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裏の部分を知らないからこその行動

この作品はフィクションです。なので、史実や現実と違う描写や表現が出て来ますがご理解ください。

源太郎達は三成達を捕獲した後、一旦全員を村井の居る京都奉行所に渡した。そこから取り調べを行ない、


三成以外の面々は羽柴家家臣ではなく、三成に金で雇われたゴロツキだったと判明したが、これといった被害も出ていない為、


京からの追放と1年間の出入禁止というお茶を濁す裁定が下された。だが三成に関しては、村井も頭を悩ませた。三成が秀吉の家臣でもある以上、他家の者を勝手に処断出来ないので、


この件を、建築途中の安土城に居る信長に文で伝えた。数日後に届いた信長からの文には


「一度、六三郎と話をさせてみろ!石田という者が不服を言うのであれば、この文を見せて黙らせろ!その後、儂が一時的に身柄を預かる」


という、何とも言えない指示だった。しかし、村井としては余計な仕事を抱えないで済むので、喜んで六三郎の居る伊勢家に三成を連れて来た


それが捕獲されてから10日後の事だった


天正八年(1580年)九月二十五日

山城国 洛中


「そう言う事なので、六三郎殿。よろしく頼む」


「殿がどの様なお考えか分かりませぬが、出来る限りやってみたいと思います」


「うむ。任せたぞ」


皆さんこんばんは。伊勢家の営業終了後に京都奉行の村井様が、殿からの書状付きで虎之助達の追手のリーダーを俺に引き渡したのですが、そのリーダーが


石田三成だった事に驚いております、柴田六三郎です。秀吉への忠誠心は勿論ですが、秀吉亡き後、天下が家康の物になると分かっていても、一か八かの

博打で関ヶ原の戦いに挑んだ凄い男だけど、


史実ではコイツが賤ヶ岳の戦いで一番槍とか諜報活動をした結果、親父の軍勢へのダメージが積み重なっていったんだよな


でも、俺が石田三成と何を話すんだ?とりあえず簡単な自己紹介でもしておくか


「睨みあっても前に進まぬから、先ずは自己紹介をしていただけますかな?」


「•••」


コイツ、一切喋ろうとしないな。俺と同じ事を思っていた虎之助が


「佐吉!貴様、何も喋らないつもりか?それとも、自らの名を名乗る事も出来ぬ阿呆になったか?」


大声で馬鹿にすると、イラッと来たのか


「阿呆はお主達じゃ!今まで殿に世話になっておきながら、いきなり出奔するなど!お主達の殿への忠誠心はその程度だったのか!?


それに!そこの歳若い貴様!虎之助達をどの様に出奔を決意させた!?金や女で釣ったのか?答えよ!」


うん、歴史ドラマや小説では最期まで諦めなかったけど、武運拙く敗れた悲運の武将扱いだったけど、


現状、只の口の悪い、思った事を直ぐ口にする現実に居たら、言葉をオブラートに包む事の出来ない阿呆か、自分は何を言っても許されると思っている面倒くさい人認定される奴だな


コイツから話さないなら、俺から話すか


「そちらが名を名乗ってくれぬのならば、儂から名乗ろう。儂の名は柴田六三郎長勝。羽柴筑前殿と同じ織田家家臣で、鬼柴田とも呼ばれておる、柴田越前守の嫡男じゃ」


俺の自己紹介に三成の目が変わる。すると、


「ま、誠に?あの鬼柴田と呼ばれる柴田様の嫡男なのか?柴田様の嫡男は、元服前は「柴田の神童」と呼ばれ、元服後は「柴田の鬼若子」と呼ばれておるが、


誠に、本人なのか?信じられぬ!この様な、儂よりも歳若い男が。初陣で武田の軍勢を一蹴したと言われておるなど」


うん。言われ慣れているけど、コイツの言い方は大分失礼だな


「佐吉!儂らに対して暴言を吐くのは分かるが、六三郎殿に対して、暴言を吐くな!」


「何じゃ?出奔して新たな主君を得たのだから、六三郎「様」と言えば良かろう。何をまるで客将や同輩の様に言っておる」


あ、ダメだこいつ。人の話を聞かないどころか、自分の意見を押し付けるパワハラする上司みたいなタイプだ


でも、俺から説明しないとダメだろうな。虎之助達の言葉は一切聞かないみたいだから。仕方ない


「佐吉殿。貴殿は何か勘違いしておる様じゃな。儂からじっくりと説明するから、「しっかりと」聞いてくだされ。良いですな?」


「な、何を」


「良いですな?」


「くっ。は、話してもらおうではないか」


うん。ガンつけたら黙った。こんな時は親父そっくりになって来た顔に感謝だよ本当、それじゃあ


「さて佐吉殿。先ず重要な事を伝えておくが、儂は勿論、儂の父上も4人を召し抱えてないぞ」


「う、嘘を申すな!召し抱えておらぬ者を、何故此度の様に助けだしたのじゃ?それに、この数日、貴殿達を見張っていたが虎之助達を働かせていたではないか!


これは貴殿の家臣だから、働かせていたからであろう!違うか?」


「やはり勘違いしておるな。4人に働いてもらっておるのは、形の上では客将として扱っておるが、儂の元では「働かざる者、食うべからず」を実践しておる


だからこそ、何でも良いから働かせておる。それだけの事じゃ。それに、儂を頼って、同じ飯を食べておる者は家族も同じじゃ。家族が危ない目に遭っておるのに


助けない者が何処におる?助け方は千差万別あれど、助けて当然だと思うがな」


「貴殿の家臣でないのならば、四人を羽柴家に返していただきたい!四人を召し抱えてないのならば、まだ羽柴家の家臣なのだから」


「それは出来ぬな」


「何故じゃ?」


「佐吉殿。儂は、尾張国生まれで、筑前殿の所領が尾張国内だった時から、市兵衛殿と虎之助殿を知っておる。その頃から筑前殿や奥方様に育てられ、武将として鍛えられておる事を知っておるが


その頃から筑前殿や奥方様への感謝の念を持ち続けておるのにも関わらず、此度出奔した理由を考えもしないのか?」


「そんなもの、家中における序列が低い事に不満を持ったからに」


「違いますぞ」


「で、では!何故、虎之助達は出奔したのじゃ?その理由を知っているのならば、教えてもらおうではないか」


「良かろう。その前に佐吉殿は、筑前殿の現在の所領の前の領主は何処の家であったか知っておりますかな?」


「浅井家であろう!それは知っておる」


「では、浅井家の最期は?」


「織田家との戦に敗れて、一族諸共死んだのだろう。殿が大殿から先陣を任されて、その武功で旧浅井領十二万石を拝領したと聞いておる」


「やはり、表の部分しか聞かされておらぬ様じゃな。ならば、裏の部分を教えてしんぜよう」


「裏の部分とは何じゃ?」


「佐吉殿。浅井家の一族諸共死んだと思うのであれば、浅井家当主だった備前守殿の嫡男がどの様に処刑されたのかは筑前殿から教えてもらいましたかな?」


「それは、知らぬ。殿から教えてもらっておらぬ」


「でしょうな。普通、自らの武功を喧伝するのであれば、喧伝しても問題ない部分しか喧伝しないのですからな」


「何を言いたい!早う話せ!」


「浅井家嫡男の処刑はな、織田家当主の許可なく、筑前殿の独断で行なわれたのじゃ。それも、惨たらしく磔にして槍で串刺しという方法でな」


「敗れた家の男を殺す事は、後の禍根を断つ為にも当然ではないか!」


「その殺された嫡男が元服しておらぬ9歳でも、磔から槍で串刺しにされても当然と言えますかな?」


「それは。ま、待て!何故貴殿がその事を知っておる?儂を騙す為に適当な事を言っておるのであろう!?」


「いや、知っている訳は儂の母上じゃ。儂の母上は織田家当主、織田内府様の妹のお市の方じゃ。父上と再婚同士じゃが、父上と再婚する前は、浅井家に嫁いでおった。だから、浅井家の最期も母上を通じて知っておる」


「そ、それでは」


「そうじゃ!今から話す事は、佐吉殿には重く、4人と同じ様に筑前殿への信頼が揺らぐかもしれぬ事じゃ。御覚悟召された上で、しっかり聞いてくだされ」


さあ、稀代の忠臣と呼ばれる石田三成。秀吉の人でなしな行動と、吐き気を催す行動を聞いても心を保てるかな?

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― 新着の感想 ―
ここに来て五奉行筆頭とも言える治部すら出奔させるのか 加藤、福島といった武の要を失い、また石田という政の要まで失えば羽柴大目玉…
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