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転生武将は戦国の社畜  作者: 赤井嶺


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牛乳を使おう!

「では、源次郎、銀次郎、新左衛門、三四郎。護衛を頼むぞ」


「お任せください」


「若様と小吉には指一本触れさせません」


「輝一郎達の事も頼むぞ」


「若様がそう仰るなら」


「少々不安じゃが、とりあえず村へ行って、色々聞いてみよう」


と、言う事で久しぶりに現地調査に来てますが、米や麦の収穫が9月〜10月頃なんだけど、本当、5年前に来た当時と比べると、豊作だよ。


その最たる理由が全ての家で肥料作りをしている事なんだよね。これは尾張国でもそうだったけど、


1回だけの成功例だと疑うけど、2回、3回と成功例を重ねると、「このやり方なら間違いない」と思って、


続ける様になるし、この時代は村全体で助け合う感じだから、肥料の集積場みたいな場所を領民の皆さんが作っていても、収穫量が増えるなら問題無いと、


俺も親父も判断したから、スルーしてる。で、今日の畑仕事が終わったのか、皆さんのんびりと過ごしてます。


で、そこに村の長老の源蔵爺が居たので、


「源蔵爺。息災か?」


「これはこれは若様。お久しぶりにございますな。ええ、まだまだ畑仕事が出来るくらいには、息災でございます。それで、本日はどの様な用向きでしょうか?」


「うむ。聞いていると思うが、前月に末の妹が産まれてな。更に言うならば、この源次郎の兄上で赤備えの大将である源太郎の子も年内に産まれる。


儂にとっては、柴田家に仕えている者も、その嫁や婿や子も、皆まとめて家族だと思っておる。だからこそ、家族が増えるなら、銭も増やさなくてはな」


「はい。末の姫君がお産まれになった時は、村全体で少なかったかもしれませぬが、お祝いの品を届けさせていただきました」


「その時は礼を言えなくてすまぬ。改めてじゃが源蔵爺。祝いの品、ありがたく頂戴いたす」


「勿体なきお言葉にございます。それで若様、此度は結構な人数で動いておりますな」


「うむ。赤備えの4人が護衛で、儂より歳下の4人は、理財をいつも学んでおるが今日は外に出て、領民の皆の生活から色々学んでもらおうと思ってな」


「それは素晴らしい。何か得られる物が見つかると良いですな」


「うむ。とりあえず周辺を回って、新たなものが見つからなければ、また戻ってくる」


「かしこまりました。お気をつけて」


源蔵爺と別れて俺達は領内を見回った。輝一郎達は見慣れない物だらけの様で


「ろ、六三郎様。小川の中で回っているあれは何ですか?」


「輝一郎。あれは「水車」じゃ。大まかな形は風車と同じじゃが、外側に水を入れる枡の様な物があり、


それで水を掬って水の量が一部の田畑に偏らない様にしておる。そして、水車の横の小屋では、水車が回る力を利用して、麦を挽いて粉にしておる。


そして、その粉は色々な料理に変わったおる。輝一郎達も色々食べたであろう?例えば、丸い形のとても香ばしいものとか」


「あれは麦から出来ていたのですか?あまりに美味いので、南蛮から取り寄せた物とばかり」


「そう思うのも仕方ないが、南蛮で作れるものが日の本で作れないと思っていては、南蛮に銭だけでなく金銀を取られる一方だからな。


殿が天下を統一したら、父上を通してになるが、色々と提案していきたい。その為にもここに居ない者達も含めて、皆の力が必要じゃ。だからこそ、生きる事に足掻いてくれ」


「「「ははっ」」」


と、言いながら領内を見る事、およそ2時間。平和でいいが、何かしらの「これだ!」と思えるものが見つからない。これが田舎の限界なのか?と、


俺が悩んでいると小吉が、


「若様。改めて柴田家の領地は平和ですな。馬も牛もこれだけの数が繁殖しているなんて、戦に使われずに餌の草が大量にあるからなんでしょうな」


そう言って来た。確かに親だけでなく、子牛と子馬が大量に居るのは戦から遠い場所である証拠でもある。


それに子牛も子馬も発育が良いから、母親の乳の出も良いんだろうな。ん?乳の出が良い?馬の乳は飲んだ事ないけど、牛の乳は牛乳だから、飲めるけど、


この時代ならせめて沸騰させないと駄目だけど、それくらいなら長時間の火力が出せる竹炭のおかげで、


大丈夫だろう。それに、牛乳を使ったパンは味も香りも良いから、牛乳を沸騰させる手間の為に竹炭が売れて、更にパンも売れるはずだ!よし決めた!


「皆!源蔵爺の元へ戻るぞ!試してみたい事が出来た」


「「は、ははっ」」


で、源蔵爺の元へ戻りまして、


「若様。何か見つかりましたか?」


「源蔵爺!試してみたいから、牛を貸してくれ!」


「牛をですか?畑仕事用なので、それは流石に」


「ああ済まぬ。言葉足らずだったな。牛そのものではなく、牛の乳を使いたい!」


「牛の乳ですか。ま、まあそれならば」


「済まない!新左衛門、屋敷に行って、桶を持ってまいれ!利兵衛やつる殿に「儂が新しいものを作ろうとしている」と言えば、納得するはずじゃ」


「ははっ」


で、新左衛門を走らせて、桶を持ってこさせて、乳搾り開始して、それなりの量を回収したら完了です。


で、源蔵爺の家の台所を借りて、牛乳を沸騰させて飲みやすい温度になったら試飲です


流石に皆には未知の世界なので、俺が先陣を切りましょうか。で、俺が一口飲むと、


「わ、若様。大丈夫なのですか?」


源次郎が焦っているけど、気にせず飲む。うん、俺の知ってる前世のスーパーやコンビニの牛乳と同じとは言い難いけど、しっかり沸騰させたら飲める


「うむ。やはり沸騰させたら人でも問題なく飲める。皆も一口、騙されたと思って飲んでみよ」


で、皆一口飲むと、


「若様!予想以上に美味いですな」


「ほのかな甘みも感じます」


「これだけでも美味いのに、これを更に美味い物に仕上げるのですか?」


「まあ待て。源蔵爺、どうじゃ?」


「若様。五十年以上生きて来て、牛の乳が飲める事も驚きですが、それが更に美味いとは。まだまだ知らない事だらけですな」


「うむ。儂も試してみた段階じゃが、予想どおり美味いものであった。だが源蔵爺よ、牛の乳は子牛が飲む事を優先させる様に。それと、人が飲むならば、必ず沸騰させる事を村の皆に周知させよ。


そうでないと、腹を壊して最悪の場合、死ぬかもしれぬ。牛の乳を飲むのは2日に一回、ちゃんと沸騰させたものを飲む様、心がけてくれ」


「はい」


「後程、竹炭を渡しに来る。台所を使わせてくれて感謝する!儂達は、屋敷に戻る」


「お気をつけて」


源蔵爺と別れた後、屋敷に戻って、俺はパン作りを開始した。

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