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慶事は続くよ連続で

この作品はフィクションです。史実と違いますので、その点、ご理解ご了承ください。

「それとじゃが六三郎!お主が保護した山県家の三姉妹の長女の弓の事なのじゃが」


「弓に何か起きたのですか?」


「儂の家臣で、権六の北陸方面軍の与力のひとりの佐々内蔵助に嫁入りする事が決まった」


「ええ!?」


「はっはっは。お主でも、それ程までに驚く事か。まあ、儂も驚いたのだがな。前の嫁を亡くして、更に嫡男までも亡くした所に弓を見て、惚れたそうじゃ。


それを弓が受け入れて夫婦になったのじゃが、心配な点として、六三郎も知っていると思うが、前の家に嫁いでいた時、十五、六だったのに子を産めなかったという理由で離縁されたそうじゃな


市と権六の例もあるから、儂としては内蔵助に子を持って欲しい。六三郎、お主が美濃国で行なっていた食生活で弓が子を市の様に無事に子を産める身体にする事と、


内蔵助が権六の様に、五十代になっても筋骨隆々な身体になって子作り出来る様に、何とかしてやってくれ。それこそ、来年の春から始まる、越前国から北の北陸侵攻が始まる前に」


いや、殿?結婚はおめでたい事だけど、人様の子作りに口出しするのは、と思ったけど、


確か保護した時に、「前の家では子作りは月に一、二回」とか言ってたし、佐々様が親父と同じくらい逞しくなれば、弓はお袋より若いんだから妊娠の可能性は上がるだろ。とりあえず言ってみよう


「殿。よろしいでしょうか?」


「何じゃ?」


「拙者が松姫様と共に弓達を保護した時に聞いたのですが、弓の前の嫁ぎ先では子作りを月に一、二回しかやらなかったとの事なので、佐々様が父上の様に筋骨隆々な身体に近づけば、意外と早くにやや子を授かる事になると思いますが」


「ほう。弓の前の夫は月に一、二回しか子作りをしなかったと。それならば、回数を増やせる様に内蔵助が頑張れるかどうかじゃな。と、なれば」


「父上。弓殿を借りる話はやめておきまする。これより父上の重臣である佐々殿と子作りに励むのならば、


冷える京での立ち仕事なぞ、やらせてはいけませぬ。それで良いか六三郎殿?」


「はい。母上もそうでしたが、これから子作りを頑張る女子を寒風の強い場所に置けませぬ」


「二人共、自らの事より他者の事を慮るか。良い考えじゃが、それでは京に出す店の手伝いの女子はどうする?」


「父上。それに関しては、拙者の家臣の娘か、女中の誰かしらに声をかけたいと思います」


「そうか。だが、無理強いをさせてはならぬぞ?」


「勿論でございます」


「うむ。それでは、伝えておく最期の話じゃが、勘九郎と松がやや子を授かった」


「誠でございますか父上!」


「殿。おめでとうございます」


「待て待て、まだ気が早い。だが、お主達が以前来た時に体調不良と吐き気を訴えておって、大事を取らせていたのじゃが、


見事に懐妊しておった!推定ではあるが三ヶ月になる。予定通りに産まれるならば、来年の卯月じゃろう!


まったく勘九郎め、手が早いのう!これで産まれてくる子が男児ならば、織田家の三代目が決まるのじゃから、楽しみでもある。この流れで三七よ、お主も嫁を早くもらえ!」


「いやあ、こればかりは何とも」


「六三郎ですら、正室候補が居るのだぞ。お主は儂に似て。少なからず眉目秀麗なのじゃから、惚れた女子が居るならば、あたってみても良いと思うのだがなあ


いざとなれは、織田家と関係を持ちたい何処ぞの大名家の姫君でも嫁にもらえ!だが、先ずはこれは!と思う、女子を見つけてみよ」


「善処しますとしか言えませぬ」


「はっはっは。まあ、細かい事はあとでも良い。だが、三七よ。お主達にした様に、三介が「店を出して物を売りたい」と言ってきたならば、儂は同じくらいは手を貸すぞ。良いな?」


「ははっ」


「うむ。話が終わりならば、城の外に村井を待たせておるから、京の店の場所までの案内を受けながら、店に行け。そして、準備が整い次第、商売を始めよ」


「「ははっ!」」


話し合いを終えて三七様と俺は、城の外に出てから村井様に合流して、そこから約一ヶ月かけて、京の中心地の洛中に着いたのですが


天正七年(1579年)十一月一日

山城国 洛中にて


「三七様、六三郎殿。こちらが店にございます。縦五十尺、横五十尺の広さですので、人間が十人くらいは余裕で中に入るでしょう。弓殿の妹達も、そろそろ来ると思います」


皆さんこんにちは。今年年内は此方で働かされるであろう、京に来ております柴田六三郎です


数年前に来て、公家のトップの近衛様に酒のツマミを作ったり、本願寺と主上の前で料理対決させられたりした、疲れた思い出しかない場所なんだけど、


今回は流石に、そんな事無いだろ?無い無い。うん、無いよ。おれの希望は何事もなく平和に働いて、三七様に勝ってもらう事だ


※六三郎の希望はフラグになります


で、しばらく待っていると、


「村井様。お連れしました」


と、村井様を呼ぶ声か。振り向くと、


「久しぶりじゃな。菫、雪」


「え!?六三郎様?と、そ、そちらのお、お方は?」


おや?何やらデジャブ?何処かで見た事ある様な、菫の照れた感じの顔だな


「ああ。菫、雪。紹介しておく。儂が来年いっぱいまで与力という立場で働かせてもらっておる、


神戸三七様じゃ。お主達が側に仕えておる松姫様の夫の勘九郎様の弟君じゃ」


「え!?そ、そうなの、ですか?は、は、初めまし、まし、まして。山県、す、す、菫と申し、ます」


「妹の雪でございます」


雪と対照的に菫の慌てっぷりがひどいけど、これは確定と見て良いかな。で、三七様は


「何とも見目麗しい。菫殿、そして雪殿。拙者の我儘を聞いてくれて忝い。いやあ、菫殿。誠に見目麗しい」


あ、これは三七様も同じ感じだな。少しばかり、手を加えますか


「村井様、雪。少しばかり、こちらへ。三七様と菫はその間お二人でお話でも」


と、いう事で村井様と雪を離れた場所へ連れて


「村井様。お気づきと思いますが、これは絶好の機会かもしれませぬ」


「やはり、六三郎殿も気づいておりましたか。この事は、殿に伝えても良さそうですな」


「六三郎様?何が絶好の機会なのですか?」


「雪。菫が嫁入りする絶好の機会なのじゃ。菫は勿論じゃが、三七様も菫の見目に心奪われておる。だからこそ、雪。二人だけにしてあげてくれぬか?」


「そういう事なのですね。弓姉様に続いて、菫姉様も嫁入り先が決まるのならば、私は邪魔にならない様に、お役目に励みます」


さあて、銭儲け以外の仕事も増えそうだけど、俺の長生きする未来の為だから、頑張るか!

結婚や恋愛ネタで名前が出た登場人物の年齢をざっくり書いておきます。年齢はこの時代で使われる数え年です


織田勘九郎信忠 1557年生まれ 現23歳

正室 松姫   1557年生まれ 現23歳


神戸三七信孝  1558年生まれ 現22歳

山県 菫    1563年生まれ 現17歳


佐々内蔵助成政 1536年生まれ 現44歳

継室 弓    1561年生まれ 現19歳

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