表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
229/611

体力テストは事務職に必要か?

赤備えの皆と山県さんと一緒に訓練用の上り坂に来たんだけど、やっぱり初見の人はビビるよな。


山県さんの顔が「マジで?」みたいな顔をしているんだもの。でも、本人がやりたいと申し出たし、とりあえずやらせるくらいは良いでしょう


「さて山県殿。今見ている坂道は、赤備えの皆が毎日走っているのだが、そのやり方も少々特殊でな。


上りは全力で上り、下りは小走りで。だが、歩いてはならぬ。それを3往復してから、最期に身体を鍛える動きをやるのだが、


先ずは3往復走ってからじゃ。山県殿。山県殿が始めたいと思ったら、いつでも始めてくれ。いきなりは身体わ痛めるからな」


「今すぐやらせてくだされ。商人の方々と共に山道を登って来たので、身体は準備万端です」


と返して来たので、そのままやらせたら、


「はぁっ、はぁっ、はぁっ。こ、これ、は、なか、なか、の、つら、さ、です、な」


バテバテだけど、最期まで走り切った。正直、源太郎達と歳が変わらないとはいえ、最近まで城代なんて役職に就いていたんだがら、出来なくても仕方ないと思っていたら、


やり切るあたり、やっぱり生半可な根性ではないと実感する。じゃあ筋トレをやってもらいますか


「山県殿。無事に走り切った次は、身体を鍛える動きになります。今から見せる動きを真似してくだされ。


回数は四十回やります。では、手本を見せましょう」


で、俺が手本を見せたら、


「その動きですな。やらせていただきます」


で、腕立て伏せから始めてみると


「うおお!う、腕が!」


プルプルと震えながらも、四十回クリアして腹筋は


「は、腹が!」


かなり辛そうでしたが、こちらもクリアして背筋も


「背中が!背中が辛い!」


時々怪しい部分はあったけどクリアして、最期のスクワットも


「あ、足が!言う事を聞かぬ!」


何とかやり遂げました。その結果、大の字で倒れましたけど。で、そんな山県さんに源太郎が


「立てぬ様じゃな。肩を貸そう。捕まれ」


と、助けてあげると、山県さんも


「忝い。飯富殿感謝いたす」


「儂の事は源太郎と呼んで構わぬ。だから、儂も山県殿ではなく、源四郎と呼ぶぞ!良いな?」


「それで呼んでくだされ」


「敬語は若様達に使って、我々には使わずともよい」


「分かった」


源太郎が山県さん、いや、源四郎と呼ぶか。源四郎の事を認めたなら、俺も助け舟的な事をするか


「源次郎。兄である源太郎が山県殿、いや、源四郎の事を認めたのじゃ。そろそろ考えを改めよ!


父は父!子は子であろう!まだ何かしらの不服があるならば、儂が聞こうではないか!」


「いえ!全てやり切った忍耐力のある人ならば、拙者の考えが間違っておった事を痛感しております!」


「そうか。ならば、これからは敵意を向けずに共に柴田家で働けるな?」


「勿論です」


「うむ。ならば、源四郎を屋敷に連れて行って休ませてやれ」


「「はは!」」


「今日はもう何も出来ぬだろうから、明日か明後日に再度、仕官の話をしよう」


こうして、この日は終わった。


天正四年(1576年)十一月十一日

美濃国 柴田家屋敷にて


「源四郎!身体は大丈夫か?」


「はい。昨日は動く事も不可能な程の疲労でしたが、赤備えの皆が遠慮なく色々言ってくるので、受け入れてもらえたのだと実感したら、疲労も回復した様に思えます」


「うむ。とりあえず家中が変な空気にならない事はありがたいが、だからと言って源四郎を直ぐに召し抱える事は出来ぬ」


「それは重々承知しております」


「うむ。源四郎はこれから内政を担うのだから、領内の事を把握して、「これをこうすれば、柴田家の銭が増えるかもしれぬ」と思う物を提案してくれ」


「ははっ!」


「源四郎には、赤備えの一部と領内を見る事も勿論じゃが、子達に理財を教える役目もある。


客将の形をしばらく取るが、源四郎を召し抱えても大丈夫だと儂が判断出来る様に役目に励んでくれ」


「ははっ!若様に召し抱えてもらえる様に励みまする」


昨日今日で分かるわけじゃないけど、石田三成みたいに融通のきかない頑固者ではなさそうだし、


ウチにも案外早く馴染むだろうな。それに、利兵衛達高齢者と、小吉達子供の間の年齢だし、経験も知識も豊富だろうから、


源四郎に指導役をやらせつつ、利兵衛達を休ませる事も出来るし、本当貴重な存在だよ。早い段階で召し抱え決定になるだろうな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ