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パン作り改良版のスタート

俺達が屋敷に戻ると、丁度昼飯を食べ終えていた。護衛と付き添いでついてきた皆に昼食を食わせて、


その間に俺は牛乳を使ったパン作りの開始です。安全の為に牛乳を再度沸騰させて、適温になるまで放置していたら、妹達が


「兄上!新しい美味しい物を作るのですか?茶々も手伝います!」


「初も手伝います」


「江も手伝います」


と、言って来たので、


「それなら、その白いのを扇で仰いで熱くない様にしてくれるか」


「「「はい」」」


で、妹達が頑張って冷ましてくれたおかげで適温になった牛乳を小麦粉に入れて、捏ねて粘りが出て来たら酒粕を投入して、


濡れ布巾を被せて、1時間程放置したら


「膨らんだー!凄ーい!」


「兄上!これはここからどうなるのですか?」


「早く食べたいです!」


膨らんだパン生地を見て妹達が盛り上がってます。その声を聞いたお袋が台所に来まして


「何ですか!大きな声で。はしたないですよ」と妹達に小言を言ってますが、


「あら、六三郎。その丸い物はなんですか?それに、この白い水みたいな物もなんですか?」


パン生地と牛乳に気づいた様で、


「母上。この丸い物は、パオンの元です。そして、その白い水みたいな物は牛の乳です。安全を考えて、一度沸騰させた物を茶々達が冷ましてくれたのです。


領民の家で一度沸騰させたものを飲みましたが、誰も問題なく飲めましたので、母上もどうですか?」


「あら、そこまで言うなら飲んでみましょう」


と、言ってお袋は牛乳を飲んだ。そしたら、


「あらあら。ほのかに甘くて美味しいではないですか。砂糖を使ってないのにも関わらず、この甘さが出るなんて。茶々、初、江。貴女達も飲んでみなさい!」


と、良い反応を見せました。お袋は妹達に牛乳を飲む様に促すと、


「美味しいー!」


「ちょっと甘くて美味しいです!」


「お茶よりも好きです」


好評なリアクションをしてくれました。で、改めてパン生地を切り分けましょう。とりあえず、お袋と妹達の分で4個を最初に焼きます。


時間にして30分。水を使ったパンと明らかに香りが違います。焼きたてパンを取り出して、


「さあ、母上食べてみてくたされ。茶々、初、江。熱いから気をつけて食べるのだぞ」


4人の前に出すと


「香りが以前私が食したパオンとは別物ですね」


「以前のパオンと違って、嫌な香りが殆どないないです!」


「兄上。いただきます」


「美味しいです!」


江がフライング気味に食べたけど、満足そうな顔で食べている。お袋も茶々も初も食べてみると、


「まあ!この出来立てのパオンの何と美味な事。砂糖を使ってないのに、噛めば噛むほど甘みが出て来ます!」


「兄上!このパオンなら、中に何も入ってなくても美味しいです!」


「兄上!このパオン、とっても美味しいですが、これも中に色々入れるのですか?」


色々な感想と質問が出たけど、


「岐阜城の殿へこの事を伝えて、目の前で食していただいて、殿が納得していただけたら、再度領地から麦粉を送り、


そこから京や堺で流行る事を祈ろうかと思います。これで銭が増えたら、父上の領地替えで移動した時に、


移動先で食す物が無い場合も買える銭が増やしたいと思っております」


「六三郎!これは私からも三郎兄上に推挙しましょう!これで、六三郎が岐阜城に呼ばれましたら、作ってあげなさい!文を送っておきますから、兄上を驚かせて来なさい!


ふふふ。兄上より先に美味な物を食した事を自慢してあげましょう」


俺が説明したら、お袋が「やっぱり殿の妹なんだな」と思う笑顔を見せて、お袋と妹達への試食会が終わって、


利兵衛達にも試食させたら、お袋達と同じ反応をしておりましたので、少々手間暇はかかるけど売れると確信しました。た


ただ、この事であんな風になるとは思っておりませんでした


天正四年(1576年)八月二十日

美濃国 柴田家屋敷にて


「若様。岐阜城の織田様から文が来ました」


「何か嫌な予感がするから、母上にも同席していただこうか」


「では、奥方さまにお越しいただきます様に伝えて来ます」


と、利兵衛が動いて、お袋を連れて来たんですが


「ほっほっほ。六三郎、兄上はどの様な文を送って来たのですか?私が送った文に対して、嫉妬だと思いますけど」


「母上。まだ読んでないので、内容はこれからです」


「早く読みなさい」


「はい。では「六三郎へ。市より文が届いたが、権六の新たな領地へ移動する際の心配の為に、銭を増やそうと思うお主の心遣い、見事である。


だが、市から「以前、六三郎が作った京や堺で流行らせた物より更に美味なパオンを六三郎が作ったので食したが、日の本初のパオンと思われる新たなパオンで、誠に美味だった」と自慢の文でもあった


何故その様な新しい美味な物を儂に一番に出さぬ!権六が京の警護の役目に戻る途中に城に寄った時も、


新たな子の名付けをしようと思っておったら、「市が兄上に名付けはさせませんと言っておりまして、新たな子の名前はもう決まりました」と権六が申しておったが、


儂のやりたかった事を市が先にやってばかりではないか!市に小言のひとつやふたつも言いたいが、


産まれて間もない赤子や幼子を連れて来いとは流石に言えぬ。少々話がそれたが、ここからが本題じゃ


新たに銭を増やそうとするならば、その物を食さねば判断出来ぬ。来月には岐阜城に来る様に」との事です」


「ほっほっほ。三郎兄上はやはり、文の名付けをやろうとしておりましたか。改めて先手をうっておいて間違いなかったですね。それに、六三郎の作った新たなパオンを私が食した事に対して、


何とも兄上らしい嫉妬をして。ふふふ。六三郎。兄上にあの香りも味も素晴らしいパオンを振る舞ってあげて来なさい」


「は、はい。しばらくの間、行って参りますが、何かしらの用が有りましたら、利兵衛を頼ってください」


「ほっほっほ。六三郎。兄上から驚く事を言われるかもしれませぬが、しっかりなさい。良いですね?」


「は、はい」


「流石に今からの出立は遅いですから、明日の朝に出立する為の準備に取り掛かりなさい。私は戻りますから」


そう言ってお袋は部屋に戻ったけど、何か意味深な言葉だったな。まあ、とりあえず久しぶりの岐阜城へ出立だ。

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― 新着の感想 ―
六三郎を挟んでの兄妹喧嘩が微笑ましいw
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