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叔母の怒りの矛先

智さんが怖い顔をしながら、二人を見据える


「夜叉丸!市松!」


「「は、はい!!」」


二人の事を幼名で呼ぶあたり、かなり怒り心頭な様だ。で、そんな智さんは


「二人共、あの人でなしの藤吉郎に仕えているなら、養子の治兵衛の事は当然!知っているよねえ?」


「な、名前は知っておりますが」


「嘘は良くないよ市松」


「う、嘘など」


「あんたは嘘をつく時、人の顔を見ない癖が有る事は昔から知ってるんだよ!それに夜叉丸!あんたは昔から市松よりも賢い子だったんだ


藤吉郎がやっている事を、市松よりも早く理解しているよね?そうだよねえ?」


智さんの凄い圧に二人は冬なのに、汗が止まらない。もう限界だったんだろう。


「申し訳ありませぬ」


市兵衛が根負けした。続いて虎之助も


「治兵衛殿の事は確かに知っております」


「やっぱりかい!で、治兵衛は藤吉郎や小一郎の元で、しっかりご飯を食べているのかい?


あんな藤吉郎でも、かなりの領地を持っていると聞いているよ。まさかと思うけど、まともにご飯も食べさせてもらえないのであれば」


「叔母上!聞いてくだされ!」


「何か話してくれるのかい市松」


「治兵衛殿の事ですが、我々の様なまだまだ立場が下の者は数年前に会って以降、殆ど会っておりませぬ」


「その理由は何でだい?」


「そ、それは」


智さんに聞かれて市兵衛も虎之助も固まっている。そんな中、伊都さんが


「虎之助。智さんはあなた達に怒っているんじゃないのですから、知っていることを話しなさい」


と、優しく諭すと


「市兵衛。もう全て話そう。儂達がどうこう出来る話ではないのだから」


「ならば虎之助。お主から話してくれ」


「仕方ない。改めてですが、叔母上。我々が知っている事を話しますが、治兵衛殿は最初、確かに殿の養子になりましたが、


殿の目的は当時、北近江を治めていた浅井を滅ぼす為に、浅井の家臣だった宮部様を調略する為に、


宮部様の養子に出したのです。なので、治兵衛殿は現在も宮部様の元に居ます」


俺も話聞いてて、これは養子詐欺じゃないのか?とも思えて来た。そしたら智さんは


「藤吉郎の所に居ないのかい?そんな、そんな」


崩れ落ちた。伊都さんに支えられて立っている様な状態だ


「「叔母上」」


そんな智さんに2人が駆け寄ると、智さんは


「市松。夜叉丸。治兵衛を養育している宮部様は、藤吉郎みたいな人でなしじゃ、ないよね?」


「宮部様は殿より歳上の方です。戦に出る事は無いので、治兵衛殿に色々と教えてくださっているかと」


「そ、そうに違いありませぬ。我々二人共、初陣の時に宮部様を見なかったので。きっと、教養を含めた色々なことを治兵衛殿に教えているはずです」


これは、俺が場を収めないとダメだろうな。



「智殿」


「若、様」


「治兵衛殿の事が気になっておるならば、父上や殿を通じてになるが、一度羽柴様へ智殿と治兵衛殿を会わせてもらう様に頼んでみるから、


2人に怒りをぶつけるのを、そろそろ止めてくれぬか?智殿も分かっているのであろう?2人がまだまだ羽柴様に何かしら言える立場ではない事を」


「う、う、うわあああ」


俺がそう言ったら、智さんは立てなくなった。


「利兵衛。智殿を小吉の側に連れて行ってやってくれ。弥助にも、今日の役目はいいから智殿の側に居る様に伝えてくれ」


「ははっ」


こうして、智さんは利兵衛に連れて行かれた。しばらく働けないかもしれないけど、それは仕方ないから、休ませてやろう


で、改めて


「伊都殿。虎之助殿。拙者と市兵衛殿は、席を外すから、親子水入らずを過ごしてくだされ。では、市兵衛殿」


「ははっ」


で、市兵衛と俺は部屋を出たけど、俺は市兵衛を赤備えの皆の所に行かせようとしたら


「あの、六三郎殿」


「何でしょうか?」


「殿はやはり、治兵衛殿を無理矢理連れ去ったから、叔母上があの様に怒り心頭なのでしょうか?」


市兵衛が聞いて来た。俺は召し抱える時に聞いていたから、正直に話すか


「市兵衛殿。拙者は智殿親子を召し抱える時に、「藤吉郎は「自分が出世したら皆に楽させてやれるから分かってくれ。と言って、賢い治兵衛は、


自分達の為に藤吉郎の養子になる事を決めた。でも、それ以降音沙汰が無い」とも言っていた、それに、


「出世の為に人でなしな行動を取る様になるから、武士になるのは反対だ」と、治兵衛殿の弟の小吉に言っていたな」


「そ、それは」


うん。絶句してるね。でもね、


「市兵衛殿。綺麗事で戦や政が出来ぬ事は知っているでしょう。ですが、超えてはいけない一線というものは絶対に有り、


その一線に行かない為に自らを律してこそ、人の上に立ち、領地を治めるべきだと、拙者は思います」


「それは拙者も思います」


「まあ、今すぐどうにか出来るわけではないので、市兵衛殿は今から赤備えの皆と共に身体を鍛えてくだされ」


と言って、赤備えの訓練場に連れて来たら、


「若様!その方は、伊都殿の倅の付き添いだった」


「ああ。赤備えの皆の訓練を体験して、更には理財も学んで羽柴家に広めたいと考えておるそうじゃ。


皆より歳下じゃが、輝一郎よりは歳上じゃ。それでも先ずは初心者用の訓練をやらせてみてくれ」


「「「ははっ」」」


さあ、史実では怖い者知らずと言われた福島正則は、どれだけやれるかな?

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