員と周りの協力が有れば、実行犯を討ち取る事が出来るかも?


万が一が起きるかもしれないから、殿に頼もう!そうしよう!それくらいのワガママは言っても許されるだろ!


「殿。かしこまりました。ですが、幾つかお許しいただきたい事が」


「何じゃ?申してみよ」


「その2つの地域に行く際、拙者の家臣のうち、赤備え全員を連れて行く事と、拙者と赤備え全員が寝泊まり出来る屋敷が欲しいのです」


「うむ。それくらいは、双方共に飲むであろう。それが許可を得ておきたい事か?」


「はい」


「うむ。では、話をまとめるが、先ず伊勢国の統治者は三七、お主の神戸家に決まった。近いうちに朝廷を通じてお主が伊勢守の官位を手に出来る様にしておく


そして、一年限定だった洛中の神戸家じゃが、来年以降も店を開けて銭を稼げ。三七、お主の家臣の若者達の身体を徹底的に鍛えさせておけ


あと、見目麗しい者も男女問わず揃えておく事と、料理の腕が良い者もじゃ」


「ははっ」


「そして六三郎!お主は伊賀国の南部と大和国の東部を復興させると同時に、その土地の銭を増やして来い」


「ははっ」


チクショー!また出張じゃねーか!俺、絶対に平成令和の社畜の人よりも働かされてるだろ。

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― 新着の感想 ―
信長って身内には、甘すぎるんですよね、三介もこれだけの愚行したなら切腹もやむ無しなんですけど仕方無いかな、そこか信長の欠点であり美点でもあるので。
信長の身内に甘い裁定が後々の禍根になるのに・・・この多面性が魅力の一つではあるけど やはり信雄は早い退場を願いたいですね。
社畜の神様(笑)
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