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協力交渉に行ったら

天正七年(1579年)八月三十日

伊勢国 神戸家屋敷にて


「殿!おめでとうございます!」


「「「おめでとうございます!」」」


「待て待て。まだ、父上から了承をいただいただけじゃ。何もしておらぬ。のう、六三郎殿」


皆さんおはようございます。神戸家屋敷にて、当主の三七様に話をふられております、柴田六三郎です


殿に今回の争いの事で「1年限定で店を出す事と、伊賀国の東部の人達も巻き込んで、その人達の儲けも


神戸家の物としてカウントしていいですか?」という、自分でもかなりの力技だと思う事の了承をもらえたのですが、


それと同時進行で、甚五郎さんの領地よりも更に北にある諸家への協力の交渉と、北畠家にもっとも領地が近い、伊勢長野家への協力の交渉、そして伊賀国東部の人達への協力の交渉という、


中々のハードスケジュールをこなすと同時に、万が一の不作を防ぐ為の堆肥製作を広めないといけないので、


やる事はとても多いです。でも、やらないといけないのですよ。だから、皆さんを巻き込んで、俺の負担を減らさないとな。とりあえずは、堆肥作りを広めていこう!


天正七年(1579年)九月一日

伊勢国 某所にて


「お主達!この若武者の言うとおりの事を行なえば、前の年より儲けが増えるぞ!だから、来年いっぱいまでで良いから、神戸三七殿に協力せよ!」


「いや、関殿。いくら何でもそんないきなり」


皆さんおはようございます。関一党の代表の甚五郎さんに、伊勢国の最北端に連れて来られて、交渉の場に居ます柴田六三郎です。


甚五郎さんの交渉なんですが、はっきり言って上から目線の交渉なんですよ


で、そんな交渉術では普通の人は反発するわけで、


「関殿。いきなり来て、来年いっぱい神戸殿に協力しろと言われても、はい協力します。とはならないでしょう。何故、協力して欲しいのか、具体的な理由を言ってくれぬと」


と、比較的冷静に返してくれた人が居たので、名前を聞いてみよう


「あの、あなた様のお名前は?」


「儂か?儂の名は遠藤喜太郎直文えんどうきたろうなおふみでござる。貴殿の名は?」


ちょっと待ってくれ!名字が遠藤で諱に直の字が使われているなら、浅井家の名将、遠藤喜右衛門直経の親類の可能性高くないか?これは、より丁寧に挨拶しないとな


「遠藤喜太郎殿ですな。拙者の名は柴田六三郎長勝でござる」


俺が挨拶すると、


「柴田じゃと!?もしや、貴殿のお父上は、織田家に仕えておる「鬼柴田」と呼ばれておる御仁か!?」


「ええ。父は何故か、そう呼ばれております。父の事をご存知なのですか?」


「知っているも何も、儂は、六年前に織田家によって滅ぼされた浅井家に仕えていた遠藤喜右衛門の倅じゃ!父上は、九年前に姉川の戦で討死したが、それでも浅井家は母上を召し抱えてくれた!


六年前の、浅井家の最期の戦の時、九歳だった儂は母上に手を引かれて妹と共に小谷城から落ち延びて、織田家の勢力下ではない母上の親類の居る、この北伊勢に住み着いたのじゃ!此処で会ったならば、貴様の首を斬って、父上の墓前へ」


遠藤さんがそう言いながら刀を抜こうとすると、


「喜太郎!止めなさい!!」


後ろに居た女性が遠藤さんを止める。これって、もしかしてだけど


「喜太郎の母の吉乃よしのでございます。息子が無礼を働き、申し訳ありませぬ」


と、予想通り遠藤さんのお袋さんだった。そんなお袋さんに対して、遠藤さんは


「母上!何故止めるのですか!こ奴の織田家は、浅井家を、父上を」


「喜太郎!いつも言っているではありませぬか!戦は時の運もあると。それに、備前様の御正室のお市様が、


自らと姫君達が城を出る交渉の間に、私達を逃してくれたのですよ。その事で感謝の気持ちを持つならまだしも、


此方の柴田六三郎殿は、あなたと同い年くらいに見えるではありませぬか!その当時の戦に参加していないであろう者に、恨みをぶつけるのは止めなさい!」


お袋さんにそう言われて、遠藤さんは、


「分かり申した。この場は母上の顔を立てまする。だが、柴田殿!儂や周りの方々が納得出来ない話ならば容赦せんぞ!」


「これ!喜太郎!」


嫌々ながら、一応納得してくれたかな?まだゴチャゴチャ言ってるけど。


まあ、今から話す事を聞いたなら、多少は頭も冷えるだろう。頭だけじゃないかもしれないけどな


「とりあえず、話を聞く耳を持っていただき忝い。それでは、話を進めますが、先程関殿が仰っていた事を具体的に話しますが、


現在、伊勢国は南のほとんどを北畠家が支配しております。対する北は領地の大きさでは、関一党と長野家が大きいのですが、


主要な湊は神戸家の領地に有ります。この事から、北伊勢は、南伊勢と違い纏まっておりませぬ」


「それが、此度の話し合いにどう関係するのじゃ?」


「遠藤殿。続きはこれからです。南伊勢のほとんどを支配する北畠家の当主は、拙者の主君、織田右近衛大将の二男の三介様、そして神戸家の当主はその三介様の弟の三七様です


つまり、織田家の次世代の兄弟が婿養子として家督を継いでいるのですが、短慮で好戦的な三介様と、周りの事を考え無駄な戦を好まない三七様とでは、


水と油であり、お二人共、伊勢国の発展に協力しませぬ。その事で殿は、「協力出来ないならば、どちらか一人の家が治めた方が発展もするだろう!


だから、お主達は争え!戦ではなく、内政でどれだけの儲けを出せるかで争い、多くの儲けを出した者を伊勢国の太守とする」と決まりましたのです


無論、神戸家単体では北畠家に勝てませぬ。関殿が協力してくれる事になりましたが、それでも北畠家は強大です。


そんな北畠家に勝ち、神戸三七様に伊勢国の太守になってもらうには、北伊勢の全ての家が来年いっぱいまでで構いませぬので、


纏まらないと駄目なのです。なので、どうかお考えくださいませ!どうか」


此処まで言うと、皆さん真剣に考えだしました。

浅井家に関係する新しい登場人物が出ました。

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