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渡りに船とはこの事だけど

天正八年(1580年)八月十日

山城国 洛中


「六三郎殿!汁かけの宇治丸を一皿」


「はい!」


「六三郎様!白焼きの宇治丸を三皿」


「はい!」


「六三郎様!宇治丸のお吸物を三人分」


「はい!」


皆さんおはようございます。羽柴家の面々が出奔しただけでなく、羽柴家中のまとめ役の秀長さんの子供の双子を託されたという激重案件に巻き込まれております柴田六三郎です


その件から1ヶ月経過しましたが、今のところ羽柴家から追手みたいな人達は来ておりません。少しだけ安心と言えば安心なんですが、秀吉の性格が蛇みたいに執拗だったら


いずれ皆を奪い返しに来るかもしれないし、状況次第では、秀吉と戦わないといけないのかなあ?それは親父と殿と勘九郎様の権力でどうにか回避出来たらいいけどなあ


それに関しては、流れに任せるしかないので願いながら静観しましょう。話は変わりますが神戸家での営業時間で、ここ最近は午前中はウナギの時間みたいになっております


今日も魚屋でウナギを買って来た人達の分を調理して、川に入って野生のウナギを取って来た人の分を調理して、と朝からフル稼働なのですが、


ここ最近、ウナギの数が増えていませんか?魚屋の人達、多めに入荷してますよね?あれか、


「魚屋は中々売れないウナギを捌けて、神戸家は儲けて、お客さんは美味い物を食べて」で、近江商人が使う「三方良し」なのか?


これも年内までの仕事なので、我慢するしかないのですが。そうそう、出奔した面々ですが、


市兵衛と虎之助は新左衛門達がやっていた近くの店の荷物下しを時々やって、孫六と紀之介は顔が意外とイケメンだったので、接客と料理運びをやってもらいながら働いてもらってます、


ちなみに年齢ですが市兵衛と虎之助は数えで二十一歳、孫六は十八歳、紀之介は俺や喜太郎と同じ十六歳と紀之介以外の年齢は何となく覚えていたのですが、


紀之介が俺と同い年という事は、史実の関ヶ原の戦いの時は三十五歳だったわけだから、戦国時代とかだと人生折り返しぐらいの年齢だけど


それでも死ぬのは早過ぎるよなあ。あ、でもこの世界だとどうなる?秀吉の元を出奔したから


関ヶ原の戦いが起きても西軍に参加するとは思えないし、それ以前に関ヶ原の戦いは起きるのか?


いや、起こさない為に本能寺の変が起きない様に動くんだよ。これは忘れたらダメだ!史実どおりに進めば、親父と俺の命は残り3年を切ったんだから!


何とか平穏無事な人生を送らないと!


※本人は平穏無事な人生を送れると思っております


そんな日常を過ごしていると、三七様宛に文が届きました。営業終了後に読みましたが、まさかの殿からの文でした


「三七へ。儂と勘九郎と他数名が新たな官位を手にする事が決まったから、今月、儂が京へ行く。そのついでにお主の店に行くが、


お主と六三郎に今のうちに言っておく!二郎三郎が六三郎の作った新しい宇治丸料理の事を話しておったが、


大層美味であったと言っておった!その様な美味な物を何故、儂に食わせぬ?店に行った時は出せる様に準備しておけ!何処ぞの店から買ったならば、


その銭は返してやるから、証文も準備しておけ!それから、色々と聞きたい事もあるが、それは当日の楽しみにしておく!」


「と、父上は言っておるが、六三郎殿。宇治丸を多めに準備しておかないといけない様じゃが、ここ最近、神戸家の宇治丸が好評だからか、


早いうちに売り切れてしまうし、川に居る野生の宇治丸も洛中の者達が取って店に持って来ておるから


数が減って来ておるそうじゃ。どうする?」


「三七様。これは、魚屋に多めに銭を支払って宇治丸を予約しておいた方が確実かと」


「やはり、それが良いか。しかし、父上が来るのならば虎之助達の事は隠さずに話した方が良いじゃろうなあ。それこそ小一郎殿が文の中で言っていた


「暴挙」の事が何か分からぬが、謀反の可能性も無きにしも非ずだからのう。六三郎殿、何か提案はあるか?」


「三七様。拙者としては全員まとめて殿に保護してもらった方が早いと思うのですが」


「それはそうじゃが、虎之助達は六三郎殿を頼って来たのだから、それを父上に相談する役は六三郎殿が頼むぞ」


ちょっと三七様?立場的にあなたが上なんですから、そんな無茶振りは止めてください。


でも、やらないといけないんだろうなあ。仕方ないか、その時が来たら頑張るか

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