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息子は驚き、妹達と主君は歓喜する

天正三年(1575年)十一月二十日

美濃国 柴田家屋敷内にて


「母上。今の話は誠ですか?」


「誠ですよ、六三郎。間違いなく権六様のやや子を授かりました。およそ二ヶ月になります。致した時期とも一致しております」


皆さんおはようございます。現在、俺の新しいお袋のお市様から「妊娠した」と報告を受けて、驚いております柴田六三郎です


だってね、昭和以降なら、父親50代、母親30代で赤ちゃんが産まれました。とかは、少し珍しいだけで、変ではないけど、俺の居る現在は戦国時代ですよ?


まあ、出産の場所を含めた全体をちゃんと清潔にして、身体も清潔にして、母親が体力に自信があって、それなりにガタイの良い健康体な人なら、戦国時代でも30代の出産は可能だと思いますよ


ただ、親父50代だよ?どんだけ元気なんだよ。まあ、お袋が妊娠2ヶ月と言う事は、あの日か?


親父が400人相手に稽古をつけてくれた日。まあ、あの日の親父は、うん。これ以上の詮索はやめておこう。


「母上。おめでとうございます。弟か妹か分かりませぬが、とても喜ばしい事です。改めてですが、


拙者はこの事を殿を通じて、父上へ知らせる以外に出来る事はありますでしょうか?」


「そうですねえ。茶々達のお世話をお願いする事が多くなる事と、女中の皆にも色々手伝ってもらって、


とりあえず思いついた事はこれくらいですが、六三郎。一番大事な事ですが、出産が近づいたら産婆をお願いしますね」


「はい。弟が妹か分かりませぬが、大事な家族が無事に誕生出来る様に万全を尽くします」


「ふふふ。六三郎の言葉は不思議と気持ちを安心させてくれますね。出来る事をひとつずつで良いのですよ」


「はい。それで妹達には伝えたのですか?」


「まだ言ってないのですよ。話す時は六三郎が近くに居た時が良いと思いまして、今から言いたいのですが、六三郎。今日の予定は大丈夫ですか?」


「今日はやるべき事は全て終わりました。大丈夫です」


「なら、丁度良いですね。茶々、初、江。来なさい」


「「「はあーい」」」


ドタドタと三姉妹が走って来ました。そして、


「茶々、初、江。今から母は大事な話をします。兄上には先に伝えてあります。しっかりと聞きなさい。

良いですね?」


「「「はい」」」


「良い返事です。では言います。母は、新たな子を授かりました。貴女達の弟か妹が来年の中頃に産まれます」


「本当ですか母上」


「本当に下の子が産まれるのですね」


姉2人はテンション上がって喜んでるけど、末っ子の江は分かってない様で


「兄上。姉上達は何で喜んでいるのですか?」


「それはな江。新しい家族が増えるからじゃ」


「新しい家族?」


「そうじゃな。江。古茶様の子供達には会ったか?」


「はい。於義伊様も於古都様も江より小さくて可愛かったです」


「そうか。その於義伊様や於古都様よりも小さい子が、来年の中頃に母上のお腹から産まれてくるんじゃ」


「母上のお腹に於義伊様より小さい子が居るんですか?」


「そうじゃ。今は、母上のお腹の中で少しずつ育っているが、まだまだ小さい存在じゃ。母上がお腹を冷やしたり、お腹を叩かれたりしたら、その子が産まれてこないかもしれないから


江も、母上にやってもらってばかりではなく、姉上達の様に、自分で出来る事は自分でやる様にならないと、駄目じゃぞ?」


「はい」


「いざとなったら兄を頼れ。儂も母上が安心して出産出来る様に万全を尽くす」


「ふふっ。六三郎。本当に貴方が三人の兄で良かったと思います。茶々も初も、いざとなったら兄上を頼りなさい


兄上は強いだけでなく、賢いお人なのですから。六三郎、私が動けない時は三人の事をお願いしますね」


「は、はい」


こうして、お袋の妊娠報告は終わった。次にやる事は殿経由で親父に報告してもらう事だな


天正三年(1575年)十二月一日

美濃国 岐阜城内にて


「殿。柴田殿の嫡男の六三郎殿からの文でございます」


「ほう。ここしばらく何も無いと思っていたが、また何か起きたか?どれ」


「殿へ。父上へ是非とも伝えていただきたい事が柴田家で起きましたので、文を送らせていただきました。


改めてですが、母上がやや子を授かりました。家族が増える事は大変喜ばしいので、


父上へ文を届けていただきたいと思い、文を送りました。父上の現在地が分からないので、何卒、宜しくお願いします」


文を読んだ信長は


「はっはっは!六三郎め、とても喜ばしい事を伝えてくれるわ!帰蝶、六三郎からの文を読んでくれ。


思わず笑ってしまう程の慶事じゃ」


「殿がそこまで仰るとは。どの様な内容ですか?」


帰蝶はそう言いながら文を取って読みだす。すると


「おほほほ。全く、権六もまだまだ元気ですねえ。今年五十五歳で、新たな子を作るとは」


「全くじゃ。これでは、儂もまだまだ子作りをしないといけない気持ちが出てくる。じゃが、心配なのは市の事じゃ」


「市の年齢ですか?」


「うむ。今年で二十九歳じゃ。産めない歳ではないが、かなり苦しいだろうからな。きっと六三郎は、


権六に市の懐妊を伝えると同時に、市の出産について色々助けて欲しいと、儂に伝えているのじゃな。


全く、母となって間もない市の事も心配してくれるとは、鬼若子と呼ばれておる者とは思えぬ優しい男よ


良かろう。権六の新しい家族が増えるのじゃ。市が安心して出産出来る様に産婆を含めた者達を領地に行かせてやろうではないか


先ずは権六に、この慶事を伝えてやらんとな。うむ。誠にめでたい!」


信長の微妙な勘違いで、市の出産へのアシストが決まった。

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